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施設実習における学び―実習経過にみる反省的思考―
反省的思考を「実習生自身の保育行為を振り返り、出来なかったことを、次の機会には出来るようになりたいと願うこと、実習生自身の保育行為による成果」と定義し、施設実習日誌の記述を分析した。①いずれの学生の日誌にも、「実習生自身の保育行為の振り返り」、「次の保育への視点」、また「実習生自身の保育行為による成果」と思われる記述がみられた。②実習生自身の保育行為を振り返ることから次の保育へ視点を持つことに加えて、職員や児童の姿から、「次の保育行為への視点」を持っていることが窺われた。③実習日誌に記述されている反省的思考は、「施設・職務の理解」と「実習生と児童のかかわり」に分けられた。④実習生の保育行為は「希望する段階」「実践する段階」「改善点に気づく段階」「成果を感じる段階」「質的向上を望む段階」「意義を理解する段階」の6つに分類することができた。⑤実習生の保育行為に関する記述は、経過は様々であるが行為の前に児童の実態を把握しており、その上で実習生自身の行為について考えたり、実践していることがわかった。⑥実習生が反省的思考プロセスを持っている可能性が示唆された一方で、実習生の解釈や記述が保育内容として必ずしも適切でないものがみられた。 学外実習の学びを深めるためには、実習後にすべての実習体験を振り返り、捉え直す機会の必要性が感じられた
未来の保育者としての総合的人間力を高める表現教育の開発 平成29(2017)~令和元(2019)年度和洋女子大学教育振興支援助成報告
本稿では、本学こども発達学科(学類)で、平成29(2017)~令和元(2019)年度に和洋女子大学教育振興支援助成を受けて実施した取組課題「未来の保育者としての総合的人間力を高める表現教育の開発」について報告した。3年間で「自分を表現する」「他者の表現に応答する」「協同を通した創造的表現力を育成する」というテーマを設定し、外部講師を招いたワークショップを中心に実践的な表現教育を行った。学生自らが表現することだけでなく、表現教育に関する知識・技術を構造化したり、自律性を高めたりすることを目指した
保育現場が求める実習生像の分析
本研究の目的は、保育現場が求める実習生像を明らかにすることである。実習生に身につけておいてほしいことがらを尋ねる26項目を作成し、保育者214名に質問紙調査を実施した。保育現場が求める実習生像について、幼稚園と保育所および公立と私立という勤務先による特徴を検討した。さらに、保育現場での立場として、経験年数、職場内の立場、実習生の年間の受入人数を取りあげて、保育現場が求める実習生像との関係を検討した。分析の結果、次の3点が示された。第1に、保育現場が実習生に求めることは、「学ぶ姿勢・態度」と「保育実践のスキル」にまとめることができる。第2に、「学ぶ姿勢・態度」は、私立施設勤務者が公立施設勤務者よりも実習生に必要であると考えていた。第3に、「学ぶ姿勢・態度」は、園長、主任、保育士が幼稚園教諭よりも実習生に必要であると考えていた。以上の結果を踏まえて、実習指導および保育者養成について、「学ぶ姿勢・態度」を育てることを通して「保育実践のスキル」を身につけることができる指導が重要であること、保育現場が求める実習生像を実習生自身が知ることで実習への意識を高めること、実習先の保育現場が求める実習生像を理解した上で実習生に指導を行なうことを提起した