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    夫婦の氏に関する覚書(一)

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     現行民法第750条は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」と規定し、「夫婦同氏制」を採用している。夫の氏又は妻の氏のどちらを婚氏=夫婦の氏とするかは、当事者の選択に任されているが、現実には、約96パーセントの夫婦が夫の氏を選択している。他方、この規定は、夫婦同氏を「強制」するものでもある。いずれかの氏を選択しなければ、婚姻届は受理されないのである。この同氏強制を不都合とする夫婦が、次第に増加してきた。 本稿は、日本近・現代国家の家族政策を、「氏」とくに「夫婦の氏」の視点から考察する。明治初年、民法典編纂過程、戦後改革、そして現代に至る迄を考察対象とする。本巻においては、民法典の成立までを考察する。1996年(平成8)、法制審議会は、選択的夫婦別氏制を含む民法改正要綱をとりまとめ、法務大臣に答申を行った。しかし、改正は未だ実現していない。現在では「当然」のように言われている夫婦同氏制は、1898(明治31)年の民法施行に始まる。日本は、それまで、夫婦別氏制の国であった。夫婦別氏から同氏への制度転換は、どのような意図を持って為されたのか。そもそも、「氏」が、近代国家政策において、どのような意義を持たされたのか

    妊娠期の妻への夫の関わりと夫婦関係に関する研究の現状と課題

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    【目的】文献検討により妊娠期の妻への夫の関わりと夫婦関係を定義し,妊娠期の妻の 精神的健康を促す夫の関わりと夫婦関係に関する研究の現状と課題を明確にすることを目的と する。【研究方法】1988年~2008年までの論文を対象にpregnancy, transition to parenthood, couple, marital relationship, support,をキーワードにして,医学中央雑誌,MedLine を中心 に検索した。【結果】97件が検出され,妻への夫の関わりと夫婦関係に関する記述がなされ, 学術論文の形式が整っている22論文を選んで概観した。妊娠期の妻への夫の関わりと夫婦関係 が定義され,夫の関わりと夫婦関係に関する研究の現状および研究の課題が見出された。【結 論】妊娠期の妻への夫の関わりと夫婦関係が定義された。また,今後の研究の課題として,以 下2つの点が明らかにされた。①夫婦を対象とした,妊娠期の妻への夫の関わりおよび夫の親 性の発達に影響を及ぼす夫婦関係に関する研究の必要性,②妻の精神的健康をアセスメントす るための夫の関わりと夫婦関係について測定可能な尺度開発の必要性が示唆された

    Three Dimensions of “Doing-Couple” Behaviors

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    本研究の目的は,「夫婦する」行動の構造を明らかにし,「夫婦する」行動が夫婦関係にどのような影響を与えているのかを明らかにすることである。「夫婦する」行動とは,夫婦が情緒的粋を確認するために「-する」行動として特徴づけることができる。まず,「夫婦する」行動の構造を明らかにするために因子分析を行った。その結果「コミュニケーション行動」「性的行動」「生活共同行動」の3つの因子が析出された。次に性別役割分業意識と「夫婦する」行動の3因子との関連を調べたところ,妻においてのみ「コミュニケーション行動」との間に正の相関が確認された。さらに,「夫婦する」行動の3因子と夫婦関係満足度との関連を分析したところ,「夫婦する」行動が夫婦関係満足度に及ぼす影響は夫と妻で異なることが明らかとなった「夫婦する」行動コミュニケーション行動性的行動生活共同行動夫婦関係満足

    The Relationship between Differentiation of Self and Marital Satisfaction in Middle-Aged Married Couples

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    本研究は,中年期の夫婦の夫婦関係満足度と自己分化との関連について検討することを目的とした。配偶者および子どもがいる40 ~ 60代の夫婦を調査対象とし,35組より有効回答を得た。夫婦関係満足度の高い夫婦は,自己分化度が高い者同士の夫婦であり,特に夫の自己分化度が高いことが最も重要な要因であることが明らかになった。これより,夫婦関係において,夫の対人関係スキルに注目することの重要性が示唆された。さらに,自己分化の下位尺度では,妻の「問題対処能力」の高さが最も重要な要因であることが明らかになった。夫よりも感情優位になるといわれる妻が冷静に状況を観察したり,感情に流されずに行動ができたりすることが夫婦関係にとって重要であることが示唆された。This study aims to examine the relationship between marital satisfaction and differentiation of self in middle-aged married couples. The subjects of this study were couples in their 40s to 60s, with spouses and children; 35 valid responses were obtained. Couples with high marital satisfaction were couples where both members had a high level of differentiation of self. Findings indicated that a high differentiation of self in the husband was the most important factor. This suggested the importance of focusing on the husband’s interpersonal skills in the marital relationship. Furthermore, on the subscales of differentiation of self, we found that a wife’s high “problem-solving ability” was the most important factor. This finding suggests that it is important for wives, who are known to prioritize emotions more than husbands do, to be able to calmly observe circumstances and act without being carried away by their emotions in order to maintain a stable marital relationship

    妊娠期から育児期における夫婦の葛藤と意思決定に関する文献レビュー

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    目的:妊娠期から育児期の夫婦の葛藤や意思決定に関する現状を明らかにし、夫婦の葛藤を軽減し、お\n互いを尊重した意思決定を行えるような助産師としての支援のあり方を明らかにする。方法:医学中央雑\n誌等にて「夫婦」、「葛藤」、「意思決定」、「妊娠」、「育児」をキーワードに、原著論文等を検索し、日本の\n夫婦の妊娠・育児に関する24 件を分析した。結果:母親・父親共に個人・夫婦間で価値の対立がおこり、\n葛藤を持ちながら仕事、家事・育児を行っていた。葛藤は理想が高い場合に起こりやく、夫婦関係にも影\n響していた。また、葛藤の長期化は母親・父親共に精神的に負の影響があった。考察:妊娠期から夫婦の\n相互理解や協働感が高まるような夫婦関係構築の重要性が示唆され、支援のあり方としては夫婦の価値観\nの明確化や、良好な夫婦関係の構築が挙げられた。その際に助産師は夫婦の意思決定を尊重し、そのプロ\nセスを支えることの重要性が考えられた

    夫婦の氏に関する覚書(2):法史学的考察

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     現行民法第750条は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」と規定し、「夫婦同氏制」を採用している。夫の氏又は妻の氏のどちらを婚氏=夫婦の氏とするかは、当事者の選択に任されているが、現実には、約96パーセントの夫婦が夫の氏を選択している。他方、この規定は、夫婦同氏を「強制」するものでもある。いずれかの氏を選択しなければ、婚姻届は受理されないのである。この同氏強制を不都合とする夫婦が、次第に増加してきた。1996年(平成8)、法制審議会は、選択的夫婦別氏制を含む民法改正要綱をとりまとめ、法務大臣に答申を行った。しかし、改正は未だ実現していない。現在では「当然」のように言われている夫婦同氏制は、1898(明治31)年の民法施行に始まる。日本は、それまで、夫婦別氏制の国であった。夫婦別氏から同氏への制度転換は、どのような意図を持って為されたのか。そもそも、「氏」が、近代国家政策において、どのような意義を持たされたのか。 本稿は、日本近・現代国家の家族政策を、「氏」とくに「夫婦の氏」の視点から考察する。明治初年、民法典編纂過程、戦後改革、そして現在に至る迄を考察対象とする。本巻においては、戦後改革から現在に至る迄を考察する

    妊娠期夫婦に対する両親調査(ケンプ・アセスメント)の試み

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    米国での児童虐待防止に向けたプログラム(HFA)で使用される両親検査(ケンプ・アセスメント)を本邦の妊娠期にある夫婦に適用し、その過程および結果から本邦で妊娠期夫婦への使用の可能性について考察した。A病院産科外来に通院中の妊娠20週前後までの初産および経産の妊婦と夫を対象とした。初産夫婦6組、経産夫婦15組であった。夫婦一緒に両親調査のための半構成的面接を行った。両親調査における総合得点の状況は修正前の評価基準によると25点以上の要支援者は3名、修正後の評価基準に照合した場合は4名で全員が経産の妻または夫であった。総合得点を初産・経産の夫婦別に比較すると、初産夫婦に比較し経産夫婦に高得点者の割合が高かった。修正後の調査項目ごとの得点状況を見ると、虐待に繋がるリスク得点者が多い項目は「ストレス」(28.6%)、「薬物(タバコを含む)常用、犯罪歴、精神疾患」(26.0%)、「両親の生育歴」(16.0%)であった

    夫婦間コミュニケーション・パタンと母親の子どもとの関係満足との関連

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     目的:本研究の目的は,“母親と配偶者とのコミュニケーション・パタン”という夫婦間の相互作用のあり方と,“母親の子どもとの関係満足”という育児の肯定的な感情との関連を検討することであった。方法:千葉県柏市内の認定こども園2 園,幼稚園7 園,保育園2 園に在籍する未就学児の母親を対象にGoogleフォームにより構築されたweb 調査が実施された。調査に回答した母親のうち187 名(平均年齢37.99 歳,SD=4.76 歳)が解析対象であった。調査材料は,人口統計変数を尋ねる項目群,親役割満足感尺度の下位因子“子どもとの関係満足”に関する項目群,夫婦間コミュニケーション態度尺度であった。 結果:人口統計的特徴と母親の子どもとの関係満足との関連を検討したところ,夫婦の年齢や夫婦間の年齢差,世帯特徴(核家族もしくは拡大家族),子どもの数による子どもとの関係満足に有意な違いは確認されなかった。夫婦間コミュニケーション態度尺度の各因子のZ 得点に対し,階層的クラスタ分析を行ったところ,6種類の夫婦間コミュニケーション・パタン類型(第1 クラスタ:“お互い大好き型夫婦”,第2 クラスタ:“威圧型夫婦”,第3クラスタ:“亭主関白型夫婦”,第4 クラスタ:“無干渉型夫婦”,第5 クラスタ:“相互依存型夫婦”,第6 クラスタ:“夫片想い型夫婦”)が確認された。夫婦間コミュニケーション・パタン類型を独立変数,子どもとの関係満足を従属変数とする一元配置分散分析を行った結果,類型間に5%水準で有意差が確認された(F(5,180)=3.071,p=.011,η 2=.079,ω 2=.053)。多重比較の結果,クラスタ1“お互い大好き型夫婦”とクラスタ2“威圧型夫婦”との間に10% 水準で有意な差(p=.092)が確認された。 考察:夫婦間の相互作用のあり方は,母親の子どもとの関係満足に関連していることが示唆された。特に夫婦が互いに想いあっている関係性が満足感のある子育てに重要であること,また,少なくとも一方が関係をより温かいものにしようと努めることが母親の子育てを充実したものにする可能性が示唆された

    夫婦のみ高齢世帯におけるソーシャル・キャピタル醸成のための予備的調査 -夫婦のソーシャル・キャピタルの特性での区分による身体活動状況、閉じこもり傾向、抑うつ傾向の比較-

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    目的:本研究では、夫婦のソーシャル・キャピタルの特性での区分による、閉じこもり傾向、身体活動状況、抑うつ傾向を比較することで、ソーシャル・キャピタル醸成に向けた支援を検討するための資料を得ることを目的とした。方法:65歳以上の夫婦のみで生活する者を対象にソーシャル・キャピタル、身体活動状況、閉じこもり傾向、抑うつ傾向に関する質問紙調査を実施した。ソーシャル・キャピタルの平均点を用いて対象者を区分し、その他の変数を比較した。結果:質問紙は682通配布し、夫婦揃っての回答が得られた272名(136組)を分析対象とした。夫婦それぞれで、ソーシャル・キャピタルの平均値を用いて区分し、夫婦ともに高い群、低い群、夫のみが高い群、妻のみが高い群の組み合わせで比較したところ、夫婦ともにソーシャル・キャピタルが高い群は、外出に対する自己効力感が高かったり、夫のみが高い群でも抑うつ傾向が低かったりすることが明らかになった。結論:ソーシャル・キャピタルを夫婦のサブシステムで検討する場合、特に夫に焦点を当てた支援が重要となることが推察された

    フニン チリョウ オ ウケル フウフ ノ カカエル モンダイ ト シエン ノ アリカタ

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    本稿では,不妊治療を受ける夫婦の身体的・精神的・社会的側面の問題と支援のあり方について,先行研究を基に論考した.不妊治療を受ける夫婦にとっては,治療そのものやホルモン療法による副作用や不妊治療にかかる高額な費用が,日常生活を脅かし大きなストレスとなっている.これらが関係に大きな影響を与えることが考えられる.不妊治療を受ける夫婦の心理的ストレスの実態や,ストレス対処,社会的支援については報告されるようになった.しかし,不妊治療を受けている夫婦の日常生活に焦点をあてた調査報告は見当たらない.夫婦で不妊治療を継続するためには,日常生活での役割や思いを明らかにし,看護師として今後の援助の方向性を見い出す必要がある.This article focuses on couples experiencing infertility treatment. Describe the literature in Japan was reviewed carefully. The purpose of the study is to descript; 1) the details of the physical, psychological and social health problems of those couples, 2) nursing care suitable for those couples. Suffering from treatment, harmful side effects from hormone therapy, and the high cost of treatment, infertile couples experience many kinds of psychological distress. Their marital relationships might be affected by the psychological distress. Recently it has come to be known that couples are experiencing psychological distress from this treatment. How they cope with the distress and get social support. are also clarified. However, there is no study focused on those couples\u27 daily life. Conclusions: The role of the man and woman in their home, details of their feelings and the best nursing care for those couples to continue the treatment have to be clarified from hereafter
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