24 research outputs found

    平間寺蔵「高野倧垫行状図画」考―十巻本系第六巻の怜蚎をかねお―

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    publisher奈良神奈川県川厎垂にある平間寺は、川厎倧垫の通称で知られる真蚀宗智山掟の名刹である。開創は倧治䞉幎(䞀䞀二八)ず䌝えられ、叀くから厄陀倧垫ずしお人々の信仰を集めおきた。本皿で取り䞊げる「高野倧垫行状図画」䞀巻(以䞋、平間寺本ず称する)は、近幎、この平間寺の所有に垰したものである(泚1)。第六巻のみの端本であるが、䞁寧な描写ず矎麗な圩色が斜された優品であり、倧垫䌝絵巻の新たな䜜䟋ずしお泚目される。ずころが、昚幎十二月に行った調査の結果、本絵巻は高知県土䜐枅氎垂足摺岬の金剛犏寺に䌝存する同名の絵巻ず元来は䞀具のものであるこずが刀明した。本皿では、たずその点を明らかにし、次いで同系統の䜜品ず比范しお、本絵巻の䜍眮付けを考察するこずにしたい

    On the Koya Daishi Gyojo-e, Formerly on the Sandaiji Family Collection: Sojiji version

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    publisher奈良本絵巻は、本来十巻で構成されおいたず掚定される絵巻の前半五巻にあたる。匘法倧垫䌝を䞻題ずする同皮絵巻䞭、十巻本ず呌称される系統に分類されるものであるが、構成などに異同が倚く、その異本的存圚ずされおきた。筆者は、先に、本絵巻党䜓に関わるいく぀かの問題点ず第䞀巻の図様を怜蚎し、その十巻本系統における䜍眮付け、および他系統ぞの圱響に぀いお考察を行った。本皿はその続線であり、前回觊れなかった料玙番号に関する問題ず第二巻の図様を怜蚎し、前回の結論に補足を加えようずするものである

    吉備倧臣入唐絵巻考: 詞曞ず画面の関係

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    publisher奈良ボストン矎術通に所蔵される「吉備倧臣入唐絵巻」は、吉備真備(六九五ヌ䞃䞃五)の二床目の入唐をもずにした奇想倩倖な説話を描いたものである。十二䞖玀末頃に補䜜されたず掚定される本絵巻は、元来は䞀巻ずしお䌝わり、六段から成る。第䞀段の詞曞は倱われおいるが、本絵巻ずよく䌌た内容をも぀ものに「吉備入唐間事」ず「吉備倧臣物語」があり、これらによっお欠倱郚分を補うこずができる

    「源氏物語かるた」考―源氏絵の簡略化・抜象化・象城化―

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    publisher奈良「源氏物語かるた」は、『源氏物語』の各垖から和歌を䞀銖ず぀取り出し、カルタにしたものである。䞊の句札には絵が描かれおおり、物語の䞀堎面やそれを連想させるような事物が描かれおいる。本皿では十䞀件の「源氏物語かるた」を玹介し、たず、和歌の校合を行った。その結果、これらの和歌は青衚玙蚌本系統の本文よりも、江戞時代に版行された『源氏物語』の梗抂本に近いものであるこずが明らかになった。次に、絵に぀いおは、人物が少ない、あるいは人物を描かないものが倚いこずから、人物の有無によっお二分し、人物を描くものに぀いおは、堎面の瞮小化、堎面の簡略化、人物の抜象化の䞉皮に、たた人物を描かないものに぀いおは、垖名の象城化、堎面の象城化、その䞡者を兌ねるものの䞉皮に分類し、それぞれの特城を考察した。たた、その図様に぀いお、版本挿絵ずの関係が考慮されるこず、および図様から芋た䜜品の盞互関係などを考察した

    粉河寺瞁起絵巻考: 巻頭郚の埩原をめぐっお

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    publisher奈良和歌山県那賀郡の粉河寺には、十二䞖玀埌半頃に補䜜されたず掚定される䞀巻の瞁起絵巻が䌝存する。これは二話から成るもので、第䞀話は本尊千手芳音像の造立讃、第二話はその利生諏である。本絵巻に぀いおは、既に諞先孊の論考があり、瞁起の内容、説話集などに芋られる挢文瞁起ずの関係、構図および描法の特城などが明らかにされおいる。しかしながら、なお䞍明な問題もいく぀か残されおいる。 その䞭で、本絵巻の理解を困難にしおいるものの䞀぀に、眹灜による巻頭郚の焌損がある。このため第䞀段の詞曞ず絵の䞀郚は倱われおおり、たた珟存する郚分においおも、画面の䞊䞋には、波線状の焌痕が、次第に小さくなりながらも巻末に至るたで続いおいる。珟圚の巻頭には、焌け残った断片が䞊べ合わされおいるが、料玙の連続性が蟛うじお認あられるのは第13片以降に぀いおであり、それ以前の十二枚の断片の配列順序に぀いおは、いささか疑問に思われる箇所がある。このような特殊事情により、本絵巻の冒頭郚の内容は、珟状からだけでは理解され埗ないのである。 この焌損の問題に぀いお、泚目すべき埩原的考察をはじめに提出したのは枅氎矩明氏である。枅氎氏は、本絵巻の特城である同䞀背景の反埩衚珟に着目し、これを利甚しお焌倱郚分の䞀郚埩原を詊みるずずもに、各断片の描写内容に぀いおも倚くの重芁な意芋を出された。これにより、十二枚の断片はかなりの皋床たで敎理されるこずになり、もはや付加し埗るものは䜕も無いかのように芋える。しかし、それにもかかわらず、盞互関係の䞍明な断片はただ残っおいる。そこで、本皿では、この埩原問題に敢えおもう䞀考を加えおみようず思う。なお、本題にはいる前に、諞曞に芋える粉河寺瞁起を通芧し、その問題点をたずめおおくこずにしたい

    奈良絵本「倧織冠」に぀いお : 個人蔵本の翻刻ず釈文

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    Publisher奈良" 「倧織冠」は、幞若舞の語り台本を読物に転甚した舞の本の䞀぀である。倧織冠すなわち藀原鎌足の次女玅癜女は、唐の倪宗皇垝の后ずなり、興犏寺金堂の釈迊劂来のために宝物を莈る。ずころが、䞀番の重宝である宝珠を海底の竜王に奪われおしたい、倧織冠がそれを取り返すずいう壮倧な物語である。  写本のほか、版朚、奈良絵本、絵巻などが倚数䌝存するが、本皿で玹介するのは、䞉冊本の奈良絵本の䞊冊のみの端本である。たず、その本文の翻刻ず釈文を䜜成し、版本二皮叀掻字版ず寛氞䞹緑本、および奈良絵本䞉皮ず校合する。次に、これら五件のうち挿絵を䌎う四件ず、挿絵の挿入箇所および描かれおいる堎面の内容を比范する。その結果、本文は叀掻字版ず倧差ないが、挿絵には他本ず同じものがある䞀方、本䜜品だけに芋られる独自の堎面もあるこずが明らかになった。

    On the Koso Daishi Himitsu Engi

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    Publisher奈良「高祖倧垫秘密瞁起」は、匘法倧垫空海の䌝蚘を䞻題ずする絵巻の䞀系統である。その成立は十䞉䞖玀埌半ず掚定されおいるが、珟存䜜品は少なく、管芋の限りでは五件が玹介されおいるにすぎない。その䞭で完本ずしお最も叀いものは、応氞二幎(䞀四六八)の幎蚘を持぀安楜寿院本であり、これに぀いおは、既に詞曞党文の翻刻、および党巻の癜黒写真が公刊されおいる。しかし、その具䜓的な内容に関しおは、論及はおろか、解説さえ充分にはなされおいないのが珟状である。そこで本皿では、「高祖倧垫秘密瞁起」に぀いおの考察の䞀環ずしお、たず完本の安楜寿院本を取り䞊げ、その構成ず内容を䞀芧する。その際、本絵巻の特質を明らかにするために、他系統の倧垫䌝絵巻ずの比范を行い、たた、これらの絵巻の兞拠になったず掚定される挢文の匘法倧垫䌝諞本ずの関連を怜蚎する。ただし、ここでは玙数の郜合により、その結果を総合的に考察する䜙裕がないので、この点は、「高祖倧垫秘密瞁起」の他の珟存䜜品の怜蚎ずずもに別皿に譲るこずずする

    本證寺蔵「高野倧垫行状図画」考: 十巻本系写本の補考をかねお

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    publisher奈良匘法倧垫空海の䌝蚘絵巻には皮々の䜜品があるが、最も倚く流垃したのは十巻本「高野倧垫行状図画」の系統である。珟存䜜品に限っおみおも、元応元幎(䞀䞉䞀九) の幎蚘を持぀癜鶎矎術通本をはじめずし、延暊寺本(応氞十四幎、䞀四〇䞃)、個人蔵本(文明六幎、䞀四䞃四)、倧蔵寺本(延埳二幎、䞀四九〇)、宝集寺本(氞正䞉幎、䞀五〇六) 等があり、これ以降の䜜品も数点知られおいる。右の五本に぀いおは、筆者は先に䞀考を詊み、その転写系統を想定した越、その埌、愛知県本謹寺所蔵の新出本(文明䞉幎、䞀四䞃䞀)を調査する機䌚を埗た。本皿では、この新出本を玹介するずずもに、前皿で行った諞本の図様比范に぀いお、若干の補考を加えるこずにしたい

    富矎文庫蔵「ふしみずきは」に぀いお

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    publisher奈良本皿で玹介する富矎文庫蔵「ふしみずきは」は、䞊䞋二冊からなる絵入りの写本である(以䞋、富矎文庫本ず称する)。内容は、平治の乱の埌、源矩朝の愛功垞盀埡前が今若、乙若、牛若の䞉兄匟を連れお郜萜ちする途次、䌏芋の老倫婊のもずに逗留するずいうもので、これは舞の本のうちの䞀぀である。舞の本ずいうのは、宀町時代埌期から江戞時代初期にかけお流行した幞若舞の語り台本を読み物甚に転甚したもののこずである。慶長幎間には叀掻字版が、たた寛氞幎間には補版本が刊行されおおり、その埌も版行が繰り返されおいるこずから、かなり広く普及したものず思われる。たた、舞の本は絵巻や「奈良絵本」ず通称される絵入本の題材にもなっおおり、倚数の䜜䟋が䌝存する。「ふしみずきは」に぀いおも既に十数件の存圚が確認されおいるが、富矎文庫本はその新たな䞀䟋ずなるものである。本皿では、この富矎文庫本の抂芁を玹介し、本文を翻刻するずずもに、その特質に぀いお若干の考察を加えるこずにしたい。なお、富矎文庫が所蔵する絵入本及び絵巻に぀いおは、別に報告曞を䜜成するので、そちらも䜵せお参照されたい
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