吉備大臣入唐絵巻考: 詞書と画面の関係

Abstract

publisher奈良ボストン美術館に所蔵される「吉備大臣入唐絵巻」は、吉備真備(六九五ー七七五)の二度目の入唐をもとにした奇想天外な説話を描いたものである。十二世紀末頃に製作されたと推定される本絵巻は、元来は一巻として伝わり、六段から成る。第一段の詞書は失われているが、本絵巻とよく似た内容をもつものに「吉備入唐間事」と「吉備大臣物語」があり、これらによって欠失部分を補うことができる