「源氏物語かるた」考―源氏絵の簡略化・抽象化・象徴化―

Abstract

publisher奈良「源氏物語かるた」は、『源氏物語』の各帖から和歌を一首ずつ取り出し、カルタにしたものである。上の句札には絵が描かれており、物語の一場面やそれを連想させるような事物が描かれている。本稿では十一件の「源氏物語かるた」を紹介し、まず、和歌の校合を行った。その結果、これらの和歌は青表紙証本系統の本文よりも、江戸時代に版行された『源氏物語』の梗概本に近いものであることが明らかになった。次に、絵については、人物が少ない、あるいは人物を描かないものが多いことから、人物の有無によって二分し、人物を描くものについては、場面の縮小化、場面の簡略化、人物の抽象化の三種に、また人物を描かないものについては、帖名の象徴化、場面の象徴化、その両者を兼ねるものの三種に分類し、それぞれの特徴を考察した。また、その図様について、版本挿絵との関係が考慮されること、および図様から見た作品の相互関係などを考察した

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