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    特別支援教育における通常学級内のパニック行動対処に関する研究 その3 : 支援介助法の実験的検証

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    パニック行動への対応方が実践知として学校現場に存在するのなら、その手法を確認してスキル化することが望ましい。他方、もしそうした方法がなければ、新たな対応法が必要となる。そこで研究1では小・中学校教員83名(小学校39名・中学校44名)に学校内でのパニック行動の経験率やその対処法の有無に関する質問紙調査を行った。その結果、82%の教員が危険性の高いパニックを経験しており、発達障がいに由来するパニック行動について有効な対応法を持っていないことが明らかにされた。そこで研究2ではパニック行動への有効な対応法として注目される廣木(2012)による支援介助法の効果について痛みを従属変数として検証した。その結果、支援介助法群は非支援群と比較して痛みを与えることなくパニックに対応できる可能性が示唆された。支援介助法 / 特別支援教育 / パニック行動 / 自閉症 / 実験的検

    青年期における見捨てられ不安尺度開発の試み その1 : 社会構造の変化を重視して

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    社会的ネットワークの希薄化を背景に,過剰な承認欲求(山竹,1998 ・2011)などの現代的な課題を反映した青年期心性が注目されている.こうした青年期心性の一つに「見捨てられ不安」(abandonment anxiety)がある.見捨てられ不安は,その概念の成立から精神分析理論の影響が強く,現在の社会的要因を独立変数とする数量的検証に乏しかった.本研究では見捨てられ不安を社会構造の変化に基づく現代的な青年期心性として,「重要で身近な他者(集団)に承認される自信がなく,自身の価値観をありのままに主張すると,重要で身近な他者(集団)から嫌われるのではないかという不安から自己犠牲的な認知・行動を過剰に選択する心理傾向」と定義し,質問紙の開発を試みた.その結果,「承認・注目欲求」と「過剰な自己犠牲」の2因子15項目の「見捨てられ不安尺度」の開発に成功した

    システマ親子クラスにおけるコミュニケーションおよび運動の学びに関する研究 : ボディワークとしてのシステマ

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    本研究は斎藤他(2014)において課題とされたシステマ親子クラスの参加者への半構造化面接を行った.その結果,コミュニケ-ションの変化は「子どもに内在する力を尊重できるようになる」であった.また,保護者の見方が子どもの内在的な力を認めるにしたがって,子どもの行動が長期的に積極的になるという回答が得られた. 親子クラスに参加している子どもの年齢が5歳前後であることを考えれば,親子関係のポジティブな変化が子どもに与える影響は特定の動作ではなく,日常生活全般に及ぶと理解できる.ボディワークの側面からみたシステマ親子クラスの効果として生まれる「母親の子どもの内在的な力への信頼」は子どもの行動に積極性を与える.システマ親子クラスの営みは心身の両面に影響を与えるボディワークと結論できる.以上の結果が即興性(improvisation)の分析枠組みから整理された

    特別支援教育における通常学級内のパニック行動対処に関する研究

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    特別支援教育の実施に伴い,通常学級での発達障がいをもつ児童生徒への理解と支援が注目されている.その進捗状況を検討すると,障がいの概念については普及段階を終え,個別的・場面限定的な支援方法が模索されている.研究1では現在,教師が希求する支援方法の内容を検討した結果,特に「通常学級内でパニックを起こしている最中の児童生徒に対する支援方法」に課題があることが報告された.研究2では,「生じてしまった危険なパニック中の支援方法は確立されていない」との仮説(廣木,2012)に基づき,通常学級内での障がいを持つ児童生徒のパニックの種類と支援方法を検討した。その結果,80%以上の教師がパニック行動に悩まされた経験を持ち,危険性の高いパニック中の体系的な支援スキルも確立されていない現状が明らかにされた.危険性の高いパニック行動への対処は専門的なスキルであり,合理的配慮の中で検討されるべき事項である.「通常学級における危険性の高いパニック時の支援スキル」の確立が求められる

    システマ親子クラスの構造とファシリテートの特徴に関する質的研究 : ワークショップとしてのシステマ

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    三世代のボディワークとして注目されているロシア武術システマ(Systema)は1.護身術、2.怒りを中心とした感情コントロール技法としての呼吸法、3.自己への気づきを深めるためのボディワーク、4.非常に強いストレッサーへの対処法、5.親子関係や対人関係を中心としたコミュニケーションの質を高めるワークショップなどに活動領域を広げている。一方、システマは日本に導入されてから日が浅く、定義が不明確であり、基礎研究に乏しかった。本研究では、作成された定義に基づきシステマの公認インストラクターへの半構造化面接を通じてシステマの特徴を整理した。また参与観察法に基づきシステマ親子クラスの構造を分析し、ワークショップ性と即興性の観点からその活動の性質を考察した。システマ親子クラスは、親子のコミュニケーションの質を高める優れたワークショップであることが示唆された

    DOCK2 is involved in the host genetics and biology of severe COVID-19

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    「コロナ制圧タスクフォース」COVID-19疾患感受性遺伝子DOCK2の重症化機序を解明 --アジア最大のバイオレポジトリーでCOVID-19の治療標的を発見--. 京都大学プレスリリース. 2022-08-10.Identifying the host genetic factors underlying severe COVID-19 is an emerging challenge. Here we conducted a genome-wide association study (GWAS) involving 2, 393 cases of COVID-19 in a cohort of Japanese individuals collected during the initial waves of the pandemic, with 3, 289 unaffected controls. We identified a variant on chromosome 5 at 5q35 (rs60200309-A), close to the dedicator of cytokinesis 2 gene (DOCK2), which was associated with severe COVID-19 in patients less than 65 years of age. This risk allele was prevalent in East Asian individuals but rare in Europeans, highlighting the value of genome-wide association studies in non-European populations. RNA-sequencing analysis of 473 bulk peripheral blood samples identified decreased expression of DOCK2 associated with the risk allele in these younger patients. DOCK2 expression was suppressed in patients with severe cases of COVID-19. Single-cell RNA-sequencing analysis (n = 61 individuals) identified cell-type-specific downregulation of DOCK2 and a COVID-19-specific decreasing effect of the risk allele on DOCK2 expression in non-classical monocytes. Immunohistochemistry of lung specimens from patients with severe COVID-19 pneumonia showed suppressed DOCK2 expression. Moreover, inhibition of DOCK2 function with CPYPP increased the severity of pneumonia in a Syrian hamster model of SARS-CoV-2 infection, characterized by weight loss, lung oedema, enhanced viral loads, impaired macrophage recruitment and dysregulated type I interferon responses. We conclude that DOCK2 has an important role in the host immune response to SARS-CoV-2 infection and the development of severe COVID-19, and could be further explored as a potential biomarker and/or therapeutic target

    適応指導教室におけるSSTとインプロの協働的プログラムの作成と実践に関する質的研究 その1 : 協働的プログラムの完成まで

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    本研究は公立の適応指導教室における外部講師によるソーシャルスキルトレーニング(Social Skills Training:以下、SST:全2回。1回90分)とインプロ教育の協働プログラムを用いたワークショップのフィールド研究である。SSTとインプロの協働的プログラムは望まれていたものの、その実践報告は非常に乏しい。SSTとインプロ教育の協働的実践の研究1に相当する本研究では、適応指導教室のニーズと子どもへの参与観察からニーズを汲み取り、SSTとインプロの協働的プログラムを定めたプロセスを質的に検証した。その結果、指導案にみるような協働的プログラムが完成した今後はこの協働的プログラムを実践した過程の質的検討が望まれる

    小学校における身体性を重視したSSTの効果 : 衝動性のコントロールを中心に

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    身体性を重視したグループワークはこれまでも複数存在したが,近年の傾向として公教育のなかでSSTに身体的技法が組み込まれ,新しい手法として実践される傾向がでてきた(斎藤他,2014:斎藤,2016).その効果を検証するため,本研究では小学校4年生(n=64)を対象に「衝動性の低下」を目的とする「身体性を重視したSST」が計12回実践された.その結果,衝動的行動は減少しただけでなく,児童や教師の実践に関する満足度が非常に高かった.身体性を重視したSSTは,自らの身体という共通の教材を通じて,異化作用の驚きとともに児童の学校生活に探究性を与えた.身体性を重視した心理・行動的アプローチは公教育の中で実践されるアプローチの一つとして成立しうる

    特別支援教育における通常学級内のパニック行動対処に関する研究 その2 : 学校のニーズとパニック対処

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    特別支援教育において教員が求める知識と支援方法は1.授業内での問題行動の対応、2.対人関係問題行動の対応、3.パニック行動への対応、4.学習面の支援、5.症状の状態像の理解であった。全体的な問題行動についてはソーシャルスキルトレーニングやビジョントレーニングまたはIT器具を利用した学習支援など、様々な支援方法がこれらに対応しているが、危険度の高いパニック行動への対処法には具体的な支援方法がなく、特別支援教育の理念に反する取り出しを行なわざるを得ない状況であることが示唆された。また学校内のパニック行動の多くは逃走行動が中心になっていることが示唆された。パニック最中への対応法が確立していないことは、個別指導計画のPDCAサイクルが原理的に不全になることを示す。パニック行動への対応法である支援介助法(廣木、2012)の検証が求められる
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