109 research outputs found

    日本の小学校における「ダイバーシティ教育」に関する調査

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    本研究においては、小学校を対象としてダイバーシティ教育に関する調査を行った。調査においては、1)児童の実態、2)「児童の多様性に配慮した教育」や「多様性を認め互いに尊重し合う態度や行動を児童に醸成することを目的とした教育」の実施状況、そして、3)ダイバーシティ教育に対する教員の意識について明らかにすることを目的とした。その結果、特別なニーズを抱える児童の在籍率は、そのニーズの内容によってかなり異なり、また特定の地域や学校に偏在していることが明らかとなった。また、2割から6割程度の学校がダイバーシティ教育に関連する何らかの取り組みを実施しており、それらの取り組みの実施状況は各学校の児童の実態と関連していることが明らかとなった。ダイバーシティ教育に対する教師の意識は全体的に肯定的であったが、実践に関する知識があるかという問いに対しては比較的否定的に回答される傾向 があった

    インクルーシブな放課後等デイサービスの在り方に関する研究~東京都区内の放課後等デイサービスによる検討~

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     放課後等デイサービスは、2012(平成24)年の制度創設以来、事業所数は全国的に急増してきた。その放課後等デイサービスでは、利用する障害のある子どもの保護者支援をはじめ、子どもの発達支援において一定の成果をあげている。2015(平成27)年4 月に公表された「放課後等デイサービスガイドライン」(以下、ガイドライン)では、共生社会の実現に向けた後方支援の取組みを事業所に求めている。放課後等デイサービスを利用する子ども達は、特別支援学校や特別支援学級に在籍し、いわゆる特別な教育の場で学ぶ子ども達である。そのような子ども達が、放課後等の活動においても障害のある子ども達とのかかわりが中心となってしまったら、将来の共生社会の形成に大きな障壁となる可能性がある。そのような意味においてもガイドラインが示す共生社会の実現に向けた後方支援の取組みは重要な内容である。そのため本研究では、東京都区内の事業所523か所を対象にガイドラインに示す共生社会の実現に向けた後方支援の取組みの実態等を、アンケート調査を実施して明らかにすることを目的とした。回答率は、12.4%という低い回答率であったが、調査の結果から子どもの地域社会への参加・包摂(インクルージョン)を進めるための取り組みを実施している事業所は少なく、取り組みに消極的である事業所も一定の割合であることが明らかになった。さらに、放課後等デイサービス事業所は、運営主体が営利法人(企業)が多いことや、「平成30年度障害者福祉サービス等の報酬改定」で多くの事業所が減収となっていることも想定される。そのような放課後等デイサービスの現状があるからこそ、特別支援教育関係者をはじめ、地域福祉等の関係者等は、放課後等デイサービス事業所にガイドラインに示されるインクルーシブな視点からの事業を段階的に充実するよう支援していく必要性があることを提言している

    高等学校における校内委員会の組織体制と支援機能についての検討―中学校調査との比較を通して―

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    本研究では、大鹿他(2017)が実施した公立中学校調査を参考にして、全国の公立高等学校3,469校を対象として質問紙調査を行い、1,634校から回答を得た(回答率は45.4%)。 調査内容は、(1) 課程・学科について、(2) 学校の支援体制について、(3) 特別支援教育コーディネーターについて、(4) 校内委員会について、(5) 校内委員会で検討した支援について、(6) 特別支援学校との連携・巡回指導・専門家チームについて、(7) 交流及び共同学習についてであり、その回答結果を中学校での特別支援教育の取組状況と比較した。その結果、特別支援コーディネーターに関する調査項目における中学校との比較では、特別支援コーディネーターとして養護教諭の占める割合が高くなっているところに特徴があった。役割においても、「校内研修の企画・運営」「障害のある生徒の進路指導に関する調整」など高等学校独自の課題への対応として、養護教諭がキーパーソンとして重責を担っていることが明らかになった。校内委員会については、開催回数が中学校に比べて少なく、その取り組みについては「研修計画の立案」とともに、「特別支援学校に対する助言・援助の要請」の回答が高くなっていた。高等学校も特別支援学校も設置主体が都道府県であることを利点として、特別支援学校の資源を十分に活用し、小中学校には見られない、高等学校独自の支援体制を構築していくことが望まれることが示唆された。また、校内委員会で検討した支援に関しては、中学校と比べて学習面より行動面での支援が多くなっており、高等学校段階における思春期対応の重要性を示唆しているともいえる。高等学校の特色である各学校の設置目的を実現するうえでも、本研究で示された中学校と異なる高等学校での校内委員会等の組織体制と支援機能等の特徴を踏まえ、中学校での支援の連続性を図る高等学校の取組方策等が検討されることを期待する
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