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食の質を決定する背景要因の検討 -食の質・社会経済的要因・情緒的健康・主観的健康感との関連構造-
本論文は、食の質を決定する背景要因について検討し、食の質・社会経済的要因(socioeconomic status:SES)・健康指標との関連構造を明確にすることを目的とした。総務省「全国消費実態調査(2009 年度)」2 人以上世帯 (50,836 世帯) の47 都道府県ベースの月間食品消費金額データを使用した生態学研究において、主食を含む調理食品の「中食」による食の外部化と、離婚率の高さによるSES との関連を明らかにした。また、年間収入の低さと関連した潜在変数の“低SES 世帯”は、“食の質の高さ”を構成する生鮮食品類の低消費を中間決定要因とし、“健康寿命の短縮”される関連構造が明確にされた。実証的研究において、「低SES」の特性を持つ東京都A区に居住する中年期(40~64 歳)男女の5 年後生存追跡データを使用した。潜在変数には、5 年後累積生存率の維持に関連した変数を作成した。“食の質”は、「主要食品群の多様性スコア」および「食行動スコア」とした。発展的研究において、“情緒的健康”は、「楽しみ生きがいの多さ」および「親しい人の多さ」とした。5 年後生存者2,507 人の5 年前の「等価所得」は、“情緒的健康”を中間決定要因とし、“食の質”および“5 年間の主観的健康感”を決定する関連構造が、性年齢を問わず明確にされた。本論文から、「低SES」を対象とした食の質向上への支援は、収入や食事への教育的支援のみならず、情緒的健康への支援環境整備と連動させると効果が高まる可能性が示唆された。和洋女子大学201
食の質を決定する背景要因の検討 -食の質・社会経済的要因・情緒的健康・主観的健康感との関連構造- <要旨>
学位の種類 : 博士(学術)学位記番号 : 甲第7号学位授与年月日 : 2015年3月18日学位授与の条件 : 学位規則第4章第14条第1項該
グレリンの腹腔内投与が栄養素選択的な摂食調節に及ぼす影響
グレリンは28個のアミノ酸から構成されるペプチドであり、その中枢あるいは末梢投与は、その後の摂食量を増加させることが報告されている。本研究ではグレリンの栄養素の嗜好性への影響を検討するため、3種類のマクロ栄養素食(糖質、タンパク質及び脂質)を同時に与えたラットにグレリン(0.5,1.0及び 5.0nmol/rat)を腹腔内投与し、投与から1、2、4及び24時間後の摂食量を測定した。総摂食量はグレリンの投与量依存的に、生理的食塩水投与時と比べて増加した。その内訳を見ると、糖質食の摂食量が有意に増加していたが、タンパク質及び脂質食の摂食量に変化は見られなかった。血清グルコース、総タンパク質、中性脂肪、遊離脂肪酸、及びβ-リポタンパク質濃度はグレリン投与による影響は認められなかった。本研究はグレリンが代謝に影響することなく、糖質の摂食量を選択的に増加させたことを明らかにした。この結果は、グレリンが直接的に糖質に選択的な摂食調節に関与していることを示唆している。Ghrelin is a 28-amino acid peptide with an acyl side chain, n-octanoic acid. It was reported that ghrelin infusion centrally and peripherally increases food intake. In this study, to investigate the effect of ghrelin to preference on nutrients, we infused ghrelin (0.5, 1.0 and 5.0 nmol/rat) intraperitoneally to rats, which were fed simultaneously three macronutrient diets (carbohydrate, protein and fat), and measured food intakes at 1, 2 and 4hr after infusion. Infusions of ghrelin increased dose-dependently total food intake compared with saline infusion. Infusion of ghrelin increased significantly carbohydrate intake, although protein and fat intakes did not altered. Serum glucose, total protein, albumin, triglyceride, free fatty acid and β-lipoprotein levels were did not altered with infusion of ghrelin. This study defined that ghrelin infusion increased selectively carbohydrate intake without metabolic changes. This result suggests that ghrelin may participate directly with the selective control of carbohydrate intake
グレリンの脳室内投与が栄養素選択的な摂食調節に及ぼす影響
グレリンは28個のアミノ酸から構成されるペプチドであり、その中枢あるいは末梢投与は、その後の摂食量を増加させることが報告されている。本研究ではグレリンの栄養素の嗜好性への影響を検討するため、3種類のマクロ栄養素食(糖質、タンパク質及び脂質)を同時に与えたラットにグレリン(100、200及び 500 pmol/rat)を脳室内投与し、投与から1、2、4及び24時間後の摂食量を測定した。200及び 500 pmol のグレリン投与は2時間後までの累積総摂食量を、生理的食塩水投与時と比べて有意に増加させた。その内訳を見ると、糖質食及びタンパク質食の累積摂食量が有意に増加していたが、脂質食の摂食量に変化は見られなかった。本研究はグレリンの脳室内投与が糖質及びタンパク質の摂食量を選択的に増加させたことを明らかにした。この結果は、グレリンによる栄養素選択的な摂食調節が行われるメカニズムにおいて迷走神経が関与している可能性を示唆している。Ghrelin is a 28-amino acid peptide with an acyl side chain, n-octanoic acid. It was reported that ghrelin infusion centrally and peripherally increases food intake. In this study, to investigate the effect of ghrelin to preference on nutrients, we infused ghrelin centrally(100, 200 and 500 pmol/rat)to three macronutrient diets(carbohydrate, protein and fat)fed rat and measeured food intake at 1, 2, 4 and 24 hours after the infusions. The central infusion of 200 and 500 pmol of ghrelin increased cumulative total food intake until 2 h after infusion compared with saline infusion. In regards to the three diets, carbohydrate and protein intakes were increased. But the infusion of ghrelin did not alter fat intake. In this study, we demonstrate the alternation of preference in nutrients, especially carbohydrate and protein, by central ghrelin infusion. It is known that two types of nerve systems involve the orexigenic action of ghrelin;ghrelin neurons in arcuate nucleus and vagal nurves. The differences of preferense of nutrients observed in this study may result from the differences of those nervous systems
食行為の実態と心身の各種因子との関係について ~ 若年女性と中高年女性の比較による検討 ~
本研究では咀嚼と生活習慣の関係を明らかにするための基礎調査として、まずは、中高年女性で生活習慣に関する背景調査を行い、若年女性と比較を行った。 その結果、生活振り返り調査の「身体の調子・体質」、「ストレス・睡眠」の項目で、グループ間に有意な差が見られた。また、「間食・夜食」、「身体活動」、「健康づくりに対する意識」では若年女性について中高年女性に比較してスコアが低値の傾向が認められた。 今後これらの項目について咀嚼を含む食行為との詳細な検討を行う予定である
女子大生の咀嚼の実態と心身の各種因子との関係について
咀嚼を含めた食行為が女子大生の心身に与える影響を把握するため、マシュマロとチャーハンにおける咀嚼回数の測定並びに、生活習慣および心理状況調査を実施した。また、咀嚼回数の測定と併せて口腔部のサイズや容量、1口の食物投入量、咀嚼数、咀嚼スピード、スプーンの移動回数を測定し、体重や体脂肪量などの各種身体情報の調査も行った。 咀嚼の状況と身体特性との関係性を相関分析により検討したところ、相関関係は確認できなかった。咀嚼の状況と生活習慣との関連の検討において、メタボリックシンドロームに対するリスクと有意な負の相関関係が見られた項目は、スプーン移動回数、チャーハン摂取量、1分あたりの摂取量であった。 以上のように咀嚼の状況と生活習慣および心理状況調査結果との関係については、関連性が示唆される傾向が見られた