8 research outputs found

    Japanese/English Code-mixing Part II : Sublexical Mixing

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    拘束形態素を越えて起こる言語混成が, Myers-Scotton (1990) のMLFモデルの中で示され議論されている。このMLFモデルによれば, 基底言語 (Matrix Language) が形態素配列や生産的なシステム形態素, すなわち, 屈折や機能語を規定する。一見すると, 我々のアメリカ人二言語使用者のデータはこれに反し, 英語の屈折形態素が日本語の動詞上に現れる。しかし, より詳しく調査してみた結果, これは原理に違反しておらず, むしろ原理を支持していることが判明した。英語の動詞屈折以外の拘束形態素-複数の \u27-s\u27, 比較級の \u27-er\u27, 抽象名詞化の \u27-ness\u27, 副詞化の \u27-ly\u27, 形容詞化の \u27-ish\u27など-が日本語の語幹に接辞として現れる例も, 我々のデータに含まれている。MLFモデルは, 動詞屈折において何も役割を果たしていない拘束形態素にたいして何の説明も与えていない。むしろ, これらのデータは, 副語彙混合 (Sublexical Mixing) という新しい概念を支持しているものと考えられる。すなわち, 埋め込まれている言語から語幹を取り出し, それを基底言語の語形成規則に入力し, 基底言語の内容形態素 (content morpheme) の位置にこれを出力するというプロセスが関与しているのではないかと考えられる

    Japanese/English Code-mixing Part I : Language Assignment

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    この論文では, コード混合データを分析する際の統語的問題を考える。議論では, 書記および発話に見られる日本で育ったアメリカ人二言語使用者による日本語・英語のコード混合のデータを対象とする。まず基底言語の決定の問題を取り扱う。データが示すように, 構成要素の配列に従って基底言語を決定することが多くの文において実に困難な問題となっている。構成要素がお互いに一致しない節を占める不適合を調べ, その存在を立証するために, 仲介節が必要となることを述べる。それらは, 身体や精神に関する表現, 擬態語, 所有を表わす「の」などを含んでいる。我々のデータにてらして, Nishimura (1985) の, 交替不可能なものの表を調べたところ, 使われている語彙素に関係無く, 構成要素配列によって基底言語が決定されていることが明らかになった。しかし, 後置詞, 助動詞, 関係代名詞のようないくつかアイテムは, 埋め込まれない傾向にある

    Bilingual Children Who Speak One Language

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    本稿は二言語併用児の二言語の理解に焦点を当てて分析したものである。これまでの定義によれば, 二言語併用児は毎日の生活において二言語を理解し, 用いていると考えられて来た。しかしながら, 日常生活において主として一つの言語を用いているにもかかわらず, それとは別の言語も十分に理解し, 使用する能力を持つ幼児も存在している。我々の収集した発話資料に基づき, このような幼児の存在から二言語併用研究において新しい視点が得られることを示し, 二言語併用の定義の再検討の必要を主張する
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