歯周病と糖尿病のオーダーメード治療を目指して

初めに歯周病と糖尿病の特徴について述べ、歯周病の病因と診断に関わる問題点について整理し、糖尿病と歯周病に関係する代謝・免疫機構について考察した。これまで分子レベルでの歯周病診断および治療は確立していないが、分子レベルの診断に基づくオーダーメイド医療の可能性について解説した。今後はゲノムワイド解析による歯周病・糖尿病のリスク遺伝子について検討する必要がある

糖尿病における口腔粘膜の創傷治癒遅延のメカニズムについて

糖尿病患者における口腔粘膜の創傷治癒が遅延するメカニズムについて、口腔粘膜の創傷治癒とそれに影響を及ぼす因子、糖尿病での血流・血管新生、免疫能の変化、糖尿病での唾液量と成分の変化、糖尿病での成長因子の変化、糖尿病患者の心理的ストレスに分けて考察した。創傷治癒遅延には様々な現象が関わると考えられ、これらの現象が影響しあい遅延を引き起こしているものと考えられる

FGF-2及びBMP-2がヒト歯根膜細胞群において組織再生に与える影響

担体とヒト歯根膜由来間葉系細胞群(HPDL細胞群)からなる埋植体をヌードマウス背部皮下に移植し、埋植体へのFGF-2およびBMP-2の添加が血管組織形成や骨様組織形成に与える影響について検討した。その結果、HPDL群にFGF-2とBMP-2を併用添加すると、担体のみと比較して血管数および新生骨形成の有意な増加がみられ、内部には新生血管を含む骨新生が形成されることが示された。また、増加した血管および骨形成はHPDL細胞群に由来する可能性が示された。以上より、HPDL細胞群を含むFGF-2およびBMP-2の併用による移植は、組織再生に有用である可能性が示唆された