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    フランスで「同一価値労働同一賃金」原則は実現しているのか? : フランスの実態と課題

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    本稿は、フランスにおいて「同一価値労働同一賃金」の原則が実現しているのか、その実態と課題を考察したものである。フランスにおいては、1990年代から2000年後半にかけて、「同一価値労働同一賃金」の原則が成立しているかどうか見る指標となる「男女賃金格差」が縮小することがなかった。そのため、法的な規制を強化してきた経緯がある。2009年以降、男女賃金格差は縮小傾向にあるが、性に中立的で客観的な職務分析・職務評価を実践するための議論が十分なされてきておらず、異なる職域における「同一価値労働同一賃金」の進展が遅い。また、いわゆる説明不可能な差別的な男女賃金格差が解消したとしても、職業上の男女平等が達成されたとは言えないことから、フランスでは「同一価値労働同一賃金」原則以外にも多面的な男女平等政策を促進させる必要性が認識されている

    The Analysis of the Personnel Management Systems of Japanese Retail Company:A View point of The Principle of Equal Pay for Equal Value Work (Part 1)

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    近年の「働き方改革」において、同一労働同一賃金が主要な政策の1つとされ、それに関する論考は増えている。しかしこれまで日本では、同一労働同一賃金やそれを発展させた同一価値労働同一賃金原則について、日本型の賃金制度や人事制度には「なじまない」とする見解が多かった。というのも、属人的に職務が割り振られ、また処遇と職務が切り離されていることの多い日本において、そもそも何をもって同一の労働と捉えるのかは明らかではないからである。とはいえ、日本では非正杜員の増加と格差拡大を是正し、働き過ぎの正社員と低処遇の非正社員といった極端な二者択一しかない状況を変える必要性は高く、そのための手法としての同一価値労働同一賃金の検討と具体化の必要性は非常に高い。そこで本研究は、3つの生協で働く、管理的業務等を担う正社員と非正社員を対象に実施した、同一価値労働同一賃金原則に基づく職務分析・職務評価調査を用いて、小売業(生協)の人事・処遇制度の検討を行うものである。本稿ではまず分析の取りかかりとして、本調査の概要と、職務評価点の平均値を示した。続稿において、これらの生協で適用されている人事制度と職務評価結果を関連させながら、さらに分析を行う。これら分析を通じて、現行の人事制度は、職務評価に「なじまない」との見解は果たして妥当と言えるのか、また同一価値労働同一賃金原則を用いて、正社員と非正社員の格差を是正するためにはどのような政策が求められるのかを、具体的に検討・提言を行なう

    Equal Pay for Work of Equal Value, Its Development and Issues

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    The Analysis of The Personnel Management System of Japanese Retail Company

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    本研究は、3つの生協で働く、管理的業務を担う正社員と非正社員を対象にした同一価値労働同一賃金原則に基づく職務分析・職務評価調査を用いて、小売業(生協)の人事・処遇制度の検討を行うものである。組織内で所属長を含む正社員と、パートタイム労働者が、どのような仕事を担当しているのか、そして、その仕事の難易度や責任はどの程度の違いなのかを明らかにする。前稿では調査手法の概要と職務評価点の平均値の概要を示した。続く本稿では、調査対象の3つの生協の人事・処遇制度の概要を示し、職務評価点の詳細な分析を行なった。分析を通じて明らかになったのは、次の諸点である。①3生協ともに、程度の差はあるものの、正規職員の役職または等級ごとにみた職務評価点は、上位の役職等になるにつれ段階的に高まっている。②役職についていない正社員の一般担当者を基準に、1時間当たりの賃金と職務評価点の比率を算出すると、両者の比率はかなり似通っている。③ただし、正規職員の最下位の等級の労働者の賃金と、パート・アルバイト職員の賃金は、職務評価点よりも著しく低い。以上をまとめると、組織内において、正社員については、役職や等級別にみると、職務内容の高低と賃金額の間には一定程度均衡がとれていることがわかった。一般に日本型処遇制度においては、正社員について、処遇と職務内容が切り離されて運用されるといった柔軟性の観点から議論されることが多いが、本稿の分析結果をみれば、同一職種内では、職務の価値に応じた賃金支払いをすでにある程度実現させていると思われる。このような、すでに適用されている組織内の公平性の基準を、いわゆる外部労働市場の賃金水準に強く影響されるといわれるパートタイム労働者等にまで、どのように広げていくかが問われている

    〔論 文〕非正規労働者の公正な賃金-非正規労働政策と関わって-

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    Non-regular workers have increased rapidly in the Japanese labor market over the past 15 years. The percentage of non-regular employment rose to 35.2% in 2011. Large wage inequality between regular and non-regular workers, and the low wages of non-regular workers have caused serious problems. Under these circumstances, for the past few years, the Worker Dispatching Act and the Labor Contract Act were amended in order to correct the differences in treatment of regular and non-regular workers, in order to bring about equal treatment. The revision of the Part-time Work Act is expected in 2013. These amended laws adopt legal principles that prohibit unequal working conditions for non-regular workers without objective reasons for those differences. However, these laws introduce personnel changes as "objective grounds." Personnel changes, therefore, will be used to justify treating regular workers and non-regular workers differently. In this article, I propose a wage system based on equal pay for work of equal value between regular and non-regular workers as the most reasonable method of eliminating wage inequality

    【特集】現代社会総合研究所2017 年度第2回シンポジウム講演録「日本における介護労働とその賃金:準市場とジェンダーの視点から」

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     現在、日本社会は、介護労働力の不足という深刻な問題に直面しています。そして、この問題を解決するためには、日本の介護サービス市場をとりまく社会のありようについての適切な理解と、解決すべき課題の明確化およびコンセンサス形成、さらには実証的根拠に基づく問題解決策の提案が欠かせません。 本シンポジウムでは、「準市場」「ジェンダー」を鍵概念として介護労働をめぐる社会的状況とその変化を明らかにしたうえで、介護労働と賃金について、経済学と社会学の両分野における実証研究の知見を紹介します。こうして得られた「介護労働と賃金に関し解決すべき課題」についての共通理解に基づき、介護労働力不足解決のためにどのような対策や政策的対応を行うべきであるのかについても考えてゆきます。コーディネーター:村尾祐美子(現代社会総合研究所運営委員、社会学部准教授)主催:東洋大学現代社会研究所「超高齢社会の医療と介護に関する研究会」(2017 年11 月11 日(土) 於 東洋大学白山キャンパス125 記念ホール
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