35 research outputs found

    開発途上国における個人政党とその問題― 途上国の政党政治と民主主義の定着への示唆―

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    本稿は、開発途上国でしばしばみられる個人政党を、政党の一類型として定式化し、それが途上国の政治に与える問題点を指摘する。途上国の個人政党には小規模なものも大規模なものもあるが、いずれにも共通してみられるのは、指導者個人の圧倒的な影響力および政党組織の脆弱性といった組織的特徴、そしてカリスマ・パトロネジ・政策といった支持調達の資源である。しかし、こうした特徴から、政党政治の不安定や政策によらない支持調達といった、個人政党が途上国政治にもたらす諸問題も指摘される

    多民族国家における民族間協調と自由民主主義:マレーシアとシンガポールの比較

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    本稿は、多民族国家における民族集団間の協調と自由民主主義体制とのジレンマにかんする論考である。その際、マレーシアとシンガポールという民族構成が比較的類似し、政治的に安定した2つの多民族国家を取り上げる。そして、両国の民族間協調アプローチの違いを比較した後、いずれの事例も自由民主主義への制限があることを示し、民族間協調と自由民主主義体制との両立がいかにして可能であるかについて考察する

    審査論文 国民国家形成と開発 : 東南アジア4力国の事例から

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    本稿では、国民国家の形成と開発との関係について、東南アジアの4 カ国をとりあげて検討する。最初に、国民国家と開発の関係についてナショナリズム論などに触れながら理論的な検討を行う。その際、国民形成と国家形成、そして経済開発と社会開発とに分けてそれぞれの関係を整理する。次に、東南アジア4 カ国の国民形成の経緯と開発における国家の役割を検証する。そして最後に、東南アジアの事例を比較してまとめ、それが国民国家形成と開発の関係にどのような理論的示唆を与えるかを考察する

    審査論文 多民族社会と民族政党 : 民族政治をこえて

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    多民族国家の多い発展途上国では、とくに自由選挙や複数政党制の導入に伴って、民族間対立や民族紛争が発生しやすい。民族間での対立は、他の政治的対立と比べて暴力的で長期的になりやすく、民主主義の定着を阻害する。こうした民族集団はこれまで、長い歴史を持つものであると考えられてきた。しかし、多くの民族紛争では、民族集団が指導者によって形成され動員されている。それというのも、民族アイデンティティは重層的で可変的であり得るからである。そしてこうした民族集団の政治動員は、民族政党として民主化後に登場し、そこから民族紛争に発展するケースもある。このように、紛争になるリスクを考えると、民族集団を政治競争に持ち込む民族政党は避け、政策や業績をめぐる政党間競争が望ましい

    政治の「個人化」について:個人政党論の観点による「大統領制化論」の批判的検討

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     民主政治における「大統領制化」の議論は、ポグントケらの研究を中心にこれまで数多く議論されてきた。本稿ではこの「大統領制化論」を検討し、その内容を「政策決定過程」と「選挙過程」とに分けて考えることでよりよく理解が進むことを示す。そして彼らの大統領制化論に対する批判のなかで、それを政治の「個人化(personalization)」とする議論を紹介し、とくに「選挙過程」に着目することで、今日、先進民主主義諸国だけでなく新興民主主義国や途上国でもみられるポピュリズムや新興政党といった政治の現象は、むしろ政治の「個人化」として理解する方が妥当であると結論付ける

    ポピュリズムの特徴・固有性・問題について:「シンドローム」としてのポピュリズム

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     本稿では近年盛んに議論されている「ポピュリズム」について論じる。最初にポピュリズムを定義することの困難さを指摘し、ポピュリズムを「シンドローム」と捉えることでいくつかの特徴を列挙した。それを踏まえて次に、それらの特徴はすべてのポピュリズム現象が持っているものでもなければ、一つ一つの点を取り上げてもそれがポピュリズムのみに固有なものではないということを指摘した。そして最後に、これらのポピュリズムの諸特徴と重なる政治学の諸論点からポピュリズムの何が「問題」なのかを指摘し、様々に論じられているポピュリズムの「問題」について論点を整理して論じることの重要性を指摘した

    「「国際社会観光」基礎教育体系の研究」成果報告 平成30(2018)~令和2(2020)年度和洋女子大学教育振興支援助成報告

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     本報告は、2018~2020年度の研究の成果報告である。2020年度に新しく国際学部国際学科が設置されたことにより、国際社会観光についての基礎教育体系を精緻化し、教材の作成を行った。さらに観光PBL(Project Based Learning)教育方法を探求し、企業や自治体とのPBLの拡充と、プロジェクトの経験からよりよい教育方法を探るFDを行った。 本稿では、『キーワードで読む国際観光』(国際学部国際学科編の冊子)で取り上げた内容について、学科FDで情報交換した過去のPBLの経験から学んだことについて、そして昨年度の急なコロナ禍でも積極的に行ったオンラインPBLの内容について、プロジェクト参加メンバーで分担執筆した
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