遠隔教育の実施と大学での教育に関する一考察 ―建学の精神を伝える授業のオンラインでの実施をもとに―

2019年末に端を発した新型コロナ感染症（COVID-19）の拡大によって、多くの大学は2020年度の新学期から遠隔教育の実施に踏み切った。本学においても遠隔教育の採用が決定され、ホスピタリティ概論も IT 機器を活用したオンラインでの実施となった。この中で大学教育の将来像に大きな影響を与えると考えられるオンライン授業の在り方を探る基礎調査を実施した。その結果、次のことが明らかになった。1）受講生の IT 環境の整備には、差がみられること、2）受講生の使用する機器は、パソコン、タブレット、スマートフォンに分かれること、3）オンライン授業に関しては、肯定する意見がある一方、改善を要望する意見も見られること、4）スマートフォンのみでの受講者とパソコンおよびタブレットでの受講者を比較分析した結果、画面の明瞭度や授業の進行、及び授業の理解などにおいて両者に差がみられ、スマートフォンのみでの受講者の方が有意に低い結果であったこと、5）遠隔授業に関する要望等の中には、遠隔教育の利点を述べている受講生の他に、授業以外の大学が持つ機能、つまり、友人獲得や相互啓発に関する不安も多くみられたこと。この結果等を踏まえ、オンライン授業のあり方、及び、将来社会における大学教育のあり方に関する提案を行った

A Survey on Remote Education of‘Introduction to Hospitality’： Comparing ２０２０ and ２０２１ Results

２０２１年度は「ホスピタリティ概論」を遠隔授業で実施して２年目となった。この科目の受講生を対象に、オンライン学習環境についてのアンケートを行い、２０２０年の結果と比較した。受講場所は自宅外が増加した。アクセスの円滑さの評価は、やや低下した。画面・音声・提示資料の明瞭性等についての評価は横ばいである。受講中に感じることとして、アクセスへの不安が増加した一方、遠隔授業を受けることの快適さも増加している。自由記述回答での特徴的な頻出語についての調査結果からは、受信環境整備の重要性が示唆されている。‘Introduction to Hospitality’ was conducted by remote class in two years in row in ２０２１.　A survey on remote education environment was conducted, and the result was compared with that of ２０２０ survey.　Number of students who took remote class outside home increased.　Evaluation of accessibility was slightly decreased.　Clarity of the screen, sound and teaching materials remain the same.　As for what the students feel during the class, concerns about access increased, while number of students who feel comfortable in taking remote classes increased.　Frequent words in free text answer are reported