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看護系大学卒業看護師が卒後1年間に直面した困難 ―成人看護学領域の視点から―
本研究の目的は、看護系大学卒業看護師が卒後1年間に直面した困難を明らかにし、成人看護学領域の視点から看護実践能力を高めていくための教育のあり方を検討することである。平成21年3月にA看護系大学を卒業し、成人病棟で勤務する看護師8名に半構成的面接により聞き取り調査を行い準統計的内容分析の方法に基づき分析した。その結果、卒後1年間に直面した困難は、総数81件で70件のコードを抽出した。コードを統合し26サブカテゴリ、8カテゴリに分類した。8カテゴリは、件数の多い順から【臨床看護技術の経験不足】【臨床看護技術の知識不足】【タイムマネジメント能力の不足】【主体性の欠如】【状況的判断能力の未熟さ】【人間関係調整困難】【専門職としての責務の遂行困難】【看護基礎教育機関による修習の差異】であった。臨床看護技術の内容は、注射、点滴、採血の実施、胸腔穿刺、中心静脈カテーテル挿入の介助といった検査・治療処置に関する技術と終末期にある患者の看護であった。検査・治療処置に関する技術では、医療用具、専門用語、略語の知識不足により検査、処置時、必要物品が準備出来ない事などの内容が、終末期患者の看護については、自己の知識、経験不足により看護の実施が困難であることがあげられていた。また、時間調整、人間関係調整、状況的判断能力不足による看護業務遂行困難を示す内容で、複数患者の受け持ち、チーム活動などで、看護基礎教育で未経験から生じることであった