中国の重慶市と湖北省59社の企業の社会的責任行動に関する実証分析

　本論文は近年国際社会において話題に上ることの多い企業の社会的責任に注目し，中国の内陸地域に位置する重慶市と湖北省の規模の比較的小さい企業を中心に考察し，その企業の社会的責任行動がどこまで進んでいるかを俯瞰するために，2016年にアンケート調査を実施して，調査対象となる59社の企業の社会的責任行動の全体像を明らかにする。このアンケート調査から中国の内陸地域の企業の社会的責任のガバナンスの発展を資するための基礎的な分析を展開して，中国企業の社会的責任行動に関する示唆を与える

海外における中国74社大手企業の社会的責任に関する考察

近年，中国企業の海外進出が顕著になってきている。海外市場を獲得する一方，現地社会に対する責任への増加も一途を辿っている。そこで，中国企業の社会的責任の特徴とは何かについて社会的関心が寄せられている。さらに，海外進出が進む中，労働や環境などの社会的責任に関連する様々な問題がリスクとして顕在化しており，企業にも影響をもたらすようになってきている。従って，企業が海外進出を通じて，持続可能な発展を実現するためにも，企業の社会的責任の課題やリスクに的確に対応することが求められる。本論文は，海外進出を展開する大きな資本を有する企業に注目して，中国74社大手企業を対象に，彼らの企業の社会的責任への取組について分析を行い，企業の社会的責任を実施するために必要とされること，推進における課題を模索する。海外における中国企業が社会的責任への取組を取りまとめることおよび，各種課題にどのように対応すべきかを検討するための一助とする目的として研究を行った

中国における民間企業のCSRに関する実証研究

This study examines the role of corporate social responsibility (CSR) in the operation of private companies in China. Using the analysis data from Fortune Global 500 ranked companies in 2020, I find that in terms of economic, environmental, and social evaluation scores, the economic field performs the best, followed by the environmental field, and the social field performs the worst. These findings add practical implications on the literature that help investors to consider the impact of CSR behavior of large-scale private enterprises in China. The results also enhance our understanding on how organizational leaders incorporate their corporate social performance in the development of CSR and provide reference for improving firm value

中国企業の社会的責任に関する経済学的分析

【学位授与の要件】中央大学学位規則第4条第1項【論文審査委員主査】田中 廣滋(中央大学経済学部教授)【論文審査委員副査】谷口 洋志(中央大学経済学部教授)，薮田 雅弘(中央大学経済学部教授)，本間　聡(東海大学政治経済学部教授)博士(経済学）中央大

中国製造業と非製造業におけるCSRの動向に関する経年比較 : 環境と社会を中心に

The purpose of this paper is to investigate the trends of Corporate Social Responsibility (CSR) in China’s manufacturing and non-manufacturing industries using a survey data between 2014 and 2018. Upholding the hope of further solidifying the sustainable development of Chinese society and to improve Chinese enterprises’ enforcement of social responsibility, we contribute to the CSR literature in relation to the improvement and promotion of CSR behavior of Chinese companies, including the identified issues, through a comparative analysis of the results over the years

中国の主要企業における社会的責任報告書の機能分析

本稿は中国における主要な外資系企業100社を中心に，企業の社会的責任に関する報告書の掲載状況および CSR行動のガパナンスを評価することにより，CSR行動の発展を促進するための基礎的な分析を展開する。外資系企業の中国での投資規模はますます拡大する中，外資系企業の社会的責任を推進することは，中国の社会と経済の更なる発展にとって大きな意義を持っている。GRI ガイドラインを用いた分析を展開して，外資系企業の CSR行動を客観的に分析して，評価することによって，中国企業の CSRへの取組を前進 させるための政策提案が提示される。すなわち，GRI ガイドラインの利用により，全てのステークホルダーへの情報開示を図ることが企業成長の持続可能性を高める手段であることから，外資系企業ばかりでなく，中国企業にこの CSR行動の情報公開に関する手法の利用が広がれば，先進国の経験を活用した企業とステークホルダーとのコミュニケーショ ンが促進されることが明らかになる

中国内陸地域の中小企業の社会的責任調査に関する経年比較分析

Large companies and coastal companies are often mentioned in Chinese CSR researches, but small and medium-sized enterprises (SMEs) are still not comparable to large companies in CSR implementation, for lacking sufficient basic data. This paper targets the SMEs in Chongqing City and Hubei Province located in the inland area, based on two questionnaire surveys conducted in 2013 and 2016. Three results from the research are shown below. First,local governments are strongly involved in SMEs CSR behaviors. Second, the focus of CSR implementation is reflected in corporate treatment of employees, customers, and the environment.Third, the motivation of their implementing CSR is to improve company image and employees’satisfaction. The purpose of this paper is to compare the results of the surveys in 2013 and 2016, to grasp and analyze the actual situation of CSR in small and medium-sized enterprises in the inland region

中国の大手企業の社会的責任行動に関する実証分析─国有企業と民間企業の比較について─

　中国の環境問題や食品安全問題が多発する企業不祥事など，中国の企業の社会的責任（CSR）行動のあり方に関心が高まっている。本研究は，中国の国有企業100社と民間企業200社を調査対象に，以下のように明確にされている。CSR 報告書の発行状況に関しては，国有企業100社のうち，92社（約9割）が確認されたのに対し，民間企業は200社のうち，79社（約4割）しか確認されなかった。民間企業におけるCSR 報告書を発行する割合が比較的少ないことが確かめられた。次に，国有企業48社と民間企業22社のグローバル・レポーティング・イニシアティブ（GRI）ガイドラインに基づいた実証分析では，環境側面の合計30項目における国有企業が56％，民間企業46％となり，ガバナンス，経済的側面，社会的側面に比較すると最も低い平均達成率となった。本研究は中国企業におけるCSR 行動への取組の方向性を把握することや，今後のCSR 行動への取組を効果的に実施するため情報提供することを目的とする