69 research outputs found

    鑑別を要した巨大gastrointestinal stromal tumorの2例

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    GIST(gastrointestinal stromal tumor)はCajalの介在細胞由来の消化管間葉系腫瘍である.今回,他科疾患と鑑別を要した巨大GISTの2例を経験したので報告する.症例①は80歳代,女性.心窩部に腫瘤を蝕知し,画像所見で右後腹膜に14㎝大の腫瘍を認めたため腎皮膜由来の平滑筋肉腫が疑われた.泌尿器科にて手術が行われ,病理診断は十二指腸GISTであった.術後に心原性脳塞栓症を生じリハビリ病院へ転院した.症例②は40歳代,女性.下腹部痛あり婦人科を受診し,超音波検査で増大傾向のある充実性腫瘍を子宮後方に認め,卵巣腫瘍が疑われた.画像所見で腫瘍と腸間膜血管の連続性が指摘され,小腸腫瘍も鑑別に挙げられた.婦人科にて行われた手術で小腸に連続した14cm大の腫瘍が認められ,小腸部分切除術を施行した.病理診断は小腸GISTであった.術後補助化学療法を施行し術後6ヶ月時点で無再発生存中である.GISTは壁外発育を示すものも多く,巨大な本症例のようなものは他科疾患と誤認されることも少なくない

    閉鎖孔ヘルニア:44例の検討

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    2000年7月~2019年8月に当院で手術を施行した閉鎖孔ヘルニア44例を対象とし,臨床所見について後ろ向きに検討した.症例は高齢のやせ型女性に多かった.39例で緊急手術を要し,嵌頓を認めたものは32例,腸管切除を施行したものは8例であった.嵌頓形式はRichter型嵌頓28例と全係蹄型嵌頓4例であった.Richter型嵌頓は左側に多く,全係蹄型嵌頓は右側に多く,かつ腸管切除例が多かった.小腸嵌頓症例で腸管切除群8例と非切除群24例を比較すると,発症から手術までの時間は切除群で有意に長く,cut off値は33時間であった.術後創部感染を含む術後合併症は切除群で多い傾向にあった.閉鎖孔ヘルニアは全係蹄型嵌頓で腸管切除リスクが高く,発症から時間が経つほど切除リスクが上がり,術後回復経過に影響を及ぼす結果となった.閉鎖孔ヘルニアの診療では迅速な診断および治療が必要であると考えられた

    巨大直腸異物に対し経肛門的摘出術を工夫した1例

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    経肛門的直腸異物は,性的嗜好などが原因で肛門から異物が挿入され,抜去不可能となったものである.治療は一般的に内視鏡や経肛門的摘出術が,第一選択とされるが,難渋する場合には開腹手術への移行が必要になる. 今回,われわれは摘出の際の器具を工夫することで経肛門的に摘出し得た巨大直腸異物を経験したので報告する

    脾摘を目的としてロミプロスチムを用いた免疫性血小板減少症の3症例

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    慢性免疫性血小板減少症の3例に脾摘術前の血小板増加を目的としてトロンボポエチン受容体作動薬ロミプロスチムを投与した.【症例1】33歳女性.挙児希望.投薬減量のため脾摘実施. ロミプロスチム1μg/kg/週より投与開始し、5μg/kg/週まで増量した. 手術直前に血小板低下し、グロブリン製剤を併用した.【症例2】67歳女性. 無菌性骨壊死のためステロイド減量目的に脾摘実施.ロミプロスチム2μg/kg/週で血小板維持し脾摘を行った.術後に血小板73×104/μlまで上昇したが、血栓症を併発すること無く軽快退院した.【症例3】75歳女性.再燃時に治療不応性となり脾摘を計画.先行してエルトロンボパグ投与したが白血球2×104/μlに上昇.血小板の反応は見られず、 ロミプロスチムに変更.5μg/kg/週まで増量し、血小板増加したが白血球も2×104/μl以上に再上昇した.脾摘予定直前に下肢動脈閉塞を発症.2度の血栓除去術後も循環改善せず下肢離断術を行った.血栓増悪時に血小板数は正常下限だったが、白血球は50,000/μl以上まで上昇を認め、血栓形成に関与したと推測された

    化学療法中に小腸穿孔をきたした単形性上皮向性腸管T細胞リンパ腫の1例

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    単形成上皮向性腸管T細胞リンパ腫(MEITL)は2016年の世界保健機関(World Health Organization:WHO)で新たに定義されたまれな消化管原発悪性リンパ腫である.今回我々は小腸穿孔をきたしたMEITLの1例を経験したので報告する.症例は50歳代,女性.貧血の精査目的で施行した上部消化管内視鏡検査および下部消化管内視鏡検査でMEITLと診断された.貧血の発症より4か月後に化学療法を開始したが,その5日後に腹痛を訴えた.腹部Computed Tomography(以下CT)検査でfree airを認め,消化管穿孔がうたがわれたため緊急手術を行った.開腹時,バウヒン弁から口側30㎝の回腸に穿孔部を認め,小腸部分切除術を施行した.術後に化学療法を再開したが,十二指腸MEITLによる閉塞性黄疸を術後1か月に発症した.化学療法を変更するも奏功せず,術後2か月に呼吸不全をきたし原病死した.消化管原発悪性リンパ腫は,緊急手術ではじめて診断されることも多く,さらに緊急手術例の予後がきわめて不良であることが報告されている.MEITLに対する早期診断および集学的治療の確立が望まれ

    貧血を伴う腸重積を契機に発見された小腸Gastrointestinal stromal tumorの1例

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    症例は60代女性.心窩部痛,黒色便を主訴に当院救急外来を受診した.心窩部に圧痛を認め,直腸診で黒色便の付着がみられた.血液検査でHb6.4g/dlと貧血を認めた.腹部造影CT検査にて,ターゲット状に肥厚した小腸を認め,その腸管の内部に動脈相で早期濃染する腫瘤を認めた.また,小腸内視鏡検査で切歯列70cmの空腸に約3cm大の粘膜下腫瘍を認めた.手術は腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した.腸重積を解除し,腸管浮腫のない部位で空腸を切離,吻合した.摘出標本の病理組織学的検査で,超低リスク群の小腸Gastrointestinal stromal tumorと診断した.今回,貧血を伴う腸重積を契機に発見された小腸Gastrointestinal stromal tumor の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する
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