39 research outputs found

    現代におけるケインズ・マクロ経済学の再考 : (1)財市場条分析を中心に

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    70年代のスタグフレーションを契機に、ケインズ主義的経済政策は終焉したと言われ、その後新自由主義が台頭し、現在では格差社会が拡大している。本論の課題は、ケインズ自身の著作を紐解くことを通じて、当時のイギリス経済の彼の見解を再考することによって、現代経済との共通の問題点を明らかにすることである。ここでは、ケインズの分配論に焦点を当て、そこから導き出される有効需要論・技術選択、資本係数などの諸論点を、置塩理論を手がかりに、ケインズ自身の分析が今なお意味を持つことを明らかにする。約80年前の彼の著作からわれわれは何を見出すことができるのか。技術選択・資本係数が決定的な要因をしめることを本論では明らかにしたい

    ODA が実効性を持つための一試論 : モロッコ・イムスワンを手がかりに

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    本稿は、フランス法を素材に労働条件変更法理の最近の展開について検討したものである。フランスでは、集団的規範による労働条件変更が柔軟化されている一方で、個別的規範である労働契約上の労働条件変更については、労働者の個別的同意を厳しく求める判例法理が形成されている。こうした判例法理は、状況変化への対応という企業側の利益と既得権保護や基本権保障という労働者側の利益との調整において、一定の修正を余儀なくされてはいるものの、民法典に規定された意思自治原則の影響のもとで、今日においても契約の重要性を強く意識しつつ展開されている。本稿では、このような展開を整理・検討することにより、就業規則を中心とした集団的規範による労働条件の形成・変更を比較的容易に認めている日本の労働条件変更法理の問題点を指摘しつつ、労働契約重視の必要性・可能性を示唆として引き出している

    アンチ「福祉国家」の租税=社会保障政策論 : ベーシック・インカム構想の新展開

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    1980年代以降、戦後「福祉国家」体制の動揺のなかでさまざまな再編、見直し論議が盛んに行われてきている。本稿では、ベーシック・インカム構想を取り上げ、その系譜の説明、類似の提案である負の所得税、参加所得、社会配当との比較検討などを行いつつ、アンチ「福祉国家」の租税=社会保障政策論として、自由主義者から社会主義者、エコロジストやフェミニストなど幅広い立場から多くの関心を集めている根拠を探っている。ベーシック・インカム構想が支持されているのは、人々を性別分業にもとづく核家族モデルから解き放ち、資力調査に伴うステイグマや「失業と貧困の罠」から解き放ち、不安定度が強まる労働賃金への依存から解き放ち、労働の人間化や自主的市民活動の広範な発展に寄与することが期待されているからである。ただ、労働と所得の切り離しの是非、公務労働の役割についてなど今後解明されるべき論点も残されている
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