6 research outputs found

    特発性食道破裂と同時発症が疑われた腹部限局大動脈解離の1例

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    雑誌掲載版47歳男性.患者は胸背部痛を主訴に,特発性食道破裂と診断され,著者らの施設で緊急食道破裂部縫合閉鎖を施行した.術前造影CTでは腎動脈下大動脈の最大径は3.0cm,右総腸骨動脈の最大径は2.5cmで,偽腔は開存していた.しかし,術後8日目の腹部CTで腎動脈下大動脈から右総腸骨動脈までの解離が確認され,手術を行った.手術は右後腹膜経路でアプローチ,腎動脈下で大動脈を遮断し瘤壁を切開したところ,右前方に偽腔が存在し,大動脈に2ヵ所と総腸骨動脈に1ヵ所のエントリーまたはリエントリーを示す交通孔を認めた.解離腔は,中枢側で腎動脈下,末梢側で右総腸骨動脈分岐部で収束しているのが確認され,Y型人工血管を用いて腎動脈下大動脈から両側腸骨動脈までの置換を行った.術後経過良好で15日目に退院となった.本症例では食道破裂時以外に強い疼痛の既往がないことなどから,特発性食道破裂と同時に腹部限局大動脈解離が発症した可能性が示唆され

    当科におけるA型急性大動脈解離の治療成績

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    雑誌掲載版約11年間におけるA型大動脈解離19症例の治療成績を検討した.術前死亡例は4例で,術後および周術期死亡は9例中2例であった.術後合併症は腎不全,不整脈,消化管出血等7例にみられた.呼吸管理は長期間を要した.下行大動脈以下の末梢解離残存症例は3例で,2例に追加手術を施行した.保存的治療例は6例で,2例が経過観察中に突然死しており,保存的治療の選択に際しては,十分な検討が必要である.3例は瘤化のために手術を必要とした.これらのは症例では,手術死亡はなく,術後合併症も不整脈1例のみであった.術後呼吸管理時間も急性期手術より有意に短かった.A型大動脈解離の予後因子は,分枝閉塞による臓器虚血であっ

    Diabetic footの病態と問題点 糖尿病合併下肢ASOに伴う足部病変の問題点と外科治療戦略

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    出版社版過去5年間に手術を施行した下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)235例のうち,鼠径靱帯以下の末梢動脈血行再建を要した165例202肢を対象に,虚血性足病変の治療における問題点を検討した.71例はFontaine III度またはIV度の重症虚血肢であった.非糖尿病群は膝下膝窩動脈へのバイパス42%,足関節領域へのバイパス6%であった.糖尿病群は膝窩動脈へのバイパスは比較的少なく,足関節領域へのバイパスは50%を占めた.肢趾切断は,非糖尿病群9%,糖尿病群39%と糖尿病群が有意に多かった.下腿以上の大切断を要したのは,糖尿病群の4例であった.糖尿病合併下肢AS0に伴う足部病変は,潰瘍や壊死部分に感染を伴っていることが多く,切断端の創治癒には感染の制御が非常に重要であり,最近ではシャワー浴等の大量の流水による洗浄を基本としている.2003年から足部切断創の処置にvacuum-assisted closureを取入れ,良好な肉芽形成がみられ

    糖尿病合併閉塞性動脈硬化症の足病変に対するvacuum-assisted closure(VAC) 持続陰圧吸引療法

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    著者版糖尿病合併閉塞性動脈硬化症25例の足部潰瘍および足趾切断端創に対し,vacuum-assisted closure(VAC)(持続陰圧吸引療法)を施行した.施行期間は平均14.6日で,全例,創面に良好な肉芽形成が認められた.19例は,肉芽組織による瘢痕,皮膚移植または遊離筋皮弁移植により完全な創治癒が得られた.創の深部に感染が持続した9例は,良好な肉芽形成にもかかわらず創が閉鎖せず,さらに近位での再切断を必要とした.VACは,糖尿病合併閉塞性動脈硬化症の足部病変において,肉芽形成を促進させる効果があると考えられたが,適応の限界,他の治療法との比較などについて,さらに検討が必要であ

    脾動脈瘤切迫破裂に対する塞栓術後に肝脾膿瘍を合併した感染性心内膜炎急性心不全症例

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    雑誌掲載版66歳、女性。突然の左上腹部痛を主訴に近医を受診し、CTにより脾動脈瘤切迫破裂と診断され当院に救急搬送された。血管造影にて最大径3cmの脾動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行した。塞栓術後、血液検査上、炎症反応が高値であったため、sulbactam/cefoperazoneを継続投与するも炎症反応の改善を認めず、第13病日に突然呼吸不全が出現した。心エコー検査で僧帽弁前尖および後尖に疣腫を認めたため、感染性心内膜炎(僧帽弁閉鎖不全症)による急性心不全と診断した。血液培養は陰性であったが、同日のCTで脾膿瘍および肝膿瘍が疑われ、感染源コントロール目的に脾摘出術、肝膿瘍ドレナージを施行した。抗生物質は経験的にimipenem/cilastatin+gentamicinを投与したが、炎症反応が改善傾向になくvancomycin+gentamicinに変更した。開腹術後侵襲を考慮し弁膜症手術を緊急で行うことを回避し、保存的に心不全感染コントロールをした後、第28病日に僧帽弁置換術を施行した。術後経過は良好であった。疣贅の培養検査および病理検査でも菌体は検出されなかった。本例は、感染性心内膜炎による急性心不全症例であるが、心不全コントロールが可能であり、明らかな感染部位に対して緊急弁膜症手術に先駆けて感染コントロールをしたことで、良好な経過を得たため報告する
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