12 research outputs found

    羊肉と乳の食文化―モンゴルの食

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     モンゴルの食文化は「赤い食べ物と白い食べ物」と表現される場合が多い。乾燥地帯での遊牧による家畜飼育を生業としてきたモンゴルでは,夏と秋には乳および乳製品(白い食べ物)が食べられ,冬から春には肉および肉加工品(赤い食べ物)が食べられる。生活様式は,年に数回の移動を前提とした「簡便さ」が優先される。 わが国とは対極に位置するといえるモンゴルの食文化を調査するために,2002年6月にウランバートルを訪れた。羊の解体と『ホルホック』料理,乳加工品のいくつかを写真入りで紹介する

    マレーシア・マラッカ地方のクリスタン料理について

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     Malacca is a historical port of Malaysia situated on the Strait of Malacca. It had been one of the ports on the way from Portugal to Japan during the Age of Great Voyage. The Cristang people are known as Portuguese-Malay Creoles who are the descendants of mixed blood with Portuguese during their occupation periods, and are one of the unique ethnic groups in Asia, not only in their religion of Roman Catholic but also in their language as well as their cuisine. The Cristang cuisine is based on Portuguese cooking method and is the hybrid of western, Malay, Chinese, Indian and Arabic cuisine using local ingredients. The characteristics of the Cristang cuisine are a complexity of deliciousness and a good balance among spicy, tangy, sweet and sour

    インド・ゴア地方の料理におけるポルトガルの影響について

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     Goa had been one of the ports on the way from Portugal to Japan between the middle of 16th century and the middle of 17th century and had been occupied by Portugal until 1961. As the Japanese food culture was greatly influenced by Portuguese, the author tried to study Portuguese influences on Goan food culture comparing that on Japanese food culture, and found there were some similarities. They cooked Portuguese dishes with local ingredients in the traditional way of cooking style and created original Creole dishes, however, a big difference is that they use a lot of Indian spices

    スローフード考

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     1986年にイタリアで生まれた「スローフード」という言葉は,わずかの間に驚くほど多くの人々に共感の輪をひろげていった。「スローフード運動」の本部は,発祥地であるイタリア・ピエモンテ州の小都市であるブラにあり,その支部は世界各地に存在する。この一連の動きに関する情報は, さまざまなメディアを通じてかなり豊富に取得することができるが,著者はそれらを再確認することを含めて現地調査を行った結果, ファーストフードに代表される画ー的な食文化の流行に抵抗する単なる反対や,昔の暮らしを憧れるノスタルジックな運動ではなく,「対案」として「スローな食文化」から「スローな生き方」を提唱する壮大な運動でありながら, じつは日常的な生活のあり方を問い直す地味な運動であること,また新しく大学がつくられてスローフード理論の構築と担い手育成を着実にすすめていること,さらにまちづくりにおいても「スローシティ」という新しい概念かつくられて,これまた世界各地に運動が展開していることを確認することができた

    長崎県の小離島に伝承されている醤油製法の調査研究

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     日本独特のしょうゆの出現は15~16世紀であり,江戸時代初期頃のしょうゆの製法は煮た大豆と炒った大麦を混合して麹を作り,麹に塩水を加えて発酵させた後竹の簀を立てて,この中にたまった汁液を汲み上げていたとされている。長崎県の小離島の一つである江島では,このようなしょうゆの製法が今なお伝承され,造り続けられている。江島しょうゆは淡色で香りが高く,色や成分は白しょうゆに近いものであった。江島しょうゆの製造方法の詳細を調査した

    日本の伝統的な漁村「伊根」における魚介類の利用

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     2003年9月,伊根町居住の10人の主婦に,魚介類の利用についてのアンケート調査を行った。10世帯で用いられていた魚介類の種類は54種,魚介卵4種と練り製品3種であり,魚介を用いた料理数合計は962であった。ほとんどの世帯で,多くの料理に使用されていた魚介類はいか類,あじ,いわし類,さば,かわはぎ類,とびうお,たちうお等であった。調理法別にみると,なま物,焼物,煮物,揚物,汁物,漬物,飯物,茄物,蒸物の順に多かった。この地方の伝統的な料理にはきりめいか,あじ・いわしのたたき,あなごのにこごり,しめさばとれんこだいの笹寿司,へしこ(糠)漬けなどがあり,主として行事食や客料理に用いられていた

    近畿地方における魚介類の料理

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     近畿地方では古くから多彩な魚介類の食文化が培われてきたが,現在,どのような魚介類料理が家庭で日常食や行事食に用いられているのかを知ることを目的とし,平成15, 16年度日本調理科学会特別研究「魚介類の調査」として行ったアンケート調査の中から,近畿地方の料理の状況をまとめたものである。調査時期は2003年9月から2004年8月。調査対象者は近畿2府4県に居住する主婦164人で,居住地域によって都市型(86人),農村型(54人),漁村型(24人)に分類して集計した。 12分類した調理法別料理数の比率は都市型,農村型,漁村型の順に,焼物29, 31, 28%, 煮物22, 23, 24%, なま物16, 14, 18%, 揚物11, 12, 14%, 飯・麺9, 8, 5%であった。焼物の中で多い料理は塩焼,焼く料理(塩干や味噌漬等),醤油焼(照焼,蒲焼等)で,煮物では煮付け,鍋物,甘から煮,なま物では刺身であったが,地域によって順位は異なった。正月,祝事,祭等の行事食が多く挙げられていた

    兵庫県3地域(丹波,尼崎,加古川)における豆,いも類の料理と利用

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     兵庫県中東部高地の丹波地域,東南部の平地にある尼崎市,および中南部の加古川流域に位置する加古川地域における現在の豆類といも類の利用状況を調査した。調査時期は平成13年7月~10月,調査世帯数は丹波13, 尼崎12, 加古川12である。 3地域で,料理の種類が多く挙げられていた豆類とその加工品は,豆腐,揚げ類,大豆,小豆,さやいんげんであり,いも類ではじゃがいも,さつまいも,やまのいも,里芋, こんにゃくであった。行事食には小豆料理が最も多く,赤飯,ぜんざい,小豆粥,おはぎ,餅が祝事,正月,祭,小正月,彼岸等に用いられていた
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