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    レンツィ内閣による憲法改正の結末

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     本稿は、レンツィ・ボスキの憲法改正案の内容を紹介・分析すること、二〇一六年一二月四日に実施されたレンツィ・ボスキ案の是非を問う国民投票の結果の特徴を明らかにすることにある。憲法改正案の内容の争点が、①現行の「構成も権限に差異のない」二院制を克服し、上院を国民代表機関から領域団体を代表する議院に変更し、政府信任権を奪う形で「構成と権限が相違する」二院制とすること、②競合的立法事項の廃止および幾つかの重要な立法事項を国の排他的立法事項へ移行することで、二〇〇一年の憲法改正によって生じた政府と州との関係の「混乱」を、整理し安定化することにあることが明らかになった。第二の国民投票については、まず、国民投票が、憲法改正案の内容の是非を問うものからレンツィ個人の政治手腕およびその内閣が実施した政策に対する信任を問うプレシビットに転化したといえる。第二は、予想に反して反対派が六〇%で圧勝したことである。第三は、国民投票における反対率と有権者の経済的条件との間には相関関係があること、また、賛成票・反対票の分布は、イタリアの南北格差にも関係があることが分かった。本稿は、最後に国民投票後の動向について、総選挙をめぐる対立(どの選挙法で、いつ行うべきか)についての現状をまとめた
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