10 research outputs found

    構成的グループ・エンカウンター実施時における参加者の心理的変化の測定について-生理指標による測定の試み-(人間学部,聖泉大学)

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    本研究は,構成的グループ・エンカウンター実施時の参加者の心理的変化を,生理指標により測定することを試みた。研修参加者のうち15名(男子8名,女子7名)を対象に,各セッション後の気分を質問紙により測定するとともに,血圧計を用いて血圧と心拍数を測定した。各対象者について,気分の評定値と血圧,心拍数の対応関係を調べたが,一貫した関係性は認められなかった。しかし,比較的対応度の高い対象者と低い対象者について,対応関係や気分の変動を検討したところ,高い対象者は気分に変動がみられ,セッションを概ねポジティブに感じていること,低い対象者は気分の変動に乏しく防衛的になっている可能性があることなどが示唆された

    進路選択自己効力とキャリア教育およびキャリア支援プログラムの有用性との関連

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    本研究は,大学3回生対象のキャリア教育プログラム(career education program:以下,CEP3)や,大学の就職部・キャリアセンターが行ってきたキャリア支援プログラム(careersupport program:以下,CSP)に対して受講生が役に立ったかどうかという捉え方の程度(役立ち度)が進路選択自己効力と関連するのかを明らかにすることを目的とした。計21項目のCEP やCSP に対する役立ち度得点について因子分析を行ったところ,「就職情報調査獲得因子」「就職活動表出因子」「自己分析因子」の3因子が抽出された。各因子の役立ち度得点,および「相談相手の経路数」「アルバイト総継続期間」の5つを説明変数とし,進路選択自己効力尺度得点を目的変数とする重回帰分析を行った結果,「自己分析因子」に関連するプログラムに対して役に立つかどうかという捉え方と進路選択自己効力に関連があることが明らかとなった。これらの結果は,自己分析に関連したプログラムが進路選択自己効力の向上に効果的である可能性を示唆する。さらに,CEP が行われた授業への出席率と進路選択自己効力との違いを検討した結果,CEP を受講することが進路選択自己効力の低下防止に繋がる可能性が示唆された

    地方小規模心理系単科大学における心理学教育の評価-日本心理学諸学会連合の心理学検定試験を用いて-

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    本稿では,心理学を教育・研究する地方小規模単科大学で学んでいる学生の心理学検定試験の結果と,それらの学生が大学で受講した心理学専門科目の成績との関連から,その大学の心理学教育の効果を検討することを目的とした。その結果,回生が上がるにつれて心理学検定試験の合格科目数や級取得割合は増加した。また,A 領域の合格科目数はA 領域に関連する大学開講の心理専門科目の単位修得科目数や平均得点と正の相関が認められ,大学開講の心理専門科目の成績から予測できることが示唆された。さらに,A 領域の各科目に関連した心理専門科目得点は,A領域の各科目において不合格者群よりも合格者群で高く,級未取得者よりも級取得者で高かった。これらの結果は,心理学教育の効果が認められたことを示している。これらの結果を踏まえ,調査を行った大学で展開されている心理学のカリキュラムや心理学専門教育の質が学生の確実な成長を保証する内容となっているかを考察するとともに,心理学のカリキュラムを展開する大学の内部質保障システムのツールの1つとして,心理学検定試験の利用可能性と問題点について考察した

    ラットのオープンフィールド行動に及ぼす扁桃体中心核損傷の効果(人間心理学科)

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    本研究は, 扁桃体中心核が無条件性(非学習性)恐怖反応の表出に関係するのかを明らかにすることを目的とし, 無条件性恐怖の指標であるオープンフィールド中央部での活動性を扁桃体中心核損傷ラット(n=8, AMY-C群)と統制ラット(n=8, CONT群)で比較した。その結果, オープンフィールド中央部での滞在時間や進入回数において, AMY-C群とCONT群に有意な差は認められなかった。この結果は扁桃体中心核が無条件性の恐怖反応の表出に関係しないことを示唆する。扁桃体中心核損傷により恐怖条件づけの獲得が障害されることを報告している先行研究と本研究の結果に基づいて, 恐怖条件づけにおける扁桃体中心核の役割について考察する

    視線方向の遅延標本非照合課題におけるマカクザルの解決方略の検討(人間心理学科)

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    本研究では,マカクザルにおける視線方向の遅延標本非照合課題の解決方略をプローブテストによって調べた。その結果,サルは目の持つ幾何学的情報や輝度情報を手がかりにして視線方向の遅延標本非照合課題を遂行していた可能性は低いことが明らかになった。これらの結果は,サルは視線方向の遅延標本非照合課題において,ヒトの顔が自分を見ているのか見ていないのかを手がかりにして遂行していた可能性が高いことを示唆する。したがって,マカクザルが他個体の視線が自分に向いているのか向いていないのかを認知する能力が備わっていると考えられる

    大学新入生の大学適応を促進する授業プログラムの検討(人間学部人間心理学科,聖泉大学)

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    本研究は,大学新入生の大学適応や心理的成長を促進する授業プログラムを構築・実施し,新入生の心理的側面や大学適応感への効果を検討した。その結果,3ヶ月間で他者への不信や大学生活不安が増大したが,一方で授業を受けて自己理解が促進したと感じた者ほど,大学不適応感が低下し,クラスに対する評価が肯定的になる傾向も見出された。今後,プログラムの長期的実施,短期集中的実施,少人数グループによる実施など,実施方法を工夫することで,より大きな効果が期待されることが論じられた。また,グループ共同作業は自己理解の促進との間に比較的強い正の相関がみられ,グループが自己理解を深めるのに有効であることが示唆された
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