A市における乳幼児の生活習慣の実態と今後の課題

子どもたちの発育には,早寝早起きの生活リズムの確立や十分な睡眠の確保が重要である。A市における幼稚園児と保育園児の起床時間は7時が,就寝時間では22時が最も多くみられた。幼稚園児の就寝時刻では,18時30分から23時の差がみられ,保育園児では20時から23時の差がみられ,23時に就寝する幼児は11名であった。就寝時間は両者において有意差がみられた。また,22時以降に就寝する児は2～3名と数名ではあるが2歳からみられ生活リズムが夜型化していた。幼少期から望ましい生活リズムや生活習慣を獲得することは,子どもの将来の健康にとって重要である。今後はさらに,文部科学省がはじめた子どもの生活習慣改善のための「早寝・早起き・朝ごはん」を家族全員で意識し取り組むことから始めることも必要であると考える。また,両児とも遊び場所は家の中での遊びがほとんどであった。遊びは,子どもたちが成長発達していく上でのエネルギーの源であり,遊びを通して多くの社会性を身につけ多くのことを学び自立していくものである。子どもたちの安全を守りながら,大人も一緒に遊んであげているというスタンスではなく,大人の趣味や得意な遊びを取り入れて積極的に遊びを楽しむ姿勢を持つことが必要である。Getting enough sleep on a daily basis is essential for the growth and development of children. Among children going to kindergartens or nursery schools in the city of A, it was most common to get up at 7:00 and go to bed at 22:00. The time of going to bed varied from 18:30 to 23:00 in kindergarteners, and from 20:00 to 23:00 in nursery school children, showing a significant variation in each group, and there were 11 children who went to bed at 23:00. Regarding the TV/video viewing time, a daily mean of 120min was the most common, with a significant variation in each group. There were even a few 2-year-olds going to bed at 22:00 or later, indicating young children\u27s daily rhythms shifting to later hours. Following an appropriate daily rhythm and lifestyle from early childhood is important for the person\u27s future health. As a starter, it may be necessary to consciously practice, with the whole family, the "go to bed early, get up early, and have breakfast" strategy to improve children\u27s lifestyles, proposed by the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology. It was also notable that children in both groups stayed indoors for most of their playtime. Playing and activities promoting the growth of children allow them to develop social skills and learn many things necessary for their independence. When enjoying children\u27s company, it is necessary for adults not to behave as guardians of children\u27s security, but to positively interact with them in their hobbies or something they are good at

地域看護学領域における「卒業研究」の動向 : 生活習慣・健康に関する研究から

9年間の学生の看護研究から,地域看護学領域における地域看護学領域における学生のテーマ,興味・関心などの変化を明らかにし,教育改善の示唆を得ることを目的とし研究を行った結果,1999年から2007年に本学科の看護研究として取り組んだ561件のうち,地域看護学領域に関する研究論文93件であった。研究テーマは2つに分類でき,「生活習慣・健康」と「在宅看護」にほぼ分類できた。生活習慣・健康に関してみると,6グループに分類でき,「ライフサイクル別に見た生活習慣に関する研究」15件と「健康の捉え方・あり方に関する研究」20件に大別できた。研究対象はすべてのライフサイクルにある人々を対象にしており,調査場所も広範囲にわたっていた。その時代や社会で関心のもたれている内容を取り上げるなど社会背景を反映したテーマに関心をもっていた。そして,看護の対象となる「健康」について関心をもつことは重要なことである。そこから波及するさまざまな要因や影響など,そして時代や社会情勢により関心を高めていく姿勢を持ち続けてほしいと考える。This study aimed to clarify changes in students\u27 research themes and interest in the area of community nursing from their nursing studies over the past 9 years, and obtain suggestions for improvements in education. Of 562 graduation theses written by students in our department during the period of 1999 to 2007, 93 addressed issues in the area of community nursing. The study themes were roughly classified into two categories: "lifestyles and health" and "home nursing." The former category, consisting of 6 subcategories, largely involved two types of study: 15 "studies on lifestyles in light of the life cycle" and 20 "studies on attitudes toward health and how it should be." These studies targeted people at all stages of life, and covered an extensive geographic area. They had themes reflecting the social background, addressing issues that attracted interest from society at the time. It is important to develop an interest in "health," the subject central to nursing. We hope that our students will maintain an attitude to further their interest in its various factors and effects in the context of the times and social conditions

機能訓練事業の学生の学びと今後の課題

高齢社会の中,高齢者の在宅ケア支援が必須課題の今日,在宅ケア関連施策は急速に充実が図られている。その中で,全高齢者の約8割は健康な人たちと言われる。何らかの疾病や軽度の障害を抱えながらも寝たきりや痴呆にならず,自立した生活を営んでいる高齢者に対して,その自立した生活を維持・助長するための一方法として,地域で行われているリハビリ教室という保健事業がある。地域看護学実習では,平成9年度から取り入れて行っている。今回学びを分析した結果,施設内で行われている治療的機能訓練から,地域で行われている自立支援の訓練へと継続した支援が行われていることから,その関連性を見出しその必要性が理解できていた。さらに集団の結びつきの強さとその効果を感じ取ることができていた。今後,集団へのアプローチの方法について具体的に理解を深めることができるよう演習等を取り入れた教育内容の工夫をしていきたい

訪問看護ステーション実習での学生の学び

平成12年から介護保険が開始となり,ますます在宅看護が重要視されるようになってきている現在,訪問看護ステーションは在宅看護での中心的な役割を担ってきている。看護基礎教育の中でも平成9年に「在宅看護論」が打ち出され,各学校の教育理念に基づき,色々な科目への位置付けと教育方法で教えられている。本学も平成12年度から教員が同行して行う訪問看護実習から,在宅看護の重要な役割を担っている訪問看護ステーションからの同行訪問実習へと変更した。そこで,今回訪問看護ステーションを利用した訪問看護実習の学生の学びを分析した結果,5つのカテゴリーを構造化することが出来た。その結果,学生は訪問看護ステーションスタッフと在宅療養者と関わることで,地域で療養生活を送っている本人とその家族を理解し,またその対象を支えている訪問看護ステーションの意義や役割を理解することが出来ていることが明らかになった。また実習方法について,今後検討していくべき課題を得ることが出来た

保健師教育課程における学校保健室実習の学びと今後の課題

「学校保健室実習」として授業科目の「地域保健指導論・学校保健」に位置づけ実習を行っている。養護教諭2種免許取得に当たっての実習は,学校の裁量に任されているが,A専攻科では申請による資格取得であっても体験することを重視し理論と実践を統合することができる学生を輩出することをねらい実施している。そこで,今回学校保健室実習として養護教諭の職務などを通しての学生の学びを明らかにした結果,実習年度により抽出されたコード数に大きな差がみられたが,抽出された9つのカテゴリーは,実習目標に関連する【保健教育の理解】【養護教諭の役割】【養護教諭の活動内容】【他者との連携】【安全管理の理解】【対象の理解】【保健室の役割】【学校保健計画】【現場の課題】であった。今後は,学校現場での養護教諭との意思疎通を図り,よりよい実習指導となるためには何が必要かについての共通認識と連携を図りながら検討を重ねていく必要がある。The community nursing course provides "training in the school nurse\u27s office," a practice assigned to the specified subject "community health guidance theories-school health." Each college is permitted to arbitrarily design training for students to obtain the class II nursing teacher qualification. However, our college puts emphasis on real experience to allow students to successfully integrate theories and practices by themselves, even though the license is basically given to all applicants. This study was intended to clarify the condition of students\u27 learning from their experience of nursing teacher\u27s work in the practice. Although a significant difference was found in the number of codes extracted from each college year, nine categories related to the training goal were observed: "understanding of health education," "a nursing teacher\u27s roles," "a nursing teacher\u27s activities," "cooperation with others," "understanding of safety management," "understanding of the target," "roles of a school nurse\u27s office," "school health plans," and "onsite challenges." The results suggest the necessity of continuously discussing and cooperating with nursing teachers on site to come to a consensus on requisites for better guidance in the practice

本学看護学生の卒業期における地域看護学に対する看護概念の認識構造

地域看護の対象は,地域で生活している様々な発達・健康段階にある人々であるため,施設内の看護にとどまらず継続して地域における看護へと一人の看護の対象者に関わる視点を広げ養うことが重要となる。そのため本学では,実習場所を地域の保健医療福祉施設を活用し包括的に学習できるようにしている。そこで,今回は保健医療福祉施設実習から学び得た内容の分析を通して,卒業期における地域看護学を統合した教育効果を検討した。保健関連では,直接保健婦と関わることから保健婦の活動方法や役割等,医療関連では医療看護の特徴を踏まえた訪問看護婦の役割や診療所の機能等,福祉関連では地域性を踏まえた福祉の中での看護職の役割,地域ケアシステムの理解等のカテゴリーに分類できた。総合的には,「対象理解」「他職種・他機関との連携」についての認識はできているが,対象者の権利を守るという看護職の役割の認識が少ないことが明らかになった。対象を支援していく上で,保健医療福祉の連携は不可欠であり,そのため看護職の調整的役割の必要性が捉えられていると考える。今後は幅広い健康の捉え方や倫理的側面等の教授内容を強化したいと考える

公的介護保険制度の未利用者の状況 : A郡O町の調査から

我が国では急速な高齢社会の進展に伴い,高齢者が高齢者を介護している現実である。この問題が老後の最大の不安要因にもなっている。そこで,2000年4月から高齢社会に対応する社会保障の構造改革の第一歩とされ,介護を社会全体で支え,利用者の希望を尊重した総合的なサービスを安心して受けることが出来る仕組みを創ろうとする目的で,公的介護保険制度が開始され2年経過した。そこで現在,公的介護保険制度が地域の人々の生活にどのように浸透し,在宅療養者とその家族の介護生活がどのような変化をもたらしたか現状を明らかにすることを目的に調査を行った。その中で公的介護保険制度の利用申請を行い介護認定は受けたが,サービスを利用に至っていない方の思いや生活の状況を明らかにし今後のサービスのあり方を考察した

鳥取県西部地震による新見市千屋地区被災高齢者への支援活動の報告 : その2 高齢者世帯への短大ボランティア訪問活動の実際と課題

鳥取県西部地震で被害を受けた新見市千屋地区の高齢者世帯へ,短大有志によるボランティアとして訪問活動を行なってきた。震災後1ヶ月目から開始した第1期,冬場の第2期,2001年5月からの第3期と継続し,既に一年を経過しようとしている。今回は,第3期前半の7月末現在までの活動を報告対象とし,その実際と課題について検討した。訪問時の活動は,主として健康観察,家事援助としての掃除,窓拭き,障子貼り等を行なってきた。いずれも,高齢で身体的障害のため,震災後の不安などで気力が低下している時等なかなか日常生活の中で行動に移せないことばかりで,大変喜んでいただいた。また,学生の訪問をとても楽しみにして下さり,学生にとっても役に立ったと思える援助ができボランティアの意義を十分理解することができた。今後も,訪問活動を継続するとともに,新見市生活福祉部および,社会福祉協議会との連携を図り,より組織的な活動となるよう努力したい

ITを活用した山間地域の在宅高齢者と看護学生とのコミュニケーション : 在宅高齢者への健康・生活相談を通しての学び

A短期大学の看護学生と看護教員で、平成14年度から「新見まごころネットワーク」として健康・生活相談に関するソフトの開発、運用マニュアルを作成し、平成15年7月から運用している。今回、情報処理教育のカリキュラムである医療情報Aの科目において、看護学生が「まごころネット」ヘアクセスし、その学びを内容分析の手法を用いて明らかにした。その結果、看護学生がHPへアクセスすることにより、看護学生が在宅高齢者との関わりを通して、高齢者理解が深まること、在宅高齢者が学生に生活上の知恵を伝えられる場になること、看護職あるいは看護学生と在宅高齢者がITを使ってコミュニケーションをとることができるので、疾病予防につながることや地域での高齢者を見守ることができること、さらには地域の高齢者の生きがいになること、高齢者同士の交流の場にもなること、地域全体の健康意識の向上につながることなど地域看護活動の役割や重要性について学ぶことができることが明らかになった。The nursing students and instructors at a junior college developed software for health/welfare consultation called "Niimi Magokoro Network" and a manual for its use in 2002, and began to use them in July 2003. In this study, nursing students accessed the "Niimi Magokoro Network" in Medical Information A as a subject in the information processing education curriculum, and their learning was clarified by the content analysis method. As a result, this network may contribute to the followings

臨地実習指導者および教員のリスクマネジメント研修会の報告 : 3年間の臨地実習施設連絡会議より

Clinical training plays an important role in nursing education. In the clinical training, cooperation of clinical training institutions and instructors, and strengthening of mutual understanding and leadership are indispensable. In the clinical training institutions\u27 liaison conferences for the three years in 2000-2002 of the Department of Nursing, Niimi College, lectures and workshops were done under the main theme, "The Risk Management in Clinical Training." The titles of the lectures were "The View of the Risk Management in the Medical Settings" (2000), "Risk Management of the Nursing Settings" (2001), and "The View of the Risk Management in Clinical Training" (2002). The "Incident" examples inclinical training were used in the workshops