6 research outputs found

    相撲の文化史にみる「伝統」と「近代」 -武道の教材研究の試み-

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    本研究は、日本の「伝統」を教えるための「相撲の教材研究」のひとつの試みである。江戸時代後半から衰退し始め、近代日本においてその存続を危ぶまれた相撲は、「国内に向けたナショナリズム」と「国外に向けての倫理主義」を前面に押し出すことで、近代日本の「国技」として存続し発展してきた。その際、近代相撲にはじめて現れた「天覧試合」「国技館」「品位・礼節」などは、「創られた伝統」として「内に向けたナショナリズム」と「外に向けての倫理主義」を象徴するものだったのである。つまり、相撲における「品位・礼節」は、近代になって発明された「伝統」に過ぎず、それを教える意義は、少なくとも、「伝統」の教育としてではない。では、学校体育で教えるべき相撲の「伝統」とは如何なるものか。「身体」に焦点化しながら考察する

    制野俊弘の体育の授業実践に関する考察-運動文化論の実践プログラムを超えて-

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    制野俊弘の学校体育の授業実践は、運動文化論の実践プログラムの適用例として高く評価されてきた。しなしながら、同じ実践プログラムの適用によって、誰もが制野と同様の授業を展開できるわけではない。本論文では、制野の授業実践から、プログラムとは異なる要素を抽出し、その再解釈を試みる。運動文化論の実践プログラム、制野の授業実践、制野の授業外での実践について考察しながら、一方では、制野の授業実践に運動文化論からの影響が色濃く反映していること、しかし他方では、制野は子どもたちの生活文化にまで立ち返って子どもたちの状態を把握し、授業のなかで子どもたちの意見に対応しながら、自らの計画を柔軟に変化させ、子どもたちに学びのリアリティーを付与していた事実を描こうとする

    PISA型「読解力」のためのバスケットボール教材の検討 -「ゲームの心電図」と「パスの相関図」を中心に-

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    PISA調査の結果から日本の子どもたちの「読解力」の低下が問題視されている。これを受けて文部科学省は􀀀型「読解力」を学校の全教科を通じて取り組むべき目標に掲げている。こうした提言にもとづくかたちで、近年では、PISA型「読解力」の育成に貢献しうる体育授業の教材についての研究も散見されるようになっている。しかなしながら、固定化された体育観と読解力の定義のもとで、そうした取り組みが一般化されないばかりか、「体育」と「読解力」を結びつけようとする試みに疑問すら投げかけられている。本研究では、固定化された体育観と読解力の定義のもとで見落とされてきた体育授業の可能性を掘り起こす意味で、PISA型「読解力」が如何なる能力を意味し、そして体育の授業-特にバスケットボールの「ゲームの心電図」と「パスの相関図」-には、PISA型「読解力」を育成する如何なる可能性が潜在しているのか、について明らかにする
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