315 research outputs found

    GPUおよび領域分割を用いた粒子法による流体シミュレーションの高速化

    Get PDF
    流体シミュレーションの手法として、計算対象の空間を格子によって分割し、格子点上の固定された計算点を用いて計算を行う格子法が用いられてきた。代表的な方法として差分法、有限要素法などが挙げられる。しかし、この手法には、流体の自由表面の追跡の為に特別なスキームが必要なことや複雑形状に対する格子生成の手間がかかるなどの課題があった。この課題の解決法の1つである粒子法は、連続体を有限子の粒子によって表し、連続体の挙動を粒子の運動によって計算する方法である。各粒子は速度や圧力といった変数を保持しながら移動するので格子は使われない。非圧縮性流体を扱うための粒子法については、越塚らがMoving Particle Semi-implicitMethod(MPS法)という方法を提案した。MPS法は半陰的アルゴリズムを用いており、微分演算子に対する離散化方法として、粒子間相互作用モデルを用いて流体の支配方程式の離散化を行っている。本研究では、粒子法による流体シミュレーション、特にUniform Gridを用いた領域分割による近傍にある粒子探索の高速化と、CUDAを用いたGPUコンピューティングによるシミュレーションの高速化を行った。CPU上のシミュレーションの高速化では、Uniform Gridによる領域分割の効果で近傍の粒子探索が高速化され、全体の計算時間がCG法の1.5乗のオーダーでスケーリングされることを確認した。これに加え、OpenMPを用いた並列化により、粒子数が13万個の時、初期のプログラムと比較し約46倍の高速化を達成できた。GPU上のシミュレーションの高速化では、GPUに搭載されている様々なメモリを活用し、Uniform Gridを用いたシミュレーションプログラムを作成した。また、シェアードメモリを使い、グローバルメモリとのアクセス回数を更に減らす変更を加えたプログラムも作成した。この変更は、探索する粒子数が大きく増加する3次元のシミュレーションでより大きな高速化が見込まれる。粒子数が13万個の時、CPUと比較し約7倍の高速化を達成できた。電気通信大学201

    受精鶏卵を用いたヒト腫瘍転移実験モデルの確立とその応用

    Get PDF
    金沢大学がん研究所本研究では転移の抑制および転移癌の治療法の開発を最終目的として、受精鶏卵を用いるヒト癌転移実験系を駆使して、転移性癌細胞の悪性形質発現に係わる生体物質並びに転移過程におけるそれらの発現意義を明らかにするとともに、転移抑制に有効な物質および効果的な使用法の研究開発を展開している。平成4年度の研究では、受精鶏卵胎児におけるヒト癌細胞の転移動態を明らかにし、さらに、ノーザンブロット法または特異抗体を用いた免疫組織化学染色法により高転移性癌細胞に発現される細胞外マトリックス分解酵素ならびに細胞接着因子を解析した。平成5年度は4年度の研究成果を基に、マトリックス分解酵素および細胞接着因子に対する阻害剤による転移抑制の可能性について検討した。その結果、フィブロネクチンあるいはラミニンに対する接着阻害合成オリゴペプチドとインテグリンβ_1サブユニットのmRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドはヒト線維肉腫細胞であるHT-1080の転移を抑制し、接着因子が転移抑制において有用な標的となる可能性が示された。一方、本研究で試験した市販試薬級のマトリックス分解酵素阻害剤は明らかな転移阻害活性が認められず、持続的効果と癌細胞の浸潤局部への集積性を考慮した新たな阻害剤を開発する必要性が考えられた。また、現在開発中の抗腫瘍性2\u27-デオキシシチジン誘導体、CNDAC(2\u27-cyano-2\u27-deoxy-1-β-D-arabinofuranosylcytosine)およびDMDC(2\u27-deoxy-2\u27-methylidenecytidine)の転移抑制効果についても受精鶏卵法により検討した結果、CNDACとDMDCはともにヒト癌細胞の微小転移巣に対して強い治療効果を示すことが明らかとなった。微小転移巣の早期診断と治療は癌の治療の成否を決定づける最も重要な要因である。CNDACおよびDMDCはヒト癌細胞の微小転移巣に対して強い治療効果を示し、微小転移巣の早期治療や転移予防への実際的な応用も期待される。研究課題/領域番号:05152052, 研究期間(年度):1993出典:「受精鶏卵を用いたヒト腫瘍転移実験モデルの確立とその応用」研究成果報告書 課題番号05152052(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05152052/)を加工して作

    新しい合成制癌剤の開発

    Get PDF
    金沢大学がん研究所新しい化学構造ないし作用機序をもつ新しい合成制癌剤の開発を目指して、主に複素環化合物類の化学合成を行い、それら新規合成化合物の分化誘導活性と鶏卵法やヌードマウスを用いてヒト癌を含めた抗癌活性の検討を行った。1.既知制癌剤AraC と5FUの療法の性質を兼ね備えた新規化合物2\u27-メチリデンシチジンが顕著な抗白血病作用をもつことは前年度に報告した。今年度はこの物質の制癌効果を更に検討した結果:(1)静脈内及び経口投与でも有効である(2)AraCや5FUとは異なりP36(ヒトメラノーマ)にも有効である(3)Lewis 肺癌、M5076肉腫に対しても顕著な効果を示す(4)マウスでの骨髄毒性は、AraCに比して弱いこと等が明らかになり、ヒト固型腫瘍にも有効な新規制癌剤として極めて有望であることが確認された。2.新たにイミダゾールヌクレオシド類を合成し、その制癌活性を検討中であるが、invivoの実験系で腫瘍に対する選択性が極めて高く且つ毒性の低い物質であることが確認され、今までに報告されていないタイプの新規制癌剤として期待される。3.チロシンキナーゼ阻害剤であるハービマイシンAによるヒト骨髄性白血病細胞(K562)の分化誘導と増殖抑制効果を詳細に検討の結果、癌遺伝子産物の活性を特異的に抑制する薬剤は、分化誘導を介して制癌効果を発揮することが明らかになった。この新知見は、今後の新規合成制癌剤開発の重要な指針となるものと考えられる。4.新たに合成したフツ素あるいは水酸基を有する2種類のブスルファン誘導体(BFSおよびBIT)はいずれもブスルファンに比べて有意に坦癌動物に対する延命効果が優れており且つ動物に対する致死効果が小さい。これら誘導体は、chromic myeloid leukemia治療薬として、ブスルファンに勝る効果が期待される。研究課題/領域番号:63010031, 研究期間(年度):1988出典:「新しい合成制癌剤の開発」研究成果報告書 課題番号63010031(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-63010031/)を加工して作

    休止期細胞の動員と転移抑制効果を有する新合成制癌剤の探索

    Get PDF
    金沢大学がん研究所我々が既に報告した2\u27-メチリデンシチジン(DMDC)は臨床応用の可能性が極めて高い特色ある抗癌剤として開発中であるが、このDMDCの2\u27ーメチリデンヌクレオシド誘導体である5ーフルオロシトシン体(5FDMDC)は、AraC及び5FUなどの既存抗癌剤が無効なヌードマウスに移植したヒト腫癌に対しても有効であることが確認された。さらに、各種ヒト腫癌細胞に対するin vitroのターゲットスペクトラムも明らかにAraC、5FUとは異なり、AraCの不活性化酵素であるシチジンデアミナーゼによって不活性化されず、骨髄毒性もAraCに比して弱いという特徴を有することも明らかなった。一方、核酸塩基部に不飽和官能基を有するヌクレオシドとして新たにエチルイミダゾールリボシド(EIR)を合成し、その抗腫癌活性を検討結果、in vivoの実験系で固型腫瘍に対しても有効であり、且つ低毒性の物質であることが確認された。Cyclic AMP 依存性蛋白リン酸化酵素Aー及びCーキナーゼに対する一連のイソキノリン及びスタウロスポリン誘導体の作用と細胞増殖に及ぼす影響を検討結果、Nー[2ー(4ーchloro-alpha-methylcinnamylamino)ethyl]-5-isoquinolinesulfonamide(H-87)がAーキナーゼを強く阻害し、AーキナーゼがG_1→S期の移行を促進的に、S→G_2期の移行には抑制的に関与していることが示唆された。胆汁酸を脱離基とするシクロヘキサンジアミン白金錯体類を新たに合成し検討結果、癌細胞の肺転移を顕著に抑制することが明らかとなった。全く新しいタイプの合成抗癌剤としての進展が期待される電子伝達系の5ーデアザフラビン類及び関連化合物の活性構造相関をin vitroの抗腫瘍活性を基にほぼ確立し、同じく新合野であるシコニン類縁体の合成に関しても簡便で信頼性のある合成法の確立に成功し、それらの抗腫癌性、癌転移抑制効果及び癌細胞周期に与える効果を検討中である。研究課題/領域番号:01010024, 研究期間(年度):1989出典:「休止期細胞の動員と転移抑制効果を有する新合成制癌剤の探索」研究成果報告書 課題番号01010024(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-01010024/)を加工して作

    多機能化ヌクレオシドの抗腫瘍活性の解析と応用

    Get PDF
    金沢大学がん研究所既存のような静的な抗がん剤ではなく、反応性を持つ動的な抗がん剤として我々が開発した抗がん化合物であるCNDACを母化合物とし、4位のアミノ基にアシル基を導入した誘導体を合成し、M5076肉腫を移植したマウスの生存率および腫瘍抑制率によって抗腫瘍効果を評価した。BD2F1マウスにM5076肉腫を皮下に移植し、3日おきに計6回経口投与を行い、20日後の腫瘍抑制率および60日後の生存率を求めた結果、アシル基としてC=16のパルミチン酸を導入したPal‐CNDACが腫瘍抑制率99.2%、生存率5/6と母化合物よりも優れた抗腫瘍効果を示した。次にヒト腫瘍に対する効果を検討する目的で24種のヒト腫瘍培養細胞を用いて、in vitroにおける殺細胞効果を検討した結果、大腸がん、乳がんのそれぞれ1株を除いたすべての細胞株で母化合物よりも強い殺細胞効果を示した。また母化合物ではほとんど効果を示さない膵がん、乳がんに対しても有効であった。次にin vivoにおける抗腫瘍効果をヌードマウスに皮下移植した胃がん(4株)、乳がん(3株)、肺がん(1株)を用いて検討した。移植後、腫瘍サイズが100‐300mm^3に達したところで薬剤を経口投与で3日おきに計6回投与したところ、フルオロウラシル系の核酸代謝拮抗剤が効きにくい胃がんのSt‐40やSt‐4に対して、Pal‐CNDACは母化合物のCNDAC、5\u27‐DFUR、5‐Fuなどよりも少ない投与量(150mg/kg)で95%以上の高い腫瘍抑制率を示した。この様にin vitro、in vivoそれぞれにおいてヒト腫瘍に対し、CNDACにアシル基を導入したPal‐CNDACは強い抗腫瘍効果を示し、臨床応用が期待される。研究課題/領域番号:07274227, 研究期間(年度):1995出典:研究課題「多機能化ヌクレオシドの抗腫瘍活性の解析と応用」課題番号07274227(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-07274227/)を加工して作

    受精鶏卵を用いたヒト腫瘍転移実験モデルの確立とその応用

    Get PDF
    金沢大学がん研究所癌治療の成否は癌の転移および再発をいかに防ぐかにかかっている。転移の完全抑制こそ、癌治療の最大の課題と言える。本研究では転移の抑制および転移癌の治療法の開発を最終目的として、我々が独自に開発した受精鶏卵を用いるヒト癌転移系と転移細胞の検出法を駆使して、転移抑制に効果的な物質および効果的な使用法の研究開発を展開中である。平成4年度の研究では、特異的DNA増幅反応法(PCR:Polymerasechainreaction法)を応用した転移細胞検出法及び病理組織学的手法を用いて受精鶏卵胎児におけるヒト癌細胞の動態を中心に調べた。その結果、受精鶏卵の血管内に移植したヒト癌細胞は移植後数分間で胎児組織に90%以上補捉され、移植後8時間から24時間以内に血管外に移行し、24時間後より増殖することが明らかになった。受精鶏卵法により、標的臓器の血管内皮細胞への接着、基底胯浸潤、増殖の各転移過程における癌細胞の生物学的解析が可能であることが明らかにされた。さらに、ヒト癌培養細胞にやけるIV型コラゲナーゼ及びその特異的阻害因子TIMP(tissueinhibitorofmetalloproteinase)の発現をノーザンブロット法により調べた結果、高転移性の線維肉腫栽養株、HT-1080ではIV型コラゲナーゼが恒常的に発現しているのに対して、その阻害因子の一つであるTIMP-1の発現がみられないことから、コラゲナーゼの発現と供に、TIMPによる活性制御が転移・浸潤において重要な意義を持つことが明らかになった。特異抗体を用いた免疫組織化学染色法によりヒト癌細胞の転移巣における細胞接着因子、コラゲナーゼ及びプラスミノーゲンアクチベーターの発現を調べた結果、ヒト線維肉種HT-1080細胞の鶏卵胎児肝転移巣ではフィブロネクチン、ラミニン及びコラーゲンに対する接着受容体であるVLA-3(α_3β_1インテグリン)の発現は見られるが、フィブロネクチンに対する接着受容体であるVLA-5(α_5β_1インテグリン)の発現は見られないこと、さらにIV型コラゲナーゼ、間質コラゲナーゼ及びウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターなども高レベルで発現していることが明らかになった。研究課題/領域番号:04152051, 研究期間(年度):1992出典:「受精鶏卵を用いたヒト腫瘍転移実験モデルの確立とその応用」研究成果報告書 課題番号04152051(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04152051/)を加工して作

    休止期細胞の動員と転移抑制効果を有する新合成制癌剤の探索

    Get PDF
    金沢大学がん研究所本年度も種々の新しい知見が得られたが、その中でも進展の著しかった転移抑制物質スクリ-ニング法を中心に記述する。転移抑制物質のスクリ-ニング法として鶏卵法の有用性をさらに追求すべく、転移抑制試験に使用可能なヒト腫瘍細胞の探索を行なった。25種のヒト腫瘍培養株について鶏卵胎児における実験転移能を調べた結果、骨軟部悪性腫瘍4株(HTー1080,MNNG/HOS,SKーESー1,MGー63)、胃癌(KKLS)、肺癌(PCー8)、結腸癌(COLO320)、喉頭癌(HEpー2)、及び膀胱癌(Tー24)は鶏卵胎児の肝及び肺に転移することが明らかとなった。従って、これらの転移性ヒト腫瘍を用いることにより腫瘍型に応じた転移抑制物質の探索が可能となった。癌遺伝子は正常細胞の癌化のみならず、癌の転移・浸潤能の発現にも関与することが既に知られている。癌の転移形質発現に関与する癌遺伝子を標的とした転移抑制物質のスクリ-ニング系の確立を目的に、鶏卵法を用いて、癌遺伝子で形質転換したマウス胎児細胞株NIH/3T3の転移実験を行なった。具体的には癌遺伝子Haーras、Kiーras、src、abl、及びfosで形質転換したNIH/3T3細胞を受精鶏卵漿尿膜上の血管内より移植し、鶏卵胎児の肝及び肺における転移細胞を我々が開発したPCR法を用いる転移腫瘍検出法により定量的に検出した。その結果、これらの形質転換細胞はいずれも鶏卵胎児臓器に転移し、中でもras遺伝子(vーHaーrasおよびvーKiーras)形質転換NIH/3T3細胞は極めて強い転移性と転移臓器における高い増殖能を示した。以上の結果は、他の実験動物を用いた転移実験の結果と一致し、鶏卵法が転移実験系として有用であることが確認された。鶏卵法および癌遺伝子形質転換細胞を用いることにより転移関連癌遺伝子に照準を合わせた転移抑制物質の開発研究が期待されると共に、転移機構解明に有用な実験系となることが期待される。研究課題/領域番号:03151021, 研究期間(年度):1991出典:「休止期細胞の動員と転移抑制効果を有する新合成制癌剤の探索」研究成果報告書 課題番号03151021(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-03151021/)を加工して作

    新しい合成制癌剤の研究

    Get PDF
    金沢大学がん研究所1.水溶媒中でミセルを形成するように胆汁酸を脱離基としたDACHPのミセル形成型白金錯体を合成し,その抗腫瘍活性を検討した. これられ錯体は全身投与可能な脂溶性錯体であり, マウス白血病L1210やマウス悪性黒色腫瘍B16メラノーマに対して,in vivoで著明な効果を示した. 脱離基分子上の水酸基の数,位置,配置が油層への溶解度,ミラル形成,抗腫瘍活性等に大きく影響を与えることを明らかにした.2.2′ーdeoxyー2′ーmethylideue cytidine(DMDC) の抗腫瘍活性を更に検討した. その結果, マウス白血病以外にヒト由未白血病細胞やヒト由未カルチノーマに対しても効果が見いだされ, DMDCが白血病のみならずヒト固型腫瘍にも有効であることが分った. 又, このDMDCは鶏卵法でもヒト肺癌に制癌効果を示した. 作用機作の解明を含めた広範な前臨床実験を目下実施中である.3.1,4ーbutanediol diー2,2,2ーtrifluoraethanesulfonate(BFS) と1,4ーbutanedioldiisethionate(BIT)を用いて,chronic myeloid leukemia(CML)に対する治療薬としての特性を既知制癌剤のbusulfanと比較検討した. その結果,busulfanは骨髓抑制以外の致死的毒作用を有し,しかもmgeloid系への選択毒性が,BFS,BITに比べて小さい事が判明した. 從って,BFS及びBITは,毒性面からも,またmyeloid選択毒性面から見てもbusulfanに優るCML治療薬となる可能性が強く示唆された.4.臨床応用可能な分化誘導物質をめざして,多数の新規核酸関連合成化合物を検討の結果,2,4ーdiethylー7,7,8,8ーtetramethylーcisー2,4ーdiazabicyclo〔4.2,0〕Octaneー3,5ーdioneがヒト前髓球性白血病細胞(HLー60)に対して強い分化誘導効果と増殖抑制効果を示すことを見出した. また,この新規分化誘導物質に,抗白血病剤(daunomycin)やビタミンA誘導体と併用すると,相乘的に作用が増強されることを見出した.研究課題/領域番号:62010033, 研究期間(年度):1986 – 1987出典:「新しい合成制癌剤の研究」研究成果報告書 課題番号62010033(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-62010033/)を加工して作

    新規多機能性エチニルヌクレオシド類の抗腫瘍性と作用機序

    Get PDF
    金沢大学がん研究所核酸代謝拮抗剤はがん化学療法剤の中でも重要な位置を占め,そのほとんどはDNA合成阻害作用を主たる作用機構としている.しかし臨床における難治がんの大部分は固形腫瘍であり,静止期にある固形腫瘍に対して核酸代謝拮抗剤が十分な効果を発揮するためには,DNA合成阻害作用以外の作用機構も有する化合物の創製が必須と考えられる.本研究では,細胞の増殖に必要な核酸の代謝に関する酵素反応を複数の点で阻害するような「化学反応性を付与した多機能化構造」を念願に入れ,リボヌクレオシドの糖部の3\u27-β位水素原子の反応性に着目し,3\u27-β位に種々のアルキニル基を導入した化合物を新たに分子設計・合成し,構造活性相関を検討した.リボヌクレオシドの3\u27-β位に各種置換基を導入したシチジンおよびウリジン誘導体の細胞増殖抑制作用は置換基の炭素鎖長が長くなるほど,また飽和度が高くなるほど減弱する傾向が見られ,エチニル基を導入した化合物に最も強い細胞増殖抑制作用が見られた.今回見いだされた3\u27-エチニルシチジン(ECyd)および3\u27-エチニルウリジン(EUrd)は,従来の核酸代謝拮抗剤には見られない強い細胞増殖阻害作用を示すと共に,実験腫瘍に対しても優れたin vivoにおける抗腫瘍効果を示した.作用機構については検討中であるが,ECyd,EUrdの細胞増殖抑制効果は,ウリジンまたはシチジンを添加することにより競合的に阻害されたことから,ウリジン・シチジンキナーゼによるリン酸化が抗腫瘍効果発現に必須であり,ECyd,EUrdの5\u27-トリリン酸体がRNAポリメラーゼを直接阻害することを明らかにした.このような既存の核酸代謝拮抗剤とは異なった作用機構を持つ新規多機能性ヌクレオシドのECyd,EUrdは,抗ガン剤として今後の臨床開発が期待される化合物である.研究課題/領域番号:08266223, 研究期間(年度):1996出典:研究課題「新規多機能性エチニルヌクレオシド類の抗腫瘍性と作用機序」課題番号08266223(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-08266223/)を加工して作
    corecore