6 research outputs found

    わが国の看護における医療政策研究の動向

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     本研究は、今後の看護における医療政策研究の方向性を示すために、過去10年間(2010年~2020年)の看護における医療政策研究に関する動向、研究内容について整理し、今後の課題を示すことを目的とした。医学中央雑誌Web版を用いて、検索ワード「医療政策」とし、「看護論文」「原著論文」に限定し検索した結果、医療政策について記述のあった62件を分析対象とした。 研究内容の分析から、11のサブカテゴリが抽出され、5つのカテゴリ【保健事業の実際と評価】【医療提供体制】【看護の発展】【看護職の労働環境】【地域医療連携】に分類された。多くの文献が、現行の法制での実態調査・疫学研究、医療法改正による影響の分析であった。保健事業の実際と評価においても、実際の活動や評価について具体的に報告していたが、新たな事業化・施策化に関するプロセスや実際についての記述はみられなかった。これらのことから、看護職に広くは医療政策に関わる意識と能力を醸成する必要があり、看護職が自らのこととして看護における医療政策について考えられるよう、看護基礎教育から継続した学習が必要であることが示唆された

    潜在看護師の復職支援に関する研究~潜在看護師支援に関する文献から検討する日本の課題~

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     日本と海外における潜在看護師の復職支援に関する研究の動向を明らかにし、日本における潜在看護師の復職支援の一助とすることを目的として、文献研究を行った。CINALを用いてすべての文献を対象に、inactive nurse(s)、return to work、をキーワードとして文献を抽出した。医学中央雑誌においても発表されているすべての文献(原著論文)について「潜在看護師」「復職支援」をキーワードとしている文献を抽出し、分析対象文献31件のレビューを行った。研究内容は、潜在看護師を対象とした調査研究と、復職を促進することを目的とした取り組みに大別された。潜在看護師を対象とした調査研究は14件であり、そのうち「復職に必要な要因の分析」10件、「復職までのプロセス」3件、「潜在看護師の看護技術に関する調査」1件が含まれていた。復職を促進することを目的とした取り組みは17件であり、そのうち「復職支援プログラムの実践」16件、「復職後における支援の検討」1件が含まれていた。病院が主体となり復職支援する取り組みは、海外・日本ともに一定の成果をあげていた。大学をはじめとする看護教育機関や公立の機関が主体となり、潜在看護師の学び直し(以下リフレッシャー)プログラムを実践している場合は、特定のスキルの習得ではなく、広く看護教育を学び直すプログラムが構築、実践されていた。復職先の病院が主体となり、リフレッシャープログラムを実践している場合は、病院の特徴をふまえた特定のスキルを獲得することを目的にプログラムが構築されていた。さらに米国では、大学・病院が協働し主に知識と技術を分担したプログラム開発も行われており、特に公立の施設と協働し、長期的に潜在看護師を支援するしくみも創られていた。日本でも、大学・病院・公立施設で協働し、多様な内容・場を提供できる新たな潜在看護師リフレッシャープログラムのしくみづくりが必要である

    諸外国における潜在看護師リフレッシャープログラム研究の動向~潜在看護師の減少を目指す継続的キャリアを支援する取り組み~

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     看護職確保に向け、潜在看護師の把握と活用が求められている。しかしながら、潜在看護師の増加は継続しており、潜在看護師の再就職支援は十分とはいえず、潜在看護師の復職支援により潜在看護師の減少がのぞまれている。本研究は、諸外国で実施されている潜在看護師の復職支援を目的としたリフレッシャープログラム研究をレビューし、わが国の今後の潜在看護師支援の示唆を得ることを目的とした。 CINAL上でinactive nurse(s)* program35件、inactive nurse(s)* course をキーワードとして検索し、潜在看護師を対象としたリフレッシャープログラムについて記述されている14件を分析対象論文とした。プログラムの構築、実施が、大学で実施されているプログラムは4件、病院主体で行われているプログラムは4件、さらに大学と病院で提供されているプログラムは3件、公立施設で行われているプログラムは3件であった。プログラムの評価指標は、参加看護師の満足度、再就職がもっとも多かった。縦断的調査を実施している研究は1件で、就職半年後から2年後の勤務継続で測定されており、2年後も60%以上の看護師が勤務を継続していた。 潜在看護師を対象としたリフレッシャープログラムは満足度も高く、再就職さらにはその後の職業継続にも一定の成果をあげていた。しかし、長期的な視点での評価は少なく、プログラムの成果指標を熟慮し、縦断的な視野で評価することの必要性が示唆された。プログラムの概要は、教育機関や公立の組織が主体となり看護師としての知識や技術を学び直す内容と、病院が主体となり実践で直接活用できるスキルや専門的なスキルを確認・獲得するプログラムに大別された。潜在看護師減少の取り組みには、潜在看護師のリフレッシャープログラムは意義が大きく、今後の発展が期待される
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