10 research outputs found

    Development and practice of laboratory seismic experiment course and teaching material for understanding realistic seismic refraction survey

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    地球科学の現象の中でも大気海洋物理や火山分野に比べて、地震学で扱うものは視認しにくく、断層破壊や波動伝播に関する動的な実験教材は殆ど存在しない。地震の源たる断層も教科書では静的なイメージで語られがちである。我々は、実際に見て触って実感できる教材や実習が必要と考え、動的な現象としての地震像をわかりやすく伝えるための実験演習教材を開発する研究に着手した。ここでは、屈折法地震探査によって地下構造を推定する方法とその重要性について学習するための実験演習教材を紹介する。具体的には、寒天模擬地殻に力や振動を与え、波(S波)が伝播する様子を高速カメラで撮影した画像のスロー再生を実際に目で見ることで、実感をともなう理解を促しながら原理を学習する内容となっている。これまで実施した高校生向けの実習や一般公開等での展示などの実用例、およびその教育的効果について報告する。物理探査学会第132回(平成27年度春季)学術講演会(平成27年5月11日~13日, 早稲田大学西早稲田キャンパス

    Working report of the combined exercise program for geological and seismological surveys

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    海洋研究開発機構では高校を始めとする教育機関向けに地質学実習であるSand for Students(S4S)を2005年より実施してきた。一方で、近年推進している地震発生帯研究の成果についても教育機関や中高生向けにわかりやすく伝える機会や方法について模索してきた。そして、新たに地震探査実習を考案し(桑野他、本大会地殻構造セッションにてポスター発表)、今年度S4Sとともに実施することとした。本実習は、(独)科学技術振興機構が理科教育を推進するために運営しているサイエンス・パートナーシップ・プログラムの採択校である横浜高等学校向けに実施したものである。本発表では実際の実習内容とともにその教育的効果、および課題や今後の計画についても紹介する。  実習プログラムは7月29日(月)?8月2日(金)に実施した。それぞれ2日間の地震学実習と地質学実習を経て、最終日に生徒のとりまとめたプレゼンテーション発表までの全5日間構成となっている。地震学実習では、1日目に屈折法地震探査の実験および実習を行い、2日目に「日本列島の形成」および「海洋プレート沈み込みに伴う海溝型地震研究」をテーマとした特別セミナー、様々な海洋調査機器の見学、実際に研究で使用されている地震計の原理を紹介し、地震計や海底地震計に触れてみる体験を盛り込んだ内容とした。地質学実習は、1日目に酒匂川(丹沢)周辺で地層の観察と鉱物の採取を行い、2日目に採取した鉱物を顕微鏡で観察する内容である。  地震探査実習では、通常、地面に震動を与えることによって生じる地下を伝わる波を地震計で計測し、記録した後、研究室などに持ち帰りデータ処理、解析をすることが一般的であり、実際の研究で実施している作業プロセスと同じ内容を行うことが多い。今回の地震探査実習では、地震波計測により地下構造が明らかにできることを直感的に理解しやすくすることをねらいとし、地殻を模した寒天2層構造を用いた実験を考えた。この実験では模擬地殻物質が透明であるため光弾性を利用することで、弾性波の伝わる様子を可視化できる。さらに寒天の横波の伝播速度は数m/sと充分遅いため観察が容易になる。この実習では、地震波が伝わる様子をその場で一目で容易に観察でき、さらに観察の様子を録画し、そのデータを画像処理することで寒天模擬地殻表面の各点での振動波形を得ることもできる。この波形データは実際の屈折法地震探査データと同様に解析できるので、これを用いて寒天2層構造の速度構造を推定する演習を行う。演習を行いながら、地震探査を実施して地殻構造を推定することが、地震の発生メカニズムの解明にとって重要であることについて理解を促す。  地質学実習では、身近な河川の砂を採取して観察することで河川流域の地質を把握するとともに、河川流域の地質の成り立ちを学ぶことで、日本列島形成の重要なメカニズムである付加体形成についての理解を促している。これは同時に、河川を通じて深海底に運ばれる陸源物質を探す作業でもあり、いわば地殻を構成する物質循環の基礎調査に相当する。  本実習全体のねらいは、地震および地質調査研究に関する基礎的な科学知識・技能を普及させることである。特に、地震国である日本の地で生活する上で、身につけておいてほしい知識や技能の向上、問題の認識を目的としている。今回の実習では、講義、実験、演習、地質巡検を通じて、日本列島の形成や地震研究には地質学、地震学ともに必要であること、さらには様々な学問分野の知識が地球科学にとって重要であることを実感できるような構成とした。今回2日間で実施した地震学実習全体については、今後も実習プログラムの内容の改良、発展を加える上、地震探査実習については、実験レシピを作成して公開することも目指す。P1-36ポスター要旨, 日本地震学会2013年度秋季大会(2013年10月7日~9日, 神奈川県横浜市
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