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    共起・共助関係の解析による円滑なコミュニケーションに向けた対話支援システム

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    近年,社会からの孤立や周囲とのコミュニケーション不足といった問題を抱える人々への支援が必要とされている.そのため,家庭内に入り人同士のコミュニケーションを活性化させることで人間関係構築支援の役割を果たす存在として対話支援システムが重要視されてきている.更に,この日常生活において作られた人間関係は災害時のコミュニティ形成へ役立てることが可能となる.しかし,既存の対話支援システムの問題点として,共起・共助などの人間関係を理解できず円滑なコミュニケーションを妨げている点,離れている個人同士のコミュニケーションを活性化させるために必要な自然な遠隔対話におけるノンバーバルな対話感覚が不十分である点,円滑なコミュニケーションに見られる持続的な対話のための支援技術が不十分である点などがあげられる.これらの問題解決のため,本論文では個人属性獲得とその解析に基づく共起・共助関係の構築手法を示し,遠隔対話テレプレゼンスロボットにおける頭部動作を用いた円滑な対話支援技術の提案と,二者対話の仲介役を務めるロボット(メディエータロボット)における話題提示に対する対話の円滑さに関連する生体的評価指標の解析を行なう.個人属性獲得とその解析に基づく共起・共助関係の構築手法において,はじめにユーザ本人から個人属性を獲得する.その後,対話支援に用いる話題決定のため,獲得した個人属性を用いたマッチング処理により共起・共助関係を発見する.更に,個人属性の項目と種類を洗練したマッチング処理を行なう.このことで,対話支援システムにおける話題提示に適した共起・共助関係を構築できる.遠隔対話テレプレゼンスロボットにおける頭部動作を用いた円滑な対話支援技術の提案において,本論文では,聞き手の頭部動作を伝達する遠隔対話テレプレゼンスロボットを提案する.その後,提案ロボットを用いて共起・共助関係の遠隔対話を行なった.その際の心拍データと心拍データを用いて算出する交感神経と副交感神経とのバランス値(以降LF/HF)を生体的評価指標として解析し,対話への影響を調査した.提案ロボットでは,共起・共助関係の話題を提示することにより会話への引き込みを示すエントレインメント現象を誘発させ,聞き手の頷きのみを伝達することにより使用時におけるユーザのストレスを減少させる現象が見られた.メディエータロボットにおける話題提示に対する対話の円滑さに関連する生体的評価指標の解析において,前述の提案手法にて構築した共起・共助関係を用いてメディエータロボットによる3パターンの対話実験を行なった.更に,二者間における対話への影響と対話者個人の状態を観測するため,対話中に測定した被験者の生体的評価指標を解析した.この解析により,メディエータロボットによる共起・共助関係に基づく話題提示における持続的な会話への有効性を示す.本論文は6章からなり,1章で序論,2章では本論文の基礎となる対話支援に用いる話題とユーザ本人から獲得する個人属性との関係について述べる.その後,対話の円滑さを評価するために用いた生体的評価指標について述べる.本論文では,対話中に測定した音声データと心拍データを生体的評価指標として用い,対話中の盛り上がり・盛り下がりについて解析する.また,二者間における対話への影響と対話中における対話者それぞれの状態を観測するため,LF/HFを生体的評価指標として用いた.3章では,対話支援に用いる話題決定のため,ユーザから獲得した個人属性の解析に基づく共起・共助関係の構築手法を提案する.対話支援により適した共起・共助関係の構築と,対話支援に用いる話題の選定に適するように,個人属性の項目数や種類を選定した.この選定した個人属性を用いた共起・共助関係のマッチング手法を提案する.4章では,はじめに遠隔対話テレプレゼンスロボットのシステム概要について述べる.共起・共助関係による遠隔対話における対話への影響について,心拍データの解析によりエントレインメント現象が確認された.更に,頭部動作の限定によりシステムを改善し,聞き手の頷きのみを伝達する遠隔対話テレプレゼンスロボットを提案する.こうした工夫により,共起・共助関係に基づく話題によるエントレインメント現象の誘発により共起・共助関係が円滑なコミュニケーションに有効である可能性を示し,聞き手の頷きのみの伝達によるユーザのストレス軽減を実現する.5章では,はじめにメディエータロボットの概要について述べる.メディエータロボットによる3パターンの話題提示に対して,対話の円滑さに関連する生体的評価指標を解析した.二者間における対話への影響について,LF/HF平均の二者間における相関と会話の盛り上がり時に発生するオーバーラップ現象の解析により,LF/HF平均の二者間における相関が高いほどオーバーラップ現象の発生時間が長い傾向が見られた.また対話者個人の状態について,各話題におけるLF/HF平均の解析により,メディエータロボットによる共起・共助関係の話題提示が対話活性化につながり,持続的な対話へ有効となる可能性を示す.6章では本論文で論じたことをまとめる.本論文で得られた成果は,共起・共助関係の構築と聞き手の頷きに限定した頭部動作が円滑なコミュニケーションに重要であることを示した.また,生体的評価指標の解析により,メディエータロボットによる共起・共助関係に基づく話題提示が対話を活性化し,持続的な対話に有効である可能性を示した.首都大学東京, 2019-03-25, 博士(工学)首都大学東

    対話を円滑にするための頭部動作を伝達するテレプレゼンスロボット

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    対話支援システムによる話題提示に向けた心拍変動の周波数解析

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