19 research outputs found

    保育所乳幼児の家庭における食料在庫状況調査

    Get PDF
    要旨本研究は、保育所乳幼児の健康増進や生活習慣病の予防につながる効果的な手がかりを得るために家庭の食環境の実態を明らかにし、今後の食育指導に活用するために検討したので報告する。調査期間は平成23年11月、調査対象は福岡県の農村地域であるK町の保育所乳幼児の保護者で同意が得られた107名である。調査内容は郵送法にて実施した。調査の食品は、徳井らが開発した食物摂取頻度調査票より家庭料理で出現頻度の高い106品中80品と食物繊維や食塩相当量に寄与する食品を追加し、全146品とした。食料在庫調査票の食品は選択肢をスコア化し、その平均値を集計した。解析はエクセル統計2008 for Windowsを用いてt検定を行った。保育所乳幼児の家庭における在庫調査の結果、80%以上は19食品で、上位5品は、米、塩、醤油、味噌、マヨネーズであった。スコア化した結果、その平均値±標準偏差は穀類の米が4.7±0.5、甘味類の砂糖4.6±0.5、はちみつ2.5±1.3、種実類のごまが4.1±0.9、野菜類の上位5品は、玉ねぎ4.1±0.7、人参4.0±0.7、生姜3.7±1.1、にんにく3.6±1.2、キャベツ3.5±0.6であった。魚介類はすべて3.0以下であり、肉類ではウィンナー3.8±0.7、豚肉ばら3.5±0.8、ハム3.4±0.7の順であった。乳類は普通牛乳が4.2±0.6、低脂肪牛乳が1.7±1.0であった。食育を推進するにあたり、食材の購入など調理をする前の段階から健康のために支援を行うことが重要であり、家庭における食料在庫状況を明らかにすることができた。なお、本研究は、平成23年度に調査を実施したものであるが、本紀要の投稿にあたり、さらに現在の背景等を踏まえて改変したものである

    食物繊維高含有米と健康寿命延伸

    Get PDF
    要約現在日本では1日当たりの食物繊維摂取量は約15gで、目標量20g/日(生活習慣病の予防が可能となる摂取量)に5g不足している。食生活を改善し目標量に達するための行動変容を行うことはかなり難しいのが現状である。しかし玄米と同程度の食物繊維を含有し、精白米と同じように炊飯しやすい米が開発されたため、今食べている米をこの米に変えるだけで目標量まで回復させることが可能となる。カナダの研究報告に基づいて試算すると、15%の人が目標量を取ると便秘にかかわる医療費は1億300万円の削減となるとともに、生活習慣病予防にも繋がる。このように食物繊維高含有米を摂取することで健康寿命延伸政策を進めることができると考えられる

    保育所幼児の栄養摂取状況と腸内細菌叢との関連

    Get PDF
    【目的】我が国では、幼児期の栄養素等摂取量を定量的に示した研究が少なく、日本人の食事摂取基準(2015年版)では小児の十分な資料が存在しない場合は、成人の値から外挿して栄養素等の基準値が求められている。本研究では、保育所幼児の栄養素等の摂取状況を明らかにし、食生活、生活習慣と関わりのある腸内細菌叢を評価指標として検討した。【方法】調査期間は平成26年12月から平成27年3月である。調査対象者は福岡県上毛町の同意が得られた保育所幼児83名である。調査内容は1)食事の実態調査は秤量記録法で食品名を食事記録ノートに記入および同日の食前食後の料理写真撮影、2)排便調査、3)採便後の腸内細菌叢の分析である。分析は(株)テクノスルガ・ラボに依頼し、Nagashima法によりT-RFLPで解析した。解析はすべて統計解析ソフトSPSS Statistics ver.22を用いた。この研究は中村学園大学の倫理委員会から承諾を得ている。【結果】1日あたりの栄養摂取状況で、男女ともに推定エネルギー必要量、たんぱく質の推奨量、脂質と食塩相当量の目標量は基準値よりも高い数値を示した。食物繊維、炭水化物の目標量、カルシウムと鉄、ビタミンAの推奨量は基準値に対して低い数値を示した。栄養素と腸内細菌叢の関連をみるとカルシウムのBifidobacteriumの割合は低摂取群に比べ高摂取群が有意に高い数値を示した。特に、食物繊維の摂取量では基準値に対して不足している人が38.3%を占め、食物繊維摂取量と腸内細菌叢の関連をみると基準値である中摂取群が低摂取群に比べ、推定される群菌のLactobacillales目の割合が高い数値であった。【考察】幼児の健康増進や生活習慣病予防には腸内環境改善が重要であり、栄養的にバランスのよい食事の摂取が不可欠であると考えられる

    成人期女性における日本型薬膳メニュー開発と評価

    Get PDF
    要旨日本人の死因は悪性新生物、心疾患、そして肺炎の順番であり、免疫力の低下がリスクの要因の一つであるため、健康増進や疾病予防のためのテーラーメイド栄養である個々人に対応した食事指導が期待されている。本研究では管理栄養士が簡便に使用するための薬膳食材を用いた栄養指導のために機能性別体質分類を用いてのメニューを開発し、評価したので報告する。方法は、薬膳の知識や意識の実態調査を女子学生82名に実施した。メニュー開発の薬膳食材は、上海科学技術出版社 小学館編:中薬大辞典の食品5767品中、日常の食生活に利用可能な食材65品を選択した。日本型薬膳メニューは19種の機能性別体質分類をもとにして開発した。さらに、評価は味のバランス・量・香り・色彩および総合評価の5項目について5点評価法にて嗜好型官能評価を行った。その結果、薬膳についての意識・実態調査で薬膳を知っているは82%であり、その情報源の上位3位は大学、マスメディア、雑誌の順であった。薬膳料理を食べたことがあるは43%を占めており、薬膳のイメージは健康に良いが84%であり、薬膳が健康に寄与するのであれば薬膳を取り入れたい人は91%を占めていた。また、中医学を基本とした19種の機能性別日本型薬膳メニューを開発したが、全ての献立において総合評価が3.5点を上回っていた。薬膳食材を用いた栄養指導のための日本型薬膳メニューは嗜好的に好まれたため、日常生活において個々人に対応した献立として家庭のみならず外食産業や食品会社においても導入が可能であると考えられる
    corecore