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    インターロイキン1受容体アンタゴニストの担がん状態における病態生理学的意義

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    金沢大学がん研究所近年、生体防御反応、癌免疫において重要な役割を有すると考えられているインターロイキン1(IL1)にたいするナチュラルアンタゴニスト(IL1Ra)の在存が明らかになった。本研究では、IL1Raの作用機序の解明、担癌状態におけるIL1Ra産生の証明ならびに担癌にともなう免疫不全症、悪疫質における内因性IL1Raの病態生理作用を明らかにすることを目的とする。本年度の主な成果として1)マウスIL1Raを遺伝子組み替え法にて大腸菌にて大量発現し、完全精製することに成功した。精製IL1Raはマウス/ヒトIL1RにIL1と同等の親和性を有し、IL1の生物活性を特異的に抑制することが確認された。2)精製IL1Raをウサギに免疫することによりIL1Raにたいする特異抗体を作製した。この抗体を用いてマウスIL1RaにたいするELISAによる測定法を確立した。3)癌悪疫質発生マウス大腸癌細胞株colon26(clone-20)のinvivoにおけるサイトカイン、サイトカインナチュナルアンタゴニスト産生をnorthemblotting法にて検索した結果、癌組織浸織マクロファージ由来IL1により刺激を受けた癌細胞によりIL6が過剰に且つ持続的に産生され癌悪疫質をもたりしていることが判明した。一方、癌悪疫質非発生colon26(clone-5)においては、癌組織においてIL1の他、同時に大量のIL1Raが産生されており、結果的にIL6が全く新生されないことが判明した。colon26の実験結果は、IL1Raが癌組織において実際に産生されていることを証明し、さらに、IL1Raがサイトカインネットワークを調節する重要な内因性制御分子であることを示した世界で最初の仕事である。今後、種々の実験腫瘍、ヒト癌組織におけるIL1Ra、サイトカインの発現検索をするとともに担癌宿主におけるサイトカインネットワーク分子機構を生体工学、遺伝子導入法、単クローン性抗体等を駆使して解明する。研究課題/領域番号:04152050, 研究期間(年度):1992出典:「インターロイキン1受容体アンタゴニストの担がん状態における病態生理学的意義」研究成果報告書 課題番号04152050(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04152050/)を加工して作

    新しいサイトカイン.IL8とMCAFの基礎ならびに前臨床実験

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    金沢大学がん研究所1987-1989年本研究代表者らは,米国National Cancer Instituteにて活性化ヒト末梢血単核球由来好中球,Tリンパ球,単球走化性サイトカインの精製ならびにそれらの遺伝子クローニングに成功した。好中球走化性因子とTリンパ球走化性因子はアミノ酸配列上同一であることが判明し,インターロイキン8(IL8)と命名した。単球走化性因子はIL8とアミノ酸配列上21%同一であり,単球活性化作用も有することよりmonocyte chemotactic and activating factor(MCAF)と命名した。両サイトカインは8kDaへパリン結合性で塩基性の強い白血球走化性サイトカイン(Chemokine)ファミリーに属する。本共同研究に於ては,IL8とMCAFの基礎ならびに前臨床実験として以下のような研究課題に取り組んだ。1)IL8,MCAFの構造と活性中心の決定---ヒトIL8を大腸菌で大量発現の後精製し,NMRとX線結晶回析によりIL8の3次元構造モデルを作製した。その結果,IL8は向かい合う形で水素結合をとうして二量体を形成,本体は二重のS-S結合を持つ三重鎖のベータシート構造をとりC-末端側は完全なアルファヘリックス構造をとることが判明した。IL8/MCAFの欠失変異体,キメラ分子を遺伝子組み替え法により大腸菌ならびにCHOホ乳動物細胞で発現し白血球走化性活性と受容体結合性を検討した。その結果,活性中心/受容体結合特異性決定部位はIL8分子ではHis33を中心にした領域にあり,C-末端部位は分子の安定化に寄与することが判明した。2)IL8,MCAF受容体の性状決定---ヒトIL8受容体は分子量60,000の糖蛋白で好中球上には20,000個/細胞表現されており,平衡定数は1nMと算定された。MCAF受容体は,分子量40,000で単核球上には13,000個/細胞表現されており,結合平衡定数は25nMと算定された。IL8受容体表現はIL8のみならずTNF,PMAなどによりdynamicに制御されており,また,MCAF受容体は非常に温度依存性の結合を示すことが解かった。IL8受容体cDNAは米国の他のグループによりクローニングされたが,我々はIL8受容体ファミリーに属する数個の新しいcDNAをクローニングした。3)IL8遺伝子発現機構の解析---ヒトIL8cDNAのクローニングの後,種々の細胞が,IL1,TNF,enodotoxin,exotoxin,viralproteins,重金属,活性酸素発生物質など様々の刺激によりIL8を産生することを明確にした。また,IL8の産生が,glucocorticoid,vitamin D3,lipooxygenase inhibitors,FK506などにより抑制されることも明確にした。ヒトIL8染色体遺伝子をクローニングし,IL8遺伝子5′-上流域のIL8産生制御物質反応性エンハンサー/サプレッサーの性状を検索した。線維芽細胞,神経膠細胞では-94bpから-71bpに存在するC/EBP(NF-IL6)とNF-kB核蛋白結合部位が種々の刺激物質共通に反応するエンハンサーとして働き,Tリンパ球,肝細胞,胃癌細胞においては-126bpから-120bpに存在するAP-1領域と-80bpから-71bpに存在するNFkB核蛋白結合部位の相乗的作用によりIL8遺伝子の転写が亢進することがわかった。glucocorticoid,FK506などの産生抑制剤もこれらのIL8エンハンサー結合蛋白を修飾することによりIL8遺伝子転写を抑制していることもわかった。4)IL8,MCAFの病態生理作用の確立ならびに臨床応用の可能性の検索---IL8がRA,炎症性大腸炎,皮膚乾癬症,腎炎,尿路感染症など種々のヒト炎症疾患で産生されることが判明しIL8測定が炎症の良いマーカーになることがわかった。IL8の急性炎症時の好中球浸潤に於ける本質的関与に関してウサギを用いて関節炎,皮膚炎,肺再潅流症候群モデルにて証明することができた。IL8,MCAFcDNA導入実験腫瘍にては有意な抗腫瘍効果を観た。現在,IL8関連サイトカイン遺伝子導入腫瘍の成着率,転移能について評価中である。MCAFは,in vitroにてはマウスマクロファージをprimingしてより強い抗腫瘍効果を示すことがわかった。MCAFはまた,マウス実験にて種々の細菌に対して前投与にて抗菌作用を有することが判明した。今のところIL8,MCAFの造血作用は証明できない。BASIC AND PRECLINICAL EXPERIMENTS OF IL 8 AND MCAFNovel chemotactic cytokines, IL 8 and MCAF were identified, purified, and molecularly cloned by us at National Cancer Institute, USA in 1987-1989, belong a family of emerging chemotactic cytokine family, CHEMOKINE. In this international collabolative research, the following projects were performed.1)Structural analysis of IL 8/MCAF and determining their active site(s)-----Human IL 8 was expressed in E coli and purified to homogeneity in a large scale. The structure of IL 8 was analyzed by both NMR and X-ray crystallography. The proposed model shows that IL 8 exists as dimer through hydrogen bonding and two symmetry-related anti-parallel a-helices, 24A long and separated by 14A, lie on top of a six-stranded anti-parallel b-sheet platform. The active site of IL 8 was presumed to be the region surrounding His at 33 as well as N-terminal region based on the mutation studies and structural analyses.2)Structure of the receptors for IL 8 and MCAF-----The MW of the receptors for IL 8 on human nutrophils was estimated to be 60,000 with Kd of lnM. The MW of the receptors for MCAF on human monocytes was estimated to be 40,000 with Kd of 25nM. Although the cDNA for IL 8 was cloned by other groups, we have cloned several novel cDNA which belong to the family of chemotactic cytokine receptors.3)Molecular analysis of the regulation of the production of IL 8-----After cDNA cloning of human IL 8, we revealed the induction of the production of IL 8 by various types of cells after stimulating with IL 1, TNF, endotoxin, exotoxin, viral proteins, heavy metals, and superoxide generating substances. We also showed the suppression of the production of IL 8 by glucocorticoids, vitamin D3, lipooxygenase inhibitors, and FK506. We have determined the enhancer of the human IL 8 gene to be consisted of AP-1+NFKB. IL 8 production suppressive agents seem to inhibit the activation of nuclear factors which bind to these regions.4)Establishment of pathophysiological roles of IL 8/MCAF and examining possible clinical application of IL 8/MCAF-----We have revealed the production of IL 8/MCAF in various human inflammatory diseases including ulcerative colitis, psoriasis, glomerulonephritis, urinary tract infection, and arthritis. Essential involvement of IL 8 in recruiting neutrophils in acute inflammation models in rabbits, such as dermatitis, arthritis, and lung reperfusion was established using monoclonal neutralizing antibody against rabbit IL 8. IL 8/MCAF cDNA transfection into tumor cells showed significant anti-tumor effect of these cytokines in mice. MCAF is further shown to prime murine macrophages to be tumor cytocidal and also have anti-infectious activity in mice. Possible hematopoietic activity of these cytokines was not proved either in vitro or in vivo.研究課題/領域番号:03044066, 研究期間(年度):1991 – 1992出典:研究課題「新しいサイトカイン.IL8とMCAFの基礎ならびに前臨床実験」課題番号03044066(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-03044066/030440661992kenkyu_seika_hokoku_gaiyo/)を加工して作

    IL-8 production by peripheral blood mononuclear cells in nephrotic patients

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    IL-8 production by peripheral blood mononuclear cells in nephrotic patients. We studied the interleukin 8 (IL-8) gene expression by peripheral blood mononuclear cells (PBMC) and the IL-8 serum concentration in patients with idiopathic minimal lesion nephrotic syndrome (IMLNS) and other glomerulopathies. PBMC from eight of the nine (IMLNS) patients in relapse demonstrated the presence of IL-8 mRNA. All three IMLNS patients in remission (P = 0.0026 when compared to patients in relapse) and the two patients with nephrotic syndrome with other glomerulopathies failed to elicit an IL-8 mRNA response. Eleven of the 12 IMLNS patients in relapse showed IL-8 serum concentration above the level of detection. Only one of the seven patients in remission had detectable serum levels of IL-8 (P = 0.0033 when compared to levels from IMLNS patients in relapse). IL-8 serum levels were not detectable in three patients with nephrotic syndrome and other glomerulopathies. Supernatants of PBMC cultures from IMLNS patients in relapse increased the 35sulfate uptake by rat GBM. This effect was abolished by the addition of anti-IL-8 neutralizing antibody to the culture media and reproduced by the addition to the media of IL-8 in concentrations found in the serum of IMLNS patients in relapse. Finally, the effect of IL-8 on the 35sulfate turnover of the glomerular basement membrane (GBM) sulfated compounds was evaluated in vitro. A significant decrease in the percentage of residual 35sulfate incorporated in the GBM (41 ± 5, mean ± sem) was observed in cultures treated with IL-8 as compared to those that were not treated with IL-8 (58 ± 8, P < 0.01). Because IL-8 affects the metabolism of GBM compounds that may play a role in glomerular permeability, this lymphokine may have a potential pathogenic role in the proteinuria of IMLNS

    担癌宿主に於けるサイトカインネットワーク分子機構の解析

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    金沢大学がん研究所担癌宿主に於ける種々の癌病態を制御するサイトカインネットワーク分子機構の解析として以下のような成果があった。1)マウス大腸癌細胞株colon26のin vitroとin vivoにおけるサイトカイン産生を比較したところ大きく異なることが判明した。更に、悪疫質をおこす株では選択的にIL6をin vivoで発現し、おこさない株ではIL6の産生がみられずIL1 receptor antagonistの発現が観られた。2)担癌宿主では腫瘍由来TGFbによるCD4+Thのサイトカイン産生抑制に加えIL6がMoによるTNF産生を抑制して抗腫瘍生体防御能を低下させていることがわかった。3)CD4+のCTL誘導抑制性Tsの存在を明らかにし、CTL標的抗原を決定した。4)ヒト胸腔内Moが癌性胸水中リンパ球のIL2による活性化を増強するとともにIL12がCD8+Tリンパ球よりCTLを誘導する時もMoが関与することを明らかにした。5)gp130,NF-IL6ノックアウトマウスを作製した。6)癌病態調節サイトカインIL8,IL6の遺伝子発現調節機構を詳細に解明した。in vitroとin vivo(癌部位)におけるサイトカイン産生検索は、サイトカインネットワーク解析の仕事はin vivoを想定してのみなしうることを示した。今後更に担癌にともないどのようなサイトカインが実際に発現されるのか、その産生細胞はどれか、実際にin vitroの観察から予想されているようなサイトカインネットワークが存在するのかを種々の癌細胞株を用いたマウスでのモデル実験を行なうとともにヒト癌においても検証する必要がある。サイトカイン遺伝子発現調節機構解析、受容体シグナル伝達機構解析の基礎研究をサイトカイン遺伝子、受容体遺伝子、転写因子、シグナル伝達分子ノックアウトマウス作製の仕事と連結し、サイトカインネットワーク機構解析のためのよいモデル動物を提供できることを期待する。研究課題/領域番号:05151028, 研究期間(年度):1993出典:「担癌宿主に於けるサイトカインネットワーク分子機構の解析」研究成果報告書 課題番号05151028(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所))(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05151028/)を加工して作

    HIV感染に伴う免疫不全症とサイトカイン

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    金沢大学がん研究所低濃度(0.1-10ng/ml)のインターリュウキン8(IL-8)がヒト線維芽細胞でのサイトメガロウイルス(CMV)の複製をin vitroで増強することを認めた。このことは、我々が認めているHIV感染患者血清での数ng/mlに達するIL-8濃度の上昇が、AIDSにおけるCMV感染発症に関与していることを示唆している。一方、HIV患者末梢血単核球のLPS刺激下のIL-8産生能は低下していた。比較的低濃度のIL-8が好中球の殺菌能をin vitroで増強することを考えると、LPS誘導によるIL-8産生低下がこれらの微生物による日和見感染に関与している可能性がある。HIV感染者におけるIL-8産生調節機構の異常を解明することは、HIVによる日和見感染の機序を解明する手掛かりとなる可能性がある。HIV感染によるLPS刺激時のIL-8産生抑制機構の分子生物学的解析を行なうために、LPS刺激によるIL-8遺伝子転写活性化に関与しているシス領域を同定した。IL-8遺伝子上流域のNF-kB結合可能領域が、LPS刺激によるIL-8遺伝子転写活性化に最も重要であり、LPS刺激によってp50-p65からなるNF-kBコンプレックスが形成され、HIV感染によってその形成が抑制された。さらに、nef蛋白がIL-8遺伝子プロモーターのbasalな活性を上昇させるのに対して、truncated Tat蛋白がIL-8遺伝子プロモーターのbasalな活性を低下させることを本年度の実験から認めた。IL-8遺伝子転写抑制することが知られている、免疫抑制剤、グルココルチコイドならびにFK-506が、NF-kBを最終標的として、IL-8遺伝子転写を抑制することを示唆する結果を本年度の実験から認めた。これらの薬剤によるIL-8遺伝子転写抑制機構と、HIV感染による抑制機構の差異を検討することによって、HIV感染によるIL-8遺伝子転写抑制を解除する新たな手掛かりが得られることが期待される。研究課題/領域番号:05262204, 研究期間(年度):1993出典:研究課題「HIV感染に伴う免疫不全症とサイトカイン」課題番号05262204(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05262204/)を加工して作

    HIV感染に伴う免疫不全症とサイトカイン

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    金沢大学がん研究所HIV感染した血友病患者では血清IL-S濃度が上昇するのに対して、末梢血白血球のリポ多糖類(LPS)刺激によって誘導されるIL-S産生能は低下していた。すなわち、HIV感染によって、外来性の刺激に応じてサイトカインを産生するマクロファージの能力は低下していた。この誘導性サイトカイン産生能の低下の機構を分子生物学的に検討するために、LPS刺激によるIL-S遺伝子転写活性化機構をヒト単球白血病細胞株THP-1を用い検討したところ、IL-S遺伝子エンハンサー領域に存在するNF-kB結合領域へのNF-kBの結合が転写活性化に重要であることが判明した。さらに、THP-1細胞で認められるLPSによって誘導されるNF-kBコンプレックスの形成は、HIVをin vitroで感染させると減少した。THP-1細胞にIL-S遺伝子エンハンサーを結合させたルシフェラーゼ発現ベクターと、HIVの種々の構成成分の発現ベクターとを同時に遺伝子導入したところ、truncated formのTat蛋白を発現するベクターがbasalならびにLPS誘導性のルシフェラーゼ活性をともに低下させた。すなわち、Tat蛋白がNF-kB蛋白による遺伝子の転写活性化を抑制することによって、マクロファージによる種々の炎症性サイトカインの誘導性産生能を低下させていることを示唆する結果を得た。この点についての解析を進めるために、無細胞系でLPS依存性に起きるNF-kB活性化を、ゲル・シフト法で検出する方法を確立した。さらにこの方法を用いて、NF-kBの阻害因子であるIkBのリン酸化にチロシン・リン酸化酵素が関与しているのに対して、NF-kBのリン酸化にはチロシン・リン酸化酵素以外にスタウロスポリン感受性リン酸化酵素が関与していることを明らかにした。研究課題/領域番号:06255204, 研究期間(年度):1994出典:研究課題「HIV感染に伴う免疫不全症とサイトカイン」課題番号06255204(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-06255204/)を加工して作

    HIV感染に伴う免疫不全症とサイトカイン

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    金沢大学がん研究所インターリュキン8(IL-8)は、好中球の活性化に深く関与する因子で、日和見感染の病原体であるCandida albicans・抗酸菌などに対する好中球の殺菌作用をin vitroで増強することを我々は既に報告している。in vitroでのHIV感染した単球・マクロファージが無刺激時でのIL-8産生は亢進しているのに対して、LPS刺激時のIL-8産生はむしろ低下することも、我々は報告している。東京医科大学立山博士らとの共同研究の結果、HIV感染患者血清中のIL-8濃度はHIV感染の進行に伴い上昇するのに対して、患者末梢血白血球のLPS刺激IL-8下での産生能は低下していることを世界で始めて認めた。このことは、in vitroのHIV感染で認めた現象が、HIV感染患者の生体内でも起きていることを示唆しており、IL-8が日和見感染への防御に果たす可能性を考慮すると、この現象の機構の解析がHIVによる免疫不全状態を解明する手掛かりとなる可能性がある。HIV感染によるLPS刺激時のIL-8遺伝子転写抑制機構の分子生物学的解析を行なうために、ヒト単球性白血病細胞由来THP-1細胞を用いて、LPS刺激によるIL-8遺伝子転写活性化に関与しているシス領域を同定した。IL-8遺伝子上流域-80から-70bpに存在するNF-kB様転写因子結合可能領域が、LPS刺激によるIL-8遺伝子転写活性化に最も重要であり、LPS刺激によってgel shiftアッセイで新たなコンプレックスの形成が生じることを認めた。HIVをin vitroでTHP-1細胞に感染させると、2つのHIV株がLPSによって生じるNF-kBコンプレックス形成を抑制することを認めた。以上の結果は、HIV感染による転写因子のこのような修飾がIL-8産生能に影響を与えることを示唆しており、この点の分子生物的解析がHIV感染にて見られる免疫不全状態の発生機序の解明につながる可能性も想定される。研究課題/領域番号:04269202, 研究期間(年度):1992出典:研究課題「HIV感染に伴う免疫不全症とサイトカイン」課題番号04269202(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-04269202/)を加工して作

    IL8抗体のヒト型化とサイトカイン遺伝子調節因子NFkBを標的とした抗炎症剤開発

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    東京大学 / 金沢大学医学部我々は急性炎症反応における好中球浸潤に本質的な役割を担っているIL-8に対するマウス単クローン性抗ヒトIL-8抗体のヒト型化をCDR(complementarity determining region)graftingにより完成し、現在大量発現に成功した。この抗体の標的とする臨床疾患を特定するためにウサギを用いた様々な急性炎症モデル作製し、その効果を確認している。中でもより臨床病態に近いモデルとして敗血症誘導性ARDSモデルや脳虚血後再潅流モデルを作製した。これらのモデルにおいては、抗IL-8抗体投与により病態悪化を著明に抑制することが明らかとなり、ヒト型化抗IL-8抗体の臨床応用の可能性を示唆する結果となった。一方、NF-kBを標的とした抗炎症剤開発については、我々はヒト単球系細胞株THP-1細胞抽出液中にIKBαに会合してリン酸化するIKBa会合キナーゼを同定し、そのリン酸化部位がIKBαのC末端領域酸性ドメインのSer/Thr残基であることを見いだした。しかもその後の研究から、これはカゼインキナーゼIIやTNFα及びIL-1のシグナル伝達系における同様の機能を有するキナーゼ(IKKα,β)とは異なるIKBα会合C末端キナーゼであることがわかり、この酸素の精製をすすめ成功した。SDS-PAGEの結果、分子量約40Kdで、精製酵素は293のセリンを主にリン酸化することが明らかとなった。しかし遺伝子クローニングの目的で蛋白の微量分析を試みたが、N末端の閉鎖により結果は得られず、さらにLys-C消化物をTOF-MSにより分析したが結果は得られず、現在さらに酵素の精製をすすめ、蛋白の微量分析としてのマススペクトロメトリーを含め、検討を行っている。IL-8 is essentially involved in neutrophil-dependent tissue damage in acute inflammatory reactions. We established the humanized mouse anti-human IL-8 by mean of complementarity determining region grafting and succeeded to purify the large amount of this antibody. For the application of this antibody on various clinical condition, we established various acute inflammatory ananimal models. Especially, we have established preclinical condition animal models such as acute respiratory distress syndrom-like lung injury and brain reperfusion injury. In these models, we showed that anti-IL-8 antibody treatment almostly prevented these injury. These results strongly suggest the possibility of clinical application of humarized anti-human IL-8 antibody against acute inflammatory dieases.We have identified a kinase in cell extracts from the LPS-stimulated human monocytic cell line, THP-1, that specifically bind and phosphorylates IkBa. LPS-stimulation transiently enhanced the IkBa-bound kinase activity in THP-1 cells. Mutation analysis of IkBa and competition experiments with the synthetic peptides identified major phosphorylation site by the bound kinase as Ser and Thr residues in the C-terminal acidic domain of IkBa. Moreover, this IkBa-boundkinase is novel kinase but not Ikka, b which are related to signal pathway of TNF-a and IL-1. So that we try to purify the kinase SDS-PAGE analysis showed that the kinase. is 40 Kd. We are now analyzing the amino acid squence of the sample and trying to clone the gene.研究課題/領域番号:07557031, 研究期間(年度):1995 – 1997出典:研究課題「IL8抗体のヒト型化とサイトカイン遺伝子調節因子NFkBを標的とした抗炎症剤開発」課題番号07557031(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-07557031/075570311997kenkyu_seika_hokoku_gaiyo/)を加工して作

    インターロイキン1受容体と細胞内シグナル伝達機構の解析

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    金沢大学がん研究所マウスIL-1R(タイプI)の細胞内領域のうち,IL-8遺伝子発現誘導に関するシグナル伝達に必須な領域の同定を、Jurkat細胞での一過性発現系を用いて行った。その結果、マウスIL-1R細胞内領域のうち、C端側の境界領域をはじめとしたシグナル伝達能に関する機能必須領域を決定した。またIL-1R細胞内領域の一部とIL-6Rのβ鎖gp130分子との間で相同な領域が存在することを見い出し、アミノ酸置換変異の実験から、このIL-1Rのgp130相同領域がそのシグナル伝達に関する機能に重要であることを示した。IL-8遺伝子のプロモーター領域のIL-1,TNF応答領域の解析では、線維芽細胞株8387でIL-8遺伝子上流のNFkBおよびNFIL-6結合部位が、また胃癌細胞株MKN45等で、NFkBおよびAP-1結合部位がそれぞれIL-1,TNFに対する応答に重要であることが判明し、細胞の種類によってIL-1,TNFによるIL-8遺伝子発現調節に関わる転写因子が異なることが示唆された。またMKN45細胞では、IL-8遺伝子発現誘導に関してTNFとIFNγとの相乗性が見られ、この相乗性がNFkBの活性化レベルで起こっていることを見いだした。さらに、B型肝炎ウイルスX蛋白によりIL-8遺伝子発現が誘導されることが見い出され、IL-8がHBV感染時により産生され、肝炎の発症に関与する可能性が示唆された。最後に、研究代表者は1987年、好中球走化性因子IL-8を発見して以来、IL-8の生理活性や炎症性疾患との関連性を調べている。本研究では、虚血後再潅流に関するウサギでのモデル実験で、IL-8中和抗体の静注により、肺での再潅流障害および好中球の浸潤が抑制されることを見い出し、またLPS誘導性皮膚炎モデルでは、LPS投与局所への好中球の浸潤と皮膚炎での発赤が抑制されることがわかった。これらの結果から、IL-8が炎症性疾患の病因に密接に寄与していることが示唆された。The structural and functional relaionship of the intracellular portion of mouse interleukin 1 receptor (IL-1R)type I was examined with regard to activation of the human IL-8 gene in the Jurkat T cell line. We found that C-terminal boundary for the function of the receptor is localized between 28-42 amino acids from C-terminal end, and that the large region of IL-1R cytoplasmic portion is required for the function to transmit IL-1 signal. In addition, the cytoplasmic region of IL-1R possess the segment homologous to gp130, beta chain of IL-6R, including box 1 and 2-like elements, and mutations within the gp130 homologous segments, abolishied the capacity to induce IL-8 gene expression, suggesting similar structural requirements in the cytoplasmic portion of several cytokine receptors.To investigate the molecular mechanism of IL-1 reaceptor mediated signal transduction, we examined the IL-1 responsive elements on the 5\u27-flanking region of the human IL-8 gene. We found that the three cis elements on the IL-8 promoter, NFkB, C/EBP and AP-1 binding sites are required for IL-1 induced IL-8 gene activation. Interestingly, in fibrosarcoma 8387 cells, NFkB and C/EBP binding sites are necessary for the responsiveness to IL-1, whereas in gastric cancer derived MKN45 cells, AP-1 and NFkB binding sites, are indispensable, indicationg that the relative importance of these three sites is different among cell types. In addition synergistic action between TNF and IFNgamma was observed for the IL-8 production and the activation of IL-8 promoter. Gel retardation analysis revealed that TNF and IFNgamma synergistically induced the activation of NFkB binding activity, suggesting that IFNgamma enhance the activation of IL-8 gene by TNF through augmenting NFkB activation.研究課題/領域番号:03454195, 研究期間(年度):1991 – 1993出典:研究課題「インターロイキン1受容体と細胞内シグナル伝達機構の解析」課題番号03454195(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-03454195/034541951993kenkyu_seika_hokoku_gaiyo/)を加工して作

    インターロイキン8の病態生理作用の確立と阻害物質の開発

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    金沢大学がん研究所本研究代表者は1987年に米国癌研究所にて新しい白血球走化性活性化サイトカイン、インターロイキン8(IL8)を同定、精製、遺伝子クローニングを行った.その後私達は、ウサギ実験疾患モデルにおいてIL8が肺再潅流障害、皮膚炎症、急性関節炎に本質的に関与することを中和抗体を用いて明らかにした。これらの実験は、内因性の白血球走化性因子が炎症反応を成立に本質的に係わることを証明した歴史的に初めての仕事である。この2年間の研究期間にて、さらにIL8が血清複合体による急性腎炎に伴う腎障害、蛋白尿発症、PPDによるtubercukin反応時の好中球、Tリンパ球浸潤と浮腫に関与することを明らかにした。また、ヒト・マウスIL8受容体に対する特異抗体を作製し様々な細胞における発現を検索するとともに、Tリンパ球上のIL8受容体がIFNg、TNFによりupregulateされることを明らかにした。一方、IL8遺伝子の発現機構解析において、NFkBとAP-1/NF-IL6が本質的に関わることを以前に明らかにしているが、今回GC、FK506によるIL8遺伝子発現抑制の最終標的にNFkBがなっていることを明らかにした。これらの事実はNFkB活性化経路を標的として新しい抗炎症剤が開発できることを示唆しており、私達はその研究を促進するために世界で初めてLPSによるcell-freeによるNFkB活性化テムを確立した。また、これを用いてNFkBのキ-制御分子IkBaのリン酸化酵素を同定しそれによるリン酸化部位を明らかにした。A novel leukocyte chemotactic and activating factor, interleukin 8 (IL 8) was identified, biochemically purified, and molecularly cloned by us in 1987 at National Cancer Institute. Since then, we have established the essential involvement of IL 8 in various disease models in rabbits, including lung reperfusion injury, acute skin inflammation, and joint arthritis using a monoclonal antibody against IL 8. These works established for the first time an endogenously produced chemotactic factor has an essential role in causing inflammation. During the last two years studies, we further established that IL 8 is involved in serum sickness type glomerulonephritis and PPD-induced delayd type hypersensitivity. We also generated antibodies against murine as well as human IL 8 receptors and studied the expression on various types and maturation stages of leukocytes. We also examined the regulation of the expression of IL 8 receptors on T lymphocytes and found that IL 8 receptors are highly upregulated by treating with interferon gamma and TNF alpha. On the other hand, we previously revealed that NFkB in synergy with AP-1 or NF-IL 6 confers the responsiveness to various inflammatory stimuli to activate IL 8 gene. Here, wehave found that NFkB is an end target of the established anti-inflammatory and immunosuppressants, glucocorticoids and FK506. These observations indicate that novel anti-inflammatory drugs can be developed targeting the pathway (s) leadinf the activation of NFkB.To facilitate the approach, we developed LPS-dependent cell-free activation system of NFkB and identified a protein kinase which binds and specifically phosphorylates a negative regulator of NFkB, IkBa.研究課題/領域番号:06454218, 研究期間(年度):1994 – 1995出典:研究課題「インターロイキン8の病態生理作用の確立と阻害物質の開発」課題番号06454218(KAKEN:科学研究費助成事業データベース(国立情報学研究所)) (https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-06454218/064542181995kenkyu_seika_hokoku_gaiyo/)を加工して作
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