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    寛永・寛文年間における武家茶道 ―片桐石州の茶道(1)―

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    大名茶の完成は遠州、そして石州は新たな大名茶を構築したとみるべきであろう。幕藩体制の熟覧期に、石州の茶は柳営茶湯と称されるに至った。織部、遠州の茶湯とどう違うのか。石州の生い立ち、茶湯の経歴、更には侘び茶を基本とする千利休と石州の比較、大名茶として時代の要請を背景としながら、独自の茶風をつくり上げていく石州の茶への一考察である

    総合的な学習の時間と学校裁量の時間を活用した新設小・中学校の未来志向型教育の試み ―茶道教育を通した徳性と品格の涵養―

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    2019年に開校した学校法人九州文化学園の小・中学校(以降、本校とする)は、総合的な学習の時間と学校裁量の時間を活用して建学の精神である優れた徳性と品格の育成の基盤構築を行おうとしている。このために、「英語教育の推進」、「IT 教育の推進」及び「日本文化教育の推進」の3つの学びを学校教育の柱に位置付けたカリキュラムを編成し、実践を行っている。特に、日本文化教育の推進においては、同学園の長崎国際大学教職員の協力も得て茶道教育の充実を図ってきた。全児童・生徒を対象とした長崎国際大学の調査によれば、茶道の時間を楽しみにしていることや、日常生活においても相手の気持ちを考えるようになったことが明らかになっている。開設後1年半の実践を通して、児童・生徒の徳性の育成については、教員も手ごたえを感じているが、現時点では定性的な判断が先行している。今後、茶道教育を中心とした学びによって、児童・生徒たちがどのように変容したかを定量的に明らかにする研究にも着手し、本校の教育の成果を具体的に明らかにしようと考えている

    元和・寛永年間の武家の茶 -遠州の茶-

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    武家茶には、その時代の要請が強く反映されている。古田織部によって武家相応の茶の湯が出来上がってゆくが、まだ完成の域には達していない。 その弟子である小堀遠州は、大名達の要請を意識しながら、優雅さの中に佗びを表現するという独自の武家茶を完成した。その遠州の茶について考察してみた

    慶長年間における武家相応の茶の湯 -古田織部の茶-

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    利休歿後、利休の弟子七人衆の一人である古田織部により、その茶が継承された。織部は武将の茶としての展開を遂げ、茶室・茶の形態・露地・懐石・点前に至るまで、武家相応の茶の湯に置き換えることにより、利休の身分平等性を主とする作法やその技法、精神性からの脱皮を計ることに成功したと言える。 しかし、その事で草庵における茶の形態だけは、守られたと思われる。そのことは、町人的作法から生まれた利休の茶を改良し、かつての貴族時代に生まれた文化と、武家故実に基づく文化を合流させた慶長年間の武家相応の茶の湯が、織部によって出来上がったと言えるのではないだろうか
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