9 research outputs found

    高齢者の実態からみた地域コミュニティに開かれた保健室が果たす役割

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     本研究の目的は,先駆的な取り組みを行う専門職による健康相談や保健指導を行う窓口に来室する高齢者の健康ニーズ及び支援とその結果から,地域コミュニティに開かれた保健室が果たす役割を明らかにすることである.A 県内で先駆的な取り組みを行う専門職による健康相談や保健指導を行う2 か所の保健室において合計3 回,地域住民を対象に講演会,健康相談,健康チェック,健康バランス食の試食,いきいき百歳体操等をおこない,その後,意識調査を行った.来室した高齢者は合計43 名で,女性が多く,保健室で提供した内容はいずれの内容も高評価で再び来室を希望していた.保健室の果たす役割として,自覚症状がなくても健康チェックなどにより健康課題が見つかること,地域住民の健康維持・増進につながる情報を発掘し,その意味を住民が理解できるように伝えることがあった.これらにより住み慣れた地で長く暮らす生活を支えるといったことが明らかとなった

    高齢者施設の看護師が捉える認知症高齢者のその人らしさに関する文献検討

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    目的:高齢者施設の看護師が捉える認知症高齢者のその人らしさについての基礎資料を得る.方法: 医学中央雑誌Web 版(Ver.5)で,キーワードを「その人らしさ」「認知症」「ケア」「施設」とし,検索した.その結果, 得られた33 文献を精読し,日常のケアの中で認知症高齢者のその人らしさについて記述している6 文献を対象とした.結果: 高齢者施設の看護師は,認知症高齢者のその人らしさを「生活者としての認知症高齢者のありのままの姿」「ケアを通して現れる認知症高齢者の姿」「施設という環境で暮らす認知症高齢者の姿」「人生の中で培われてきた認知症高齢者の姿」から捉えていた.また,認知症高齢者のその人らしさを大切にしたケアには,「安心できる環境の調整」「自尊心を尊重したケア」「残存能力を引き出すケア」「からだを整えるケア」があった.考察: 高齢者施設の看護師は,認知症高齢者のその人らしさを認知症の症状に現れる人となりから,「認知症高齢者のありのままの姿」「ケアを通して現れる姿」「施設という環境で過ごす姿」「長い人生の中で培われてきた姿」も踏まえて捉えていることが推察される.そして,認知症高齢者が,その人らしくコンフォートな状態を保ちながら,施設で暮らし続けるためには,高齢者施設の看護師がおこなう「安心できる環境の調整」「自尊心を尊重したケア」「残存能力を引き出すケア」「からだを整えるケア」が重要である

    認知症を発症した高齢血液透析患者の家族介護に関する文献検討

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    目的: 認知症を発症した高齢透析患者に対して家族が行っている透析の自己管理を含めた介護について,家族介護者の体験を引き出すインタビューガイド作成のための基礎資料を得る.方法: 医学中央雑誌Web 版(Ver.5)で「認知症」「血液透析」「家族」「介護」「自己管理」をキーワードとして検索した結果,39 文献検出しうち7 文献を分析の対象とした.結果: 認知症を発症した高齢透析患者の家族が行う介護の内容が含まれていた文献は,透析の自己管理を含む生活介護に関するものが5 件,代理意思決定に関するものが4 件,家族の介護ストレスに関するものが3 件あった.透析の自己管理を含む生活介護では,認知症発症前からの介護の継続,医療者へ情報をつなぎ共有すること,柔軟に介護しているケースがみられた.また,家族は葛藤しながら,高齢透析患者が最善のケアが受けられるように代理意思決定しているケースがあった. これらの介護を継続する中で,家族介護者がストレスを感じているケースがあった.考察: 認知症を発症した高齢透析患者の家族介護者への体験を引き出すためには,認知症の発症前から家族介護者が行っている介護がどの様に変化したのか,変化した介護の内容に対してどのような思いを抱いていたのかを聞くことができるような内容を考慮する必要がある

    高齢者への健康相談・保健指導を行う保健室による地元への貢献

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     研究の目的は,地域において高齢者を対象にした先駆的な取り組みを行う看護職による健康相談・保健指導を行う窓口である保健室の特徴と,地元への貢献を明らかにすることである.高齢者を対象にした先駆的な取り組みを行う保健室8 か所の実施窓口担当者,保健室運営に関係が深い自治体の担当者1 名にインタビューを実施した.8 か所はその特徴から,経験豊かなプラチナナースが主体となり運営されている保健室,地域に開かれた事業所と共に運営されている保健室,そして震災復興の生活再建支援から継続する保健室という3 つに分類された.地元への貢献は,地元住民同士による生活・療養支援の自主活動の支援,地元の特性に融合した健康支援,地域包括ケアシステムの活用とならないはざまの支援,地元ボランティアから地元住民への効果の波及といったことがあった.3 つのタイプの保健室がもたらした地元への貢献の共通点として,地元住民の健康への意識を高める支援や地元住民との心理的な距離を縮める取り組みがあった

    平成27年度 看護学部FD研修会の報告

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     看護学部FD委員会が平成27年4月より実施した全15回の看護学部FD研修会について,実施した内容や受講者へのアンケート調査の結果と合わせて,検討した今後の課題について報告する.本年度のFD研修会は,教員のニーズを参考に内容を検討しながら,看護学部が開設年度であることや教育経験の短い教員が多いことなどを踏まえて,教員同士の交流の機会を多く持てるように工夫して実施した.FD研修会の出席率は平均96%,受講者アンケートにおける目標達成度は,「かなり達成できた」,「まあまあ達成できた」を合わせて平均90%,1 年間の看護学部FD研修会に対する満足度調査においても,「かなり満足できた」11 件(58%),「まあまあ満足できた」7 件(37%)で,教員の満足度は概ね高かった.しかし満足度調査の結果からは,経験年数が長い教員ほど満足度がやや低くなる傾向が見られた.またそれぞれの調査の自由記載の中には,研修会の運営改善を求める意見も含まれていた.これらの結果から,今後は幅広い経験を持つ教員それぞれが満足できるように更に内容や方法を検討し,研修会の運営方法の改善に努めていくことで,看護学部のFD活性化に貢献していきたいと考える

    急性期病院における老人看護コンサルテーションからみた院内教育ニーズ

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     本研究の目的は,急性期病院において老人看護専門看護師が行う老人看護コンサルテーションの結果から,高齢者ケアの困難さを解決に導くための院内教育ニーズを明らかにすることである.調査対象は急性期病院における老人看護コンサルテーション結果報告書61であり,年齢やコンサルテーションの回答からコンサルテーション概要表を作成した.データ分析は,類似のコンサルテーションをカテゴリー化するとともに,コンサルテーション回答の質的な内容を読みとり,看護師に対する院内教育ニーズを明らかにした.その結果,依頼が多かった老人看護コンサルテーションは「せん妄ケア」「病気の軌跡や死への対峙を支えるケア」「認知症およびBPSD へのケア」だった.また,老人看護コンサルテーション結果からみた院内教育ニーズの特徴として,高齢者自身への関心の向け方やそれをケアにどのようにいかしていくか,その結果を実際のケアに適用できるような能力の育成があげられた.さらに,院内教育ニーズとして高齢者への困難なケア方法の技術を教えるだけでなく,技術を駆使するときの考え方の能力育成や,相手の心情の推察を包括的に行うとともにコミュニケーション技術の育成が必要であることが明らかとなった
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