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    日本研究の方法論的基礎 : 「関係体」の原基性をめぐって

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    Thus far Japanese studies conducted from sociological and anthropological viewpoints have used several key concepts such as "shame culture", "vertical society", "group ego", "amae (dependency)", all of which denote a lack of individual autonomy and independence in a social action. In these studies the Japanese are seen as group-oriented people who totally devote themselves to the organization to which they belong.Such analyses depend on methodological individualism in the comparative study of societies and do not necessarily reflect the emic nature of the Japanese. This paper aims to correct a methodological problem in Japanese studies by shifting the paradigm from methodological individuum-ism to methodological relatum-ism.After discussing the concept of "paradigm" and "model", two types of actor-subject, that is, the "relatum" and the "individuum" are differentiated. The former is the system constituted by the human nexus itself, and forms a referential "holon" or self-organizing system in a universal pattern. Here the concept of "holon" as discussed by Arthur Koestler and Hiroshi Shimizu is reexamined. The latter, the "individuum", is thought to be a specific form of the "relatum".From the ontological point of view, the "individual" as a mere unit of society has a fictitious nature in itself and its existence cannot be presupposed without any reference to a specific "field" composed of the crossing of human model called the "contextual" as the "relatum" is proposed instead of the usual "individual" model of person as the "individuum".Lastly the ontological foundation of the "relatum" is sought out, based on arguments by Nāgārjuna and Tokuryu Yamanouchi on ancient Buddhist philosophy

    A Methodological Basis for Japanese Studies : with Regard to "Relatum" as its Foundation

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    濱口恵俊先生の講演

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    濱口恵俊先生の講

    日本研究原論, -「関係体」としての日本人と日本社会

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     本論文は、日本人の国民性(民族的性格)および日本型社会システムの特性を、新しい方法論に基づいて解明することを意図している。すなわち、既存の分析枠組みの再検討を通して、新たに「関係体」「間人」という概念を設定し、それらの存在論的基礎を明確にすることによって、「方法論的関係体主義」(methodological relatum-ism)というパラダイムを提起し、それに基づく「日本研究」(Japanese Studies)の原論を構築しようとする試みである。それはまた、従来、非自律的と評されてきた日本人や、集団主義的傾向が強いとされていた日本社会を、「複雑系」の視点からとらえ直し、より普遍性を備えた、柔軟な主体システムとして把握しようとするものである。 本論文の章構成とその要点は、以下のとおりである。 先ず「序章」では、これまでの観をすっかり覆すような三人の先駆者の考え方を取り上げる。自力志向を徹底的に否定した親竃、懺悔心による自律性の確立を提唱した古沢平作、種における個体を把握しようとした今西錦司、これらの諸説は、を「関係体」の視点からとらえようとしている。 第1章[日本研究における『間人』モデル」は、本論文への概説的導入部であり、従来の「個別体」を代替する主体モデルとして「関係体」を設定し、それらのモデルとしての「個人」と「間人」の構造特性を対比した。また日本型システムの編成・運用原理が、いわゆる集団主義ではなく「協同団体主義」であるとし、その価値的基盤としての「間人主義」を、欧米起源の「個人主義」と比較検討した。 第2章「日本研究のパラダイム論」においては、代表的な日本研究である、中根千枝の社会構造論、ベネディクトの文化型論、土居健郎の国民性論、南博の自我論で採択されていた「方法論的個人主義」の非妥当性を指摘し、また日本論が一般に個体性の欠如理論に陥っていたことを指摘した。その上で、関係性や場所性に立脚するパラダイム、すなわち「方法論的関係体主義」にシフトする必要性を述べた。 第3章の「日本人のモデルと『間柄』」では、第一に、主体システムの構造的な二元分化に従い、「間人」と「個人」を定義づけるとともに、それらの自己意識な「自分」と「自我」として対比した。第二に、互酬性に依拠する「社会関係」とは区別される、相互包摂性・相互信頼に基づく「間柄」が、日本人においていかに常態化されているかを、文章完成法テストによる調査結果から明確化した。 第4章「『状況型行為』の原理」は、日本人の社会的行為が、相互の関係や置かれた場所と深くかかわっている理由を説明しうるように、既存の行為理論の再構築を意図している。それは日本人の民族的性格を社会学的に明らかにする一つのアプローチである。そこでは、動機づけ志向と価値志向からなるパーソンスの志向システムに修正を加えて、基準系の設定から始まる志向体系、すなわちサイバネティック・モデルが設定される。その機能様態から、状況型行為、なかでも「標準型行為」が、日本人を特徴づけていることを明らかにする。さらに、その場合の基準系の内容として、「恥」と「義理」の概念分析を行なった。 第5章「『価値』とは何か」は、日本人の価値観やモラルを追究するための基礎作業である。先ず価値の文化とのかかわり、行動に対する機能が論じられた。価値体系や価値指向、評価・選択についても検討され、また価値の諸次元や検証法も記述・検討された。価値の基本特性として、行為におけるコスト決定性と成員における自明性とが挙げられた。 第6章「日本人のモラル・システム」は、前章を承けた形で、日本人のモラルの特性を分析している。最初に「モラル」の概念と構造を検討し、その上で、日・米での調査の結果明らかになった、社会心理としての日本人のモラル特性を抽出している。そこでは、日本人の状況型行為を支える、他律主義・融通主義・個別=状況主義という属性が明らかになった。さらに、文化の型として表明される「罰(ばち)」「恩」というモラノレ事象が理論的に分析された。 第7章「イエモト集団内の人間関係」においては、第一に、メタ原組織としての家元制度と、その歴史的形成について述べた。次いで日本の原組織「イエヒト」の構造特性が、近代官僚制との比較において解明され、連結的ヒエラルヒーとしてのそれが、「縁約の原理」によって運用されることを明らかにした。それに基づいて、日本の職場の人間関係の実態が把握され、さらにまた、日本の組織を特色づけでいる稟議制度の特性をケース・スタディによって探究した。 第8章「『日本らしき』の存在論的基礎」は、前記の諸章を通じて明確化された「日本らしさ」に関して、特に「関係体」としてのシステム特性について、存在論的な基礎を解明しようとするものである。藤沢令夫に従って「個」のセマンティックスを検討するとともに、湯川秀樹、西田幾多郎らの「場所」の存在論的認識を再確認し、さらにナーガルジュナ(龍樹)における、自立個体たる「自性」または「他性」と、それらの間の依存関係である「縁起」との構造的アンチノミーに言及する。龍樹ではこの構造矛盾は、テトラ・レンマの論理に従い、高次の「縁起」たる「空」において解決しうるとしたが、山内得立は、個体存在間の「相対」と「相待」の相補的に注目し、「自性」と「縁起」とのマージナルな両立形態、すなわち「依止」を措定した。本論文では、この「依止」が「関係体」の存在論的基礎であると想定した。 第9章の[日本型分析モデルj関係体Jの特性」においては、パラダイムやモデルの意味を明確にした後、存在システムの基本形態を、「関係体」としてのホロンに求め、その人間版としての「間人」にも論及した。この「間人」については、山崎正和によるコメントがあるが、本章でそれに対するリジョインダーを加えた。 終章[日本型複雑系論に向けて」では、「複雑系」として人間と社会をとらえることが現代的要請として強いが、そのためには、方法論的関係体主義へのパラダイム・シフトが不可欠であること、また、価値・倫理面でも従来の「効用」から「信頼」への転換が不可避であることを述べた。国際的な比較調査のデータからも、対人関係観における「間人主義」が、「個人主義」と並んで、グローバルにサポートされていることは明らかである。欧米で日本よりもハイ・スコアーであることが注目される。こうしたことから、相関存在論に依拠する日本型複雑系論の展開が今後いっそう要請されることなる。 「付論 I 『文化』と『パーソナリティ』の基礎理論」 「付論 II 『文化とパーソナリティ』論への相関論的・全体論的アプローチ」は、比較国民性論を心理人類学的に展開するための基礎理論であり、「付論 III 属性原理と業績原理」は、日本型組織の分析に必要な補論である。「おわりに -- 複雑系・縁起・場」は、本論文の研究史的背景と問題意識とを述べている
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