81 research outputs found
子どもの入院に付き添う親への支援について
子どもの短期入院に付き添った親に付き添い体験についての面接調査を行い、入院する子どもを持つ親への具体的な支援について考察した。面接で得られた知見より、子どもの入院に付き添う親への支援について、大きく「人的資源によるサポート」、「付き添う親の生活環境に対するサポート」、「入院児の同胞への支援」、「医療行為へ親が参加することへのサポート」に分けて提案した。「人的資源によるサポート」に関しては、さらに、「医療者による理解」、「子どもの医療体験を支える専門家」、「子どもの保育を担当できる保育者・ボランティア」、「付き添いの親たちのネットワーク」に分けて考察を行った
上級生模擬患者による看護学生の学び
本研究は、看護学部上級生(4年生)による模擬患者(SP)を活用した成人看護学演習において、受講した同学部3年生106名を対象に、この上級生SP演習授業による学びを明らかにし、臨地実習に向けた成人看護学演習の教育方法について示唆を得ることを目的とした。研究者間で作成した自記式質問紙調査を行い、99名(回収率94.3%)の学びについての回答を、質的帰納的に分析した。その結果、44コード、25サブカテゴリー、および【準備の大切さ】【目的・根拠を考えたケア】【患者に適した看護のありよう】【患者への配慮】【看護の現実味】の5カテゴリーが生成された。また学びとはならなかったが、『自己の振り返り』や『先輩の存在から感じたこと』についても抽出することができた。上級生SPは、経験や訓練が必要な一般のSPと比較して、実習経験から学生へのフィードバックができていることから効果的である可能性が示唆された。また上級生SPを活用した演習を領域実習前に取り入れることは、実習での学生の過度な緊張や不安を和らげ、看護援助や患者理解を深める効果が期待できる
子どもの入院に付き添う親の負担の現状と家族支援の方向性
子どもの入院に家族が付き添う場合は多く,その家族に対する看護の必要性は,家族看護実践の課題のひとつである.子どもの入院に付き添う家族ついての研究は,親の思い,付き添い環境の実態について述べられているものは多数あるが,その負担を系統的に分類したものはみられない.本研究の目的は,子どもの入院に付き添う親はどのような負担を感じているかを整理し,現状を明らかにすることである.さらに得られた知見から,具体的な家族支援について検討する.医中誌Webのデータベースを用いた文献検索を実施した.「入院」「小児」「家族」「付き添い」「親」「負担」の用語を用いて論理積で検索を行った.結果,17本の文献が該当した.家族が実際感じている負担の内容を分析するために,対象者が家族ではないものなどを除外し,最終的に該当した論文13本を分析対象とした.対象文献をベレルソンの手法を用いて内容分析を実施した.対象文献より,子どもの入院に伴う負担に関する不安や苦痛,希望が表現された文脈を抽出してデータ化し,文脈単位とした.文献より,子どもの入院に付き添う親の負担について述べられた文脈を抽出した結果,163文脈単位が抽出された.それらをサブカテゴリ(記録単位)化し,それぞれ類似した内容ごとにまとめ,【子どもの療養環境への不満】【子どもが療養生活環境にいることに伴う親の身体的苦痛】【家庭,他の家族員に関する心配,苦痛】【看護職者への不満】【子どもが療養生活環境にいることに伴う親の精神的苦痛】【入院そのものに対する不安】【子どもの病気に対する不安】【看護職者以外の医療従事者に対する不満】【経済的な負担】【社会的活動に対する不安】という10のカテゴリが形成された.最も多かったのは【子どもの療養生活環境への不満】のカテゴリで全体の32%を占めた.次に多かったものが,【子どもが療養生活環境にいることに伴う身体的苦痛】のカテゴリで17%を占めていた.子どもの入院時,付き添う家族の基本的欲求が制限されており,看護職として積極的に看護介入していく必要性が考えられた.特に,負担として多く挙がっていた付き添い環境,付き添いに伴う家族の精神的負担,子どもの病気の受容などの負担に対して,看護職は親がこのような負担をもちながら付き添う現状を理解し,早急な改善を目指す必要があるだろう.また,治療に関する説明だけではなく話の傾聴や親の頑張りを認めるような関わりが必要であることが考えられた
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