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    循環器系疾患の治療効果に影響を及ぼす食事因子の症例的研究

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    "循環器系疾患の治療における食事療法の問題は,種々検討されているが,今回,特にいづれの食事因子が各臨床検査値と深い関連にあるかを症例的に明らかにする目的をもって本研究を行なった.臨床検査値と食品・栄養摂取量とのかかわりを追究するために,相関係数および重相関係数を用いて検討したところ,治療の経過に伴ない症例ごとに食事因子がそれぞれ寄与していることを認め得た.症例1においては,エネルギー,糖質,食塩の摂取形態の変化によって,体重,肥満度が低下し,トリグリセライド,リン脂質を下げる誘因となったものと考えられる.症例2においては,コレステロール,トリグリセライド値を低下させるために効果的に働いたのはエネルギー,糖質の減少であったが,特に食品群のうち果実類が深く関与していることが証明された.症例3においては,糖質,たんぱく質,食塩の減退がコレステロール,トリグリセライドおよびβ-リポたんぱく値を好転させたものと考えられる.症例4は,油脂類とコレステロールとの間に関連がみられる程度であった.症例5は,糖質性食品と食塩の減量および植物性油に替えたことが,コレステロール,トリグリセライド,β-リポたんぱく値を低下させ得た要因としてあげられる.症例6においては,糖質のほか,たんぱく質,脂質など多くの因子との関係が深い.したがって,本症例では食事内容を大きく変革させたことがコレステロール,トリグリセライド,β-リポたんぱく質などに好結果をもたらしたものと考えられる.このように,臨床検査値と食品・栄養すなわち食事因子との関連には,症例間に一連の共通性を認め,しかもそれぞれ特徴ある成績が得られた.以上のことから,循環器系疾患の場合,食事形態の違いや個人のもつ検査値の相互関係によって,治療効果に及ぼす食事因子の影響力に差があることを認めた.したがって食事指導のあり方は,個人のもつ症状や生活状態をふまえたうえできめの細かい指導をくり返しながら継続していくことがよいよい効果をもたらすものと考えられる.稿を終るにあたり,御指導をいただいた名古屋大学医学部内科学教室,安井先生,外畑先生,渡辺先生,公衆衛生学教室,棚橋先生に深く感謝申し上げる.

    循環器系疾患の治療効果に影響を及ぼす食事因子の症例的研究(第2報) : 肥満を伴わない場合について

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    "前報につづいて,今回は肥満を伴わない循環器系疾患の高脂血症をとりあげ,その治療効果に栄養・食品の摂取がどのような影響を及ぼすかについて,食事形態の異なる症例ごとに追求することを目的とした.臨床検査値と栄養摂取量および食品群別摂取量の関連をみるために,前報と同様の方法を用い相関係数と重相関係数がら検討したところ次の成績を得た.1.コレステロール値に関与する食事因子として,食品群別摂取量においては米飯+いも+砂糖類,果実類が促進因子として働いており,豆腐,牛乳,野菜+海草類が抑制因子として作用していた.また,栄養摂取量ではエネルギー,糖質を促進因子としてあげることができる.すなわち,糖質性食品の制限を行うとともに野菜類と豆腐,牛乳などの良質のたんぱく背性食品を積極的に摂取する食事形態が臨床検査値の改善に有効であるといえる.2.トリグリセライド値については,食品群別摂取量のうち米飯+いも+砂糖類,果実類,栄養摂取量ではエネルギー,糖質に増悪的な関係がみられる.3.β-リポたんぱく値と栄養・食品との関連をみると,栄養摂取量のうち糖質と密接に結びついていた。4.リン脂質値においては,各症例に共通して関連をもつ栄養・食品摂取量はないが,食事因子を総合的にとらえれば糖質性食品,たんぱく質性食品とのかかわりがみとめられる.また,食塩との相関が高いが,食塩がリン脂質に直接的に作用しているというよりも食塩量の多い食事の摂取形態に起因するものとおもわれる。5.遊離脂肪酸値には,2症例において積極的な植物性油摂取による正常範囲内への移行がみとめられた.以上のことから,血中脂質異常の改善には栄養・食品摂取料が臨床検査値にそれぞれ深く関与することを認め得た.終わりに,本研究に対してご指導をしたたいた名古屋大学医学部内科学教室,安井昭二先生外畑巌先生,渡辺佳彦先生,公衆衛生学教室,棚橋昌子先生に厚く感謝の意を表する.

    Children with Disabilities and Their Physical Activities in Northeastern Thailand

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    タイ王国(以下、「タイ」)の障害者の定義は 2007 年障害者エンパワーメント法(Persons with Disability Empowerment Act B.E. 2550 (2007))の第4条1号に、「視覚、聴覚、動作、伝達、精神、情緒、行動、知能、知識における障害またはその他の障害と、さまざまな困難を併せ持つことにより、日常生活または社会参加をする上で何らかの制限を有し、かつ非障害者と同様に日常生活または社会参加を可能にするために、特別にさまざまな援助を受けることが必要な個人」と記載されている。また教育省においては、すべての障害児に教育を提供する目的で、2009 年に障害種別・基準通知を発出している。 しかし、すべての障害児に教育を提供するという教育省の目的はあるものの、日常生活に困難を抱えている障害児とその家族についての対応には,課題が山積している。  本研究グループは、2023年3月にタイの東北地方で生活をする障害児の日常生活調査を実施した。今回は、その調査を通して障害児の日常生活における身体活動に着目し、さらに身体活動が可能な生活環境に対しても視野を広げながら、タイにおける障害児の身体活動の必要性について言及したい。departmental bulletin pape
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