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    海外進出企業の事業展開に伴う異文化のせめぎあい : ヤンゴン郊外進出日系企業での実態調査に基づく

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    他の新興国と同様,ミャンマーの経済開発「低迷期」では,地方・農村→都市→世界といったように順序を踏んで徐々に異文化に触れていった。しかし,2011年以降スタートした国内改革断行や高度経済成長のような「活動期」に突入すると,地方・農村→都市郊外にある外資企業から一気に外界(世界)に触れることになる。異文化同士のせめぎあいは,順序を踏まないで,都市を飛び越えて一気に広大な郊外地域に進む。 本論では,まず,「人」に着目し,複数の国(都市)での滞在経験を持つ日本人駐在員に駐在経歴や実体験を語ってもらい,それを踏まえて異文化や慣習,国民性などによる企業経営への影響とその特色をまとめる。 具体的には第2章では,日本人管理者T氏への聞き取り調査を通して,日本,中国,ミャンマー駐在の実体験から見た各国の異同を検討した。 続く第3章においては,T氏とは真逆な立場から,ミャンマー人K氏は進出企業の経営方針や管理手法と進出先の地付き文化との行き違いを観察している。そこで,日系企業とミャンマーの国民性とのミスマッチ,ミャンマーの国柄や国民性と日本企業の経営方針や管理手法とのギャップまたは齟齬(異文化による摩擦)について,自らの実体験を踏まえ紹介してもらった。 日系企業S社I相談役は,2000年10月から2019年9月にかけてずっと,マレーシア,ベトナム,ミャンマーにおけるS社の海外事業展開や工場経営に19年もの長きにわたって参画してきている。第4章では,同氏にマレーシア,ベトナム,ミャンマーにおける滞在を踏まえて,異文化体験と具体的な事例を語ってもらった。 合せて,フィリピンのリマ工業団地における長い滞在経験を持ち,現在ヤンゴン駐在中のM商事のS氏には,滞在経験を踏まえ,フィリピンとミャンマーの両国に見られる違いについて教えてもらった。 2019年,ヤンゴン(3回)とマニラ(1回)の調査体験を記録した筆者の体験談も付け加えておいた。 当事者からのヒアリング,現地における詳細な観察,当事者への無記名アンケートの実施などに基づき,現場の「肉声」,「実情」,「実体験」を忠実に反映させる。足が地についたフィールド調査こそが実態を反映し,記録として永続する。 なお,第5章は,2章から4章とは異なり,物流企業M社の現地化取り組みに焦点を当て,東アジアや東南アジアを転々してきた経験や教訓を踏まえ,どのようにして進出先の実情に合わせた,特色のある在緬経営を展開しているのかについて明らかにしていく。 以上のように,先発国,新興国,後発国の順に生起する経済の活動期と低迷期に合せて,人々の移動を通して表現される郊外における地域・社会構造や企業文化の変貌の実態を,多視角,複眼的に考察する。 ミャンマーの通貨はチャット(Kyat)である。2022/09/08時点において,1 日本円=14.5992 ミャンマー チャットである

    開発金融機関における環境社会配慮(2・完)―最近のJICAの一事例を中心に―

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    ミャンマーのティラワ経済特別区にJICAが円借款を供与するに至った経緯を、近年の同国の政治史を振り返りながら概観し、現地住民が提起した異議申立の内容、及び、それに対する審査役報告書の概要を紹介した
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