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    ElGamal暗号を用いた暗号化制御系の性能解析

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    現在,制御システムのネットワーク化が進む一方で,サイバー攻撃の脅威に晒されている.その対策として,制御器内部の情報を秘匿したまま制御入力を決定する暗号化制御則が提案されている.暗号化制御則の適用には,実数から平文と呼ばれる整数値に変換する必要があり,丸め誤差が生じる.これを,平文変換誤差と呼ぶ.ElGamal暗号に基づく暗号化制御系は,量子化間隔に疎密が生じるため,制御性能への影響が懸念される.また,制御対象の状態が観測できないとき,オブザーバを併合した状態フィードバック制御を行う場合がある.先行研究は,オブザーバを併合した系の議論をしていない.そこで,本論文では,オブザーバを併合した暗号化制御系を提案する.また,ElGamal暗号に基づいた暗号化制御系に対し,平文変換誤差が制御性能に与える影響を解析する.オブザーバを併合した状態フィードバック系に対し,従来の暗号化制御則に基づき,オブザーバおよび制御器内の演算を秘匿化できることを示す.また,数値例により検証を行う.暗号化制御系として,オブザーバを併合した系の他,比例制御則を含めた線形制御則を考える.暗号化復号化の間には誤差が生じないため,平文変換処理を量子化器とした性能評価問題に帰着できる.ただし,制御器およびオブザーバのパラメータの平文変換誤差は無視できると仮定する.制御性能の評価基準として,量子化器を含んだシステム,含まないノミナルなシステムの2つの出力の差を用いる.比例制御則の場合,平文空間の実データから導出した量子化間隔の確率分布をもとに,評価関数の上界と下界を求める.線形制御則およびオブザーバを併合した系の場合,制御器およびオブザーバの状態の平文変換誤差を考慮する必要がある.そこで,動的量子化器設計のアプローチをもとに,評価関数の上界を求める.制御性能が,導出した評価関数の範囲内に収まることを述べ,最後に,数値例を用いて検証を行う.電気通信大学201
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