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    非羨望性を考慮した被覆制約付き複数財市場の価格決定

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     近年,PC やスマートフォンの普及により,インターネットを通じた広告配信市場が成長している.この内インターネット広告市場の 40%を占めるリスティング広告には「Real Time Bidding」と呼ばれるシステムが採用され,利用者が web サイトに訪れる度に,どの広告を掲載するかをオークションによって決定する. 広告配信システムに向けて,非羨望性(Envy-Freeness)を考慮したオークションのモデルが数多く研究されている.非羨望性とは,全ての広告主が,自己の利得を最大化する結果を受け取ることを意味する. 本研究では,売り手が「相場は近いが,相異なる財」を複数持つと仮定し,これを満たすモデルとして,「被覆制約付き複数財市場」を提案した. これは,広告配信システムにおいて,広告枠の相場は一定だが,掲載する時間帯や広告閲覧者の属性等が,多様であることに対応する. 提案モデルにおける性質として,(1) 非羨望性を考慮し,財に均一価格を決定するとき,価格に対して割当て可能な財の数が単調非増加であること,(2) ある価格における最適な財の割当は,特殊な重み付けを行ったグラフ上の最小費用流問題を解くことで,計算可能であることを示した.これらにより,均一価格における,非羨望性を考慮した売り手の利得最大化問題に対する多項式 時間アルゴリズムを提案した. また,既存の DGS オークションを提案モデルに拡張し,配分効率性に関する議論を可能にした.買い手の財の評価額の分布を変化させたデータや,財と買い手の比率を変化させたデータを,乱数を用いて生成し,計算機実験によって,アルゴリズムの性能評価と,提案モデルにおける,非羨望性の考慮と,財の価格を均一に決定することの妥当性の検証を行った.計算機実験の結果より,モデルの仮定を満たすデータにおいては,これらの妥当性を示すことできた.また,買い手の評価額が区間付き一様乱数の場合において,買い手は必ずしも評価額が高いほうが有利ではない傾向が,実験結果から観察できた.電気通信大学201
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