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    AES暗号回路に対するクロック間衝突を用いた電磁波解析

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    Kocher らによる差分電力解析の提案以降,サイドチャネル解析(SCA:Side Channel Analysis)が注目され,盛んに研究されている.SCA とは暗号回路が漏洩する物理情報を解析し,回路内部の秘密情報の特定する手法である.SCA で利用する物理情報は処理時間や消費電力,漏洩電磁波など様々である.中でも漏洩電磁波を用いた電磁波解析(EMA:Electro-Magnetic Analysis)は測定するプローブの位置や対象とする回路のレイアウトにより,異なる物理的特徴を有する電磁波形が取得可能である.この局所性と呼ばれる性質により,EMA は解析対象となる演算の処理に強く依存した漏洩電磁波を取得できることが知られている.そのため,回路全体の消費電力を利用する電力解析と比較して,効率的な解析が可能になると考えられている.本研究ではEMA の局所性に着目し,AES 暗号に対するクロック間衝突を用いた電磁波解析(CC-EMA:Clockwise Collision EMA)という新たな鍵復元アルゴリズムを提案する.対象とするAES 暗号実装は1 ラウンドを1 サイクルで行うループアーキテクチャ構造を有する.このような実装におけるクロック間衝突とは,連続した2 ラウンド間でAES 暗号回路内のS-box 回路への入力値のハミング距離が0 の時のことである.提案手法ではEMA の局所性を利用して解析対象となるS-box 回路で発生するクロック間衝突時の漏洩電磁波を識別し鍵復元を行なう.CC-EMA鍵復元アルゴリズムは閾値法と多数決法で構成することで,従来手法である相関電磁波解析(CEMA:Correlation EMA)と比べてAES の鍵復元時の計算量を1/256 に減らすことに成功した.さらに,本研究では,シミュレーションを用いてCC-EMA とCEMA を比較し,解析に必要な電磁波形数(解析コスト)の評価を行なう.我々は様々な環境下で取得した漏洩電磁波を想定した解析効率の評価を行なうため,サイドチャネル情報モデルを構築し,シミュレーションにより解析コストを定量化する.本シミュレーションにより,どのような環境下でCC-EMA が効率的にAES 暗号回路の鍵を復元できるかを示す.また,S-box 回路が並列に実装されたAES 暗号回路では鍵値によりクロック間衝突の発生頻度が異なることを明らかにする.我々は測定環境だけではなく鍵値に依存したCC-EMA の解析コストの定量化も行なう.これらのシミュレーション結果から,測定環境や鍵値によってはCC-EMA の解析効率がCEMA を上回ることを示す.電気通信大学201
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