Determinants of Liquid-Liquid Phase Separation of Non-Canonical DNA Structures and Cationic Peptides

Abstract

甲南大学博士(理工学)令和7年度(2025年度)生体分子の液-液相分離(LLPS)によって形成される液滴は、生体分子の細胞内局在のみならず、種々の細胞内反応の時空間的制御機構として注目されている。特に、細胞核内においては、核酸と天然変性タンパク質の液滴が、複製、転写、RNAプロセシングなどの反応場として機能することが知られている。核酸のLLPSを誘起する重要な因子として、DNAの非標準構造であるグアニン四重らせん構造(G4)とi-モチーフ構造(iM)がある。G4やiMを形成する塩基配列は、テロメアや疾患関連遺伝子に局在し、そのLLPSは神経変性疾患やがんとの関連性が示唆されている。しかし、どのようなタンパク質・ペプチドがG4やiMのLLPSを誘起するのか、DNAの塩基配列とLLPS能の相関など、DNA非標準構造が誘起するLLPSの分子機構には未解明な点が多い。そこで本論文では、核酸の塩基配列とペプチドのアミノ酸配列を系統的に設計して、それらのLLPS誘起能を検討した。具体的には、G4のLLPSを誘起するタンパク質・ペプチドの必須配列を解明するために、アルギニンとグリシンに富むFMRP由来のモデルペプチドに系統的に変異を導入したペプチドと、種々の二次構造を形成するDNAのLLPSを検討した。その結果、アルギニンからリシンへの置換によってペプチドのLLPS誘起能が完全に消失することや、5個以上のアルギニンがLLPSの誘起に必要であることが示された。次に、グリシンを他のアミノ酸(アラニン、プロリン、チロシン、バリン)に置換したペプチドのLLPS誘起能を検討した。その結果、グリシンはG4のLLPSの誘起に必須ではなく、ペプチドの主鎖骨格を剛直にするアラニンやプロリンを含むペプチドがより高いLLPS誘起能をもつことが明らかとなった。また、チロシンやバリンに置換したペプチドとの比較から、グリシンはG4のLLPSにおける核酸構造選択性と凝集(液-固相分離)の抑制に重要であることが示された。最後に、iMを形成する種々のDNAとFMRP由来のペプチドの組み合わせによる検討から、pHや分子クラウディングといった細胞内環境要因によってiMの構造安定性が変化し、それがLLPS誘起能と相関することが示された。以上の結果から、DNAとペプチドのLLPSを決定する要因が明らかとなった。ペプチドに関してはそのアミノ酸配列がLLPSに重要であることが示された。対照的に、DNAに関しては塩基配列よりも立体構造がLLPSの誘起を決定していることが示された。G4やiMといったDNAの非標準構造は分子環境に依存して構造安定性を大きく変化させる。また、これらの核酸構造を標的としたリガンドも開発されつつあることから、G4やiMのLLPSを分子環境や低分子化合物によって制御可能であることが本研究成果により示唆された。これらの知見は、遺伝子発現プロセスの新規制御方法の構築につながるだけではなく、核酸のLLPSが発症機構に関与する疾患に対する新たな創薬指針を提示するものであり、大きな波及効果をもつと期待される

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This paper was published in Konan University Repository.

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