<研究ノート>タイ国立公文書館所蔵、十九世紀末から二十世紀前半の日本関係史料リスト : ラーマ五世王・六世王期の外務省史料目録から

Abstract

海外に所蔵される日本関係史料には貴重なものが多くあると想定されるが、具体的な実態は十分に把握されていない。こうした海外所蔵の一次史料を活用することで、国際的視野から新たな日本研究や歴史研究が可能になると考えられる。  本研究ノートでは、タイ国立公文書館所蔵のラーマ五世王期(1868年~1910年)とラーマ六世王期(1910年~1925年)の外務省史料目録から、日本関係史料タイトルを抽出し(外務省史料タイトル全33,465点のうち、日本関係史料タイトル全343点)、タイ語とその日本語訳、年代、分量などを付してリスト化した。その結果、六世王期の史料タイトル数は五世王期に比べて3割ほど増加し、情報収集の体系化や、軍事・経済面での協力関係の進展、王室・皇室に関わる儀礼記録の増加など、日タイ関係の変化の様子が見出せた。また日本の政治や経済、社会、文化など多岐にわたる事柄を反映する史料タイトルの存在が確認できた。  これらは新たな日タイ関係史研究の展開や、海外の史料を用いた国際的な日本研究に向けて有効活用できる。今後の研究では、日タイの史料を突き合わせる「マルチ・アーカイバル・チェック」と公文書史料を多角的に分析する「史料学的アプローチ」を組み合わせ、様々な学問分野の両国研究者による国際的・学際的な共同研究が必要である。  こうした共同研究を通じて両国の研究者は、相互補完的な関係性を構築するとともに、これまでタイ歴史研究の分野で十分に扱われてこなかった一次史料の分析を進めて、19世紀末から20世紀前半の日タイ関係史に関する新たな研究成果を提出し得るだろう。さらにタイの諸分野の研究者も含めた日本の政治や社会、文化に関する史料分析により、東南アジアの視点から捉えた国際日本研究にもつながると想定される。本研究ノートの日本関係史料リストはその出発点となり得ることが期待される。journal articl

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Nichibunken Open Access (International Research Center for Japanese Studies Repository)

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Last time updated on 10/06/2025

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