本稿は、日中全面戦争以降の児童による「皇軍慰問」を目的とした慰問文が、学校教育においてどのように指導されていたのか明らかにすることを課題とした。慰問文の指導については、宛先を定め、送付先について理解を深めて、内容としては「我が生活を語る」ように慰問文を書くことが良いとされた。国民学校期には修身の教科書にも慰問文が取り上げられ、また読み方との連携が図られた。そしてすべての学年で慰問文が計画的に取り組まれるように検討されていた。綴方教育における児童の「生活」への着目は、戦時体制へ再編された日常において、児童が「時局即応の生活教育」を展開することが期待されていた。皇軍将士との一体感を持って日常の生活を送ることが求められ、その表出として慰問文が効果をもった。つまり、時局下の「生活」自体がつくり出され、それを体験し、言語化することで、深く内面化していくシステムであったといえる。departmental bulletin pape
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