Bukkyo University
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Basic Preliminary Study of Peaches Excavated in Ruins from Ancient China
本論では中国における桃関連遺物を継時的に俯瞰し、典型的な出土事例として、戦国時代から南北朝期頃を中心にして、副葬された食品としての桃核のほかに桃枝製の呪具、桃の字句を含む文字資料などあげ、桃やそれに関する思想や信仰および習俗が顕現する考古資料を整理した。中国の神仙思想や道教的習俗の流れを汲むとされることのある弥生時代から古墳時代初め頃の桃核について、文献学的研究からは西王母と桃の関係は弥生時代併行期の中国では生成していないとされることから、弥生時代の桃核を中国の思想や習俗から理解することに対して、疑義を呈し、むしろ、桃核の多数出土が弥生時代の特質であることを示した。桃核中国古代弥生時代古墳時代祭
『琴歌譜』所伝部の記述意識
『琴歌譜』は大正末期の発見から今日まで約一〇〇年の研究の蓄積があるが、歌の所伝というべき散文部については俯瞰的な研究が乏しく、その部分を指す学術用語すら定まっていない状態である。本稿ではその部分を「所伝部」と名づけた。『琴歌譜』は一部の歌にのみ所伝部を附し、その所伝部も一つの歌について単数附される場合と複数附される場合がある。所伝部のこの記述意識が那辺にあるのかを探るのが本稿の目的である。『琴歌譜』は『日本書紀』、『古事記』両方に同一歌があるものには『日本書紀』からのみ歌と適合する所伝を引用して記し、『古事記』にのみ同一歌があるものについては『古事記』を引用した所伝部と、より歌と適合する別の所伝部を記す。『古事記』の歌と所伝の結びつきが当然の所与でないことは近代の歌謡研究者の共通認識であるが、平安時代前期の大歌所は既にこの意識をもって歌と所伝の結びつきを追究していたのである
"Subject" and "Responsibility" in Criminal Justice: A Discourse Analysis of the Serial Murder of Four Female Children
1988 年から 1989 年にかけて埼玉県および東京都で発生した「幼児連続殺人事件」は,「おたくの犯罪」と評されるとともに,ポストモダンを象徴する事件としても論じられてきた。本稿は,本件事件の法廷言説を分析し,刑事責任の帰属先たる法的主体が構築される過程や,それを支える論理について考察するものである。本件の裁判では,動機の認定,刑事責任能力の評価,捜査段階および公判廷における被告人供述の信用性判断は,相互に他の要素を前提としながら,事件の理解を支えている。また,責任能力を肯定した精神鑑定や一審判決において,被告人が「女性に対する関心」を有していたという認定は,かれが「自由意思を有する主体的人間」であることと適合的になっている。そして,刑事責任能力の認定は,その主体が理解可能な存在であるということを含意する。かかる認定にあたって,本件の一審判決がトートロジカルな論理に支えられていることを確認した。刑事裁判動機主体
Food and Gender in the Magazine Jogaku Zasshi:On the Formation of Home-Cooking Norms
本論文は,近代のジェンダー秩序が形成された明治期に,どのように「家庭料理」が語られたのかを分析することで,「家庭料理」規範の形成を問う。主な資料としたのは,「女学」に係わるオピニオン誌であった『女学雑誌』であり,「家庭料理」という概念が構築されていった 1880 年代後半から 1890 年代(明治 20 年代から明治 30 年代初め)の記事を対象として,食とジェンダーに関わる言説を分析した。その結果,『女学雑誌』において,近代家族の理想として「家庭(ホーム)」が提案され,食事中の「和楽団欒」が推奨されたこと,「手本としての欧米」と「伝統の創造」という二つの論理によって,女性(主婦)が「家庭料理」を采配すべきだとされたこと,さらに栄養や衛生等の科学的な「知」をふまえた食物や料理の改良が期待されたことがわかった。女性(主婦)は「家庭料理」を采配する際に,家族の「健康・栄養」「嗜好」の他に,「一家団欒」「料理の水準」「家計」などを考慮すべきだとされる一方で,女性(主婦)の「手作り」でなければならないとする規範はほとんどみられなかった。家庭料理ジェンダー女学雑誌主婦食物改