Naragakuen University Academic Repository
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2669 research outputs found
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Trends in Research Regarding the Educational Significance and Psychological Effects of Nature Experience Activities
要旨
本研究ノートは、「身近な自然体験が子どもの心に及ぼす影響~登美ヶ丘キャンパスの自然を生かして~」と題する共同研究の一環として、自然体験活動の教育的意義や心に及ぼす効果に関して示唆している研究を各専門分野から紹介する内容となっている。自然体験が心に及ぼす効果については、臨床心理学やリハビリテーション科学、脳科学、教育心理学、STEM/STEAM 教育学、そして幼児教育学だけでなく、環境心理学、環境教育学、土壌肥料学等、多方面の領域で研究がなされてきた。自然体験が人間の心に及ぼす効果は示唆されてきたが、その効果を示す科学的エビデンスはまだ蓄積途上にあり不十分である。今後、実証的な科学的エビデンスが明示されない限り、園庭に土のない保育施設が増えていくのではないかと筆者らは考えている。そのため、筆者らは自然体験が心に及ぼす効果を示す実証的な科学的なエビデンスを探求する研究の必要性を論じた。
また幼稚園等での自然体験活動にかかわる取り組みも紹介し、まだ本や論文にはなっていない多くの実践報告の中に存在するであろう自然体験の心に及ぼす効果を示唆するエピソードも重要であると述べている。今後は、さらに日本の幼児教育における保育者の工夫を紹介し、STEM/STEAM 教育等との保育実践や教育モデルとの融合を図り、現在の世界の中での日本の園における保育実践モデルを改めて構築していきたい。departmental bulletin pape
A Study on Heating Equipment Used in Elementary School Science Classes - From the Change in How it is Handled in Textbooks -
要旨
本研究の目的は,今後の加熱器具を使用した実験での指導のあり方や留意点について考察することである。そのために,過去の小学校理科の教科書内で扱われた加熱器具を調べるとともに,『小学校学習指導要領解説理科編』内にある加熱器具の取り扱いに関する記述を抽出した。調査および分析の結果,近年になるほど実験用ガスコンロがアルコールランプに変わって普及していることが明らかとなった。特に「手軽で安全性が高い」,「自動点火装置をもち,着火が簡単」という2つの理由が,実験用ガスコンロの普及に大きな影響を与えているのではないかと考えた。これから求められる指導のあり方としては,実験用ガスコンロ使用時に起こりうる火傷の防止やガス漏れの際の初期対応について,小学校教員の理解を深めるとともに,子どもへ丁寧に指導することが求められる。departmental bulletin pape
The Relevance of Volunteers Watching Over Children Going to and from School -Verification of its Sustainability , Effectiveness and Future Potential-
要旨
我が国は人口のおよそ 30%が 65 歳以上の高齢者で構成される「超高齢化社会」に突入している。また、およそ 70%の子育て世帯が共働きであるという実態に加えて、学校の働き方改革によって登下校に関する業務は「基本的には学校以外が担う」ことが推奨され、高齢者が子供の登下校の安全を担う構図となっている実態がある。しかし昨今、担い手不足等による高齢者の見守り活動ボランティアの継続が危惧されている。そこで本稿では、高齢者を主体とした我が国における見守り活動ボランティアの「持続性」と「有効性」のレリバンスを検討することを目的とした。本稿ではその「有効性」の一部は認められたものの、重大事態に対応することができるかという実証はなく、持続性においても見守り活動が活性化した2000年前後とは社会的な状況が異なることから、「持続性」における限界と、高齢者が担い続けることへの疑問が生じ、今後の研究の必要性を示唆する結果となった。departmental bulletin pape
Have the Structures in the German Economy changed? ―An analysis of Annual Reports of GCEE―
journal articl
Jurisdiction of Physical Treatment Before the Introduction of “Physical Therapist” -Analysis of Political Structure Using an Issue-Area Approach-
要旨
本研究の目的は、日本における理学療法士の資格制度創設過程における管轄権の争いと、その背景にある政治的構造を「イシュー・エリア・アプローチ」に基づき分析することである。明治期以降、マッサージ師や療術業者が理学的療法の管轄権を有していたが、リハビリテーションの理念が導入され、理学療法士および作業療法士法が制定される際に、これらの業者との間で専門領域を巡る激しい対立が生じた。とりわけ、視覚障害者が従事していた按摩業や鍼灸業は、戦前の東洋医学に基づく社会的地位を持っていたが、西洋医学の導入や戦後の占領政策によって再び抑圧され、これに対し関連団体は政治運動を展開し、按摩・鍼灸業の存続を求める政治的闘争を繰り広げた。
その後、欧米からPhysical Therapistの情報が伝来すると、視覚障害者と晴眼者間や、民間療法団体と病院マッサージ師などの間で、理学的療法の管轄権や営業権を巡る対立が続いた。本研究では、これらの葛藤をイシュー・エリア・アプローチに基づいて分析し、どのような政治的構造が理学療法士資格制度の成立以前に形成されていたかを解明した。
結論として、視覚障害者が生業としていた按摩業とマッサージ業の格付け争い、障害者の保護政策を巡る葛藤が、理学的療法士の制度化に大きな影響を与えたことが明らかとなった。また、これにより、資格制度の成立過程におけるステークホルダーの役割や政治的力学が、理学療法士という職業の社会的地位と専門性の確立に重要な影響を及ぼしたことが確認された。departmental bulletin pape
Examination of self-help device production program in occupational therapy education curriculum
要旨
作業療法において自助具による支援は、対象者の生活行為支援のための重要な技法のひとつである。養成教育において知識の教授だけではなく、対象者に役立つ自助具の具体的な製作技術を習得する必要がある。しかし、限られたカリキュラムの時間の中でどのようなプログラムで実施するかは示されておらず、養成校の共通した課題となっていると考えられる。そこで今回、自助具製作の技術を学ぶ実技プログラムを作成し実施した。本研究の目的は、試行した自助具の授業プログラムの効果を検討し、効果的なプログラムを探索的に検討することとした。対象は作業療法専攻において後に述べる自助具製作実習を経験した学生(3年次、44名)とした。各々の実習終了後、授業内容についてアンケート調査を行った。また、学生の実習記録に関しても分析対象とした。プログラムは、①組み立て工程の難易度が低いものから高いものへ段階づけられていること。②工作に必要な材料や加工技術(必要とされる工作器具)が同様に段階づけられていること。③時間内に無理なく製作できるように課題が選択されていること。以上の 3つの要素を満たし、作業療法現場で製作されることが多い代表的な自助具とし、①万能カフ、②ばね箸、③マウス型筆記具、④台付きツメ切り、⑤台付きハサミの5種類の課題の実習を計画した。授業後のアンケート結果から学生の満足度も高く、実習プログラムは概ね妥当なものと考えられた。また、平均製作時間からはほぼ予定時間内に終了できることがわかった。しかし実習記録からは、課題③のアクリル材料の加工と製作に関して難易度が高いことが窺えた。今後の課題としては課題③の製作課題の内容を変更することで難易度を調整することが必要と考えられた。また、使用する電動工具の操作や必要とされる加工材料に抵抗感なく習熟できるよう、電動工具等の操作に関する時間を設けることが検討事項として挙げられた。departmental bulletin pape
On the Using Audiovisual Educational Material in Learning Japanese Classic Literature -Independent Learning and Accumulation of Learning-
要旨
学習指導要領で掲げられた「主体的・対話的で深い学び」の実現のため、学校現場でアクティブ・ラーニングが推奨され、授業中に学生にプリントを使用した作業をさせることが増えている。
しかし、このような教材プリントを使用した後、そのプリントの管理はどうなっているか。実際には教材プリントが散逸していたり、単にフォルダに入れただけで順番も整っていないような状態が見受けられ、学習内容を系統的にふり返る自学自習につながっているか疑問であった。
そこで筆者は、国立工業高等専門学校の古典の授業において、プロジェクターを使用した授業と古典のノート作成を指導した。また、「日本語表現論」「国語表現法」の授業では、学生が主体的に取り組める授業の実践とともに、その授業の記録を残せるプリント教材のファイルリング指導を行った。本稿ではその実践方法について紹介し、大学教育にも応用できる主体的学びについて考察する。departmental bulletin pape
Initiatives Utilizing Interaction with Local Residents as a Means to Enhance Learning Motivation for First-Year University Students
要旨
看護学科において2年次での学生の学習への意欲が低下している現状から、その対応策として、1年次終了時点で2年次に向けての目標を考える機会として、地域住民向けの「健康フェスティバル」を令和4年度に開催した。学生たちにとっては、地域住民との交流から楽しさや喜びを感じ、学生同士ではない実践からの学びを得たり、自己の成長を実感する機会となり、主体的な学びを誘発する一助となっていることが示唆された。また、教員にとっても学生を理解する機会となっていたことが示され、この取り組みが一定の効果をもたらしていることが確認された。departmental bulletin pape
Psychological changes of the nursing students that are brought about by the mixed trainings of on-site and at-campus -About experiences of the students in groups -
要旨
本研究の目的は、新型コロナウイルス感染症(以下 COVID-19)流行下における 3 年次後期の臨地実習と学内実習の混合の実習形態が、継続する学内実習(学内演習)におけるグループでの学生の心理的体験への影響、及び、そのプロセスを明らかにすることである。方法は、A 大学在学中の 4 年次看護学生(以下学生)のうち、3 年次後期に履修した領域実習が COVID-19 流行下の影響を受け臨地と学内の混合実習となった学生 18 名に半構造インタビューを実施し、M-GTA を用いて分析した。結果、プロセスは 23 個の概念と 9 個のカテゴリーで構成された。3 年次学生の心理面に 2 年次から続くコロナ渦での体験<COVID-19 流行下による学習体験の影響>を受けての体験が基盤にあり、3 年次後期の臨地実習と学内実習が混在する中での学内実習ではグループワークがほとんどを占めていた。<グループワークの参加の仕方>としてメンバーの特性をアセスメントし、<カンファレンスの空気感>等グループワークの寄り方を模索し<グループに参加する努力>を行っていた。一方、メンバーの発言力や能力の差を目の当たりにし、焦りや劣等感、羨望を抱くことや、また、課題に向ける熱量の差からやりづらさを感じ葛藤する中で、グループ形成のための対応に尽力していた。これらグループ・ダイナミックスの渦中にある個人の自己内界では<グループ活動を通しての自己成長のプロセス>を踏んでいた。これらの過程の中で生じる内なる葛藤を収め、成長に向かうためのコアカテゴリーを【協働する中での自己調整】とした。
以上のことから本研究では、グループワークを通して湧く感情に対してメンバーから様々な形の支援を受け、自己調整し認識を変化させていたこと、また、グループの凝集性の高まりに比例し、メンバーの活力も高まり能力を向上させ自己成長を遂げていたことが明らかとなった。departmental bulletin pape