Kochi University of Technology Academic Resource Repository

高知工科大学博士（学術）doctoral thesi

Nikita Madhukar

- 1 -氏 名（本籍） Madhukar Nikita（インド） 学位の種類  博士（学術） 学位記番号  甲第 435号 学位授与年月日 令和７年３月 18日 学位授与の要件 学位規則第４条第２項 研究科・専攻名 工学研究科・基盤工学専攻 学位論文題目  Study on Sensitized Luminescence from Lanthanide(III) Ion Hybridized with Nanospherical Systems  （微小球に複合化されたランタニド(III)イオンの増感発光に関する研究） 論文審査 （主査）高知工科大学 教授   伊藤 亮孝 高知工科大学  教授  小廣 和哉 高知工科大学  教授     西脇 永敏 高知工科大学 教授 林 正太郎 高知工科大学 教授 川原村 敏幸 審 査 結 果 の 要 旨 １.論文の評価申請者の論文では、直径 300 nm以下の球状の有機／無機媒体に対してランタニド(III)イオンを導入した系における増感発光ならびにその挙動の詳細について記述されている。当該論文における主な成果は以下の通りである。 （１）微小球状イオン交換媒体に担持するという極めて簡便な手法によってテルビウム(III)イオンからの発光が増感されることを見出した。（２）微小球状イオン交換媒体に配位部位を導入することによって配位部位に光エネルギーが捕集され、前章のシステムでは観測できなかったユウロピウム(III)イオンからの増感発光を観測することに成功した。 （３）球状無機化合物を介してテルビウム(III)イオンと増感色素を複合化することに成功し、その増感発光の変化を通してクロム酸や過マンガン酸イオンを検出できることを実証した。ランタニド(III)イオンは 4f軌道に由来する色純度の高い発光を示すことが知られているが、その励起／発光確率はいずれも低く、極めて弱い発光しか示さない。申請者が開発したシステムは、従来の合成化学的なランタニド(III)発光体の開発と一線を画す特徴的なものである。   公開論文審査会においては、提出された学位論文および以上の成果をまとめた発表をもとに、試料の合成・調製や物性データの解釈などについて質疑がなされ、申請者の学位論文が高い学術的新規性・独自性を有し、合格に値すると判断された。 ２.審査の経過と結果（１）令和７年１月 15 日 ５名の審査委員のもと協議され、博士後期課程委員会で学位論文の受理を決定した。 （２）令和７年２月 12 日 公開論文審査発表会及び最終試験を実施した。 （３）令和７年３月３日 博士後期課程委員会で学位授与を可とし、教育研究審議会で承認された。 

English

Study on Sensitized Luminescence from Lanthanide(III) Ion Hybridized with Nanospherical Systems

高知工科大学博士（工学）doctoral thesi

大石, 脩人

イオン照射に伴う格子欠陥生成とスパッタリングに 起因する半導体材料の表面構造形成

谷本, 佑

Japanese

デジタル技術を用いたカンキツ類の出荷量予測に関する生理生態情報の測定技術

Li Chuanfa

Agents for DouDizhu Game Enhanced with Optimized Training Methods

岩田, 雄太郎

ハイブリッド非構造格子を用いた直接流束再構築法による高次精度流体解析

稲山, 舜也

反復的付加反応プロセスによる ポリウレタンデンドロンとデンドリマーの合成

Ren Mengyi

Development of Noncontact Mechanical Testing Devices using Magnetic Levitation Mechanism

浜村　昌則

138英国 UCL での研修を終えて浜村　昌則（受領日：2024 年 5 月 31 日）高知工科大学情報学群〒 782-8502　高知県香美市土佐山田町宮ノ口 185 E-mail: hamamura.masanori@kochi-tech.ac.jp要約：本学の海外研修支援制度を利用して、英国ロンドンにある University College London（UCL）に滞在してきた。支援制度への申請書の提出は 2020 年であったが、猛威をふるった新型コロナウイルス感染症の影響により延期となっていた。当然、何か良い研究につなげたいという思いを持ちながら共同研究を進めていたところ、予想を遥かに超えるアイデアに出会うことができた。未発表につきこの研究の狙いまでを述べる。1. はじめに Darwazeh 教 授 の い る 英 国 University College London（UCL）で海外研修をさせていただくことができた。Darwazeh 教授は、70 にも及ぶ情報通信に関係する研究室を含む UCL 内の大きなグループのリーダーである。Darwazeh 教授ご自身は通信・コネクテッドシステム研究所長である。Darwazeh教授と私の関係は、情報通信の周波数利用効率を向上させるほぼ同じ方法を、2003 年のほぼ同じ時期に、独立に発表したことに始まる。内容が新しいものの場合には、論文のタイトルやキーワードなどからお互いの存在をすぐには見つけられないというようなことはよくあることである。これはまさにそれで、当初はお互いのことを知ることはなかったが、数年後に Darwazeh 教授の方が先に私の研究を見つけてくれて、論文を紹介するなどしてくれていた。2011 年にトロント（カナダ）で開催された IEEE International Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications（PIMRC）という大きな国際会議で、また偶然に、同じセッションで発表する機会に恵まれて初めてお会いすることができた。セッションチェアでもないのに、参加者に大きな声で私のことや、我々の研究のことを紹介してくれたのを思い出す。実はこの PIMRC という国際会議はポスドク時代にお世話になった King’s College London（KCL）の Aghvami 教授の創設によるものである。偶然は続くものである。2. 共同研究の開始2.1 技術の共有共同研究のスタートは、UCL の Darwazeh 教授と Newcastle 大学の Xu 博士、私の 3 名で、お互いが持つ最近の技術を出し合い共有することから始めた。Darwazeh 教授は、Spectrally efficient frequency division multiplexing（SEFDM）と呼ばれる多重化方式の研究をワイヤレス通信、光通信での実用化、標準化に向けて積極的に推進している。Xu博士は、干渉のある受信信号から干渉を除去する復号方式で多くの研究成果を挙げている新進気鋭の若手研究者である。そこに利用できそうな私の技術は、SEFDM に適用可能なプリコーディング方式で、自由に信号のスペクトルを制御できる。これらの共有で、セルラネットワークや WiFi での収容回線数の大幅な増大が見込めると判断してそこから共同研究を始めることになった。また、Xu 博士と Darwazeh教授が最近発表した、非直交スペクトルを持ち、かつ、ナイキスト波形とならない、機械学習に基づく新しいスペクトルシェイピングが大変興味深く、それを学ぶことを進めていた。sin x/x 型のスペクトル139が少し修正された形状のスペクトルを持つ新しい信号が構成されるものであった。それ以外にも、ゆったりとした時間のもと、興味のある文献に目を通す余裕と時間を持てたのが幸せだったし、それが見事に次に繋がった。2.2 全く新しい通信技術の誕生前節で述べた方向で共同研究を進めていたが、あるところでピタッと止まって方向転換することになった。全く新しい通信技術が誕生したのである。現在のスマートフォンやオペレータの基地局、WiFi、地上波放送、衛星通信などほぼ全ての送信機に適用可能な技術である。現在のほとんどの高速ワイヤレス通信ではデータの送信に直交周波数分割多重（orthogonal frequency-division multiplexing: OFDM）という技術が使われている。この技術は直交振幅変調（quadrature amplitude-modulation: QAM）が施されたサブキャリヤ Nc 個の並列伝送を実現する。l 番目の QAM 信号（ l = 1, 2, ..., Nc）は、メッセージデータ bl(1) 及びbl(2) に よ り 変 調 さ れ た 及 び の和である。ここで、fc は 1 番目の QAM 信号のサブキャリヤ周波数、T0 は QAM 信号及び OFDM 信号の信号長である。したがって、OFDM 信号 s (t) は次のようになる。 　今、bl = bl(1) + jbl(2)、j = √- l 、と置くと次式が得られる。　　ここで、x(t) = ℜ[z (t)]、y(t) = ℑ[z (t)]、ℜ[・] と ℑ[・]はそれぞれ複素数の実部と虚部を表す。OFDM 信号 s (t) を上式の形で表現できることが分かれば、OFDM の送信機は、x(t) と y(t) を入力として s (t) を出力するシステムと捉えることができる（図 1）。Nc が大きいと、x(t) と y(t) の振幅変動が大きくなることが知られており、それによって送信信号 s (t) の包絡線 の変動が大きくなる。このことは、信号のピーク対平均電力比（peak-to-average power ratio: PAPR）が大きいと言われ、PAPR の大きな信号の送信にはたくさんの無駄な電力消費が発生することが知られている。未発表のため、ここでこれより先の詳細は述べられないが、このような PAPR の大きな信号を送信する際の無駄な電力消費を大幅に抑える新しい方法が見つかったのである。このたびの海外研修で得られた大きな成果である。しばらくはこの技術について Darwazeh 教授と共同で研究を進めることになるであろう。本学の学生にも研究を通して多くの楽しみを与えられるはずである。Darwazeh 教授のところにはたくさんの装置類が揃っているため、今後はそれらを利用させてもらうことになると思うし、UCL サイドから出てくる成果も楽しみでならない。3. 研修先について UCL は 1826 年にロンドンで最初に創設された大学である。11 ある学部のひとつが工学部で、工学部だけで 600 人以上のスタッフがいる。お世話になったのは、地下鉄 Euston Square 駅のすぐそばにメインエントランスのある Bloomsbury キャンパスである。入ってすぐに立派なメインライブラリがあり（図 2）、そのすぐ右奥に、現代の日本を作ったと言われることのある長州ファイブの記念碑があると聞いていたので行ってみたところ、確かにあった。まだ鎖国中の江戸時代末期に密航という手段図 1:  新型送信アーキテクチャの誕生（未発表のため、イメージ図）140で、日本人初の留学で学んだのが UCL、それから150 周年の年につくられたとのことである。記念碑には長州ファイブと、その二年後に薩摩藩から続いた留学生らの 19 人の名が刻まれている。～はるばると　こころつどいて　はなさかる～と刻まれていた。この付近は日本ガーデンと呼ばれることがあるようで、ソメイヨシノも植えられていた（図 3）。UCL は創設当初から人種や信仰の違いを超えて入学を認めてきた歴史的背景がある。近くにいた人々の母国はエジプト、スーダン、インドネシア、サウジアラビア、タイ、ポルトガル、イタリア、中国、レバノン、ブラジル、…、ひとりの日本人、…現在でも学生も教員も誠に国際的であった。フレミングは UCL の中の工学部の中の電気系学科の初代教授のようである（図 4）。Darwazeh 教授のところでお世話になって本当に良かった。たくさんの成果を挙げておられて頭脳も素晴らしいが人柄も素晴らしく、いくつになっても、また、いくら忙しくても、学生や研究員たちとの研究の打ち合わせを最優先にする姿勢に、大学の教員、こうあるべきだと感動した。4. おわりに新型コロナウイルス感染症の影響により延期となっていた海外研修に行ってきた。予定通りであれば一緒に研究できる博士課程の学生がいたのだが、延期の間に卒業し、残念であった。面倒なことに年度が変わり、海外研修を中止させられそうにもなったが、どうにか行ってこられた。関係各位の支援に感謝する。新型の送信アーキテクチャにたどり着いたのが大きな成果である。図 2: メインライブラリ図 3:  日本ガーデン、記念碑（写真中央手前の黒い石碑）とソメイヨシノ図 5:  Darwazeh 教授のお宅に招かれてホームパーティ（右から筆者と Darwazeh 教授）（a）フレミング教授（b）フレミング管図 4:  UCL 初代電気系教授のフレミングとフレミング菅141Brief Report on Research Residency at University College London (UK)Masanori Hamamura(Received: May 31st, 2024) School of Informatics, Kochi University of Technology185 Miyanokuchi, Tosayamada, Kami City, Kochi 782-8502, JAPANE-mail: hamamura.masanori@kochi-tech.ac.jp Abstract: This is a brief report on my stay at University College London (UCL) in the UK using the Overseas Research Support Program of Kochi University of Technology. The application for the support program was submitted in 2020, but was postponed due to the effects of the raging coronavirus pandemic. While carrying out collaborative research, we came across an idea that far exceeded our expectations. Although the results are yet to be published, I have only briefly explained the aim of this research in this report. 

Kochi University of Technology

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Study on Sensitized Luminescence from Lanthanide(III) Ion Hybridized with Nanospherical Systems

イオン照射に伴う格子欠陥生成とスパッタリングに起因する半導体材料の表面構造形成

デジタル技術を用いたカンキツ類の出荷量予測に関する生理生態情報の測定技術

Agents for DouDizhu Game Enhanced with Optimized Training Methods

ハイブリッド非構造格子を用いた直接流束再構築法による高次精度流体解析

反復的付加反応プロセスによるポリウレタンデンドロンとデンドリマーの合成

Development of Noncontact Mechanical Testing Devices using Magnetic Levitation Mechanism

英国UCLでの研修を終えて

記憶の時間的文脈をコードする脳領域の探索

非埋込み型 CES 柱脚の構造性能評価法に関する研究

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