Aichi TOHO University Academic Repository / 愛知東邦大学　機関リポジトリ

張 東亜

Japanese

A Study on the Flexibility of the Japanese Language

小島 正憲

Emotional Changes influenced by Music on Sports Performance  ─ A study of college student ─

柿原, 聖治

カキハラ, セイジ

東邦学誌第52巻第 1号2023年 7 月論　文65三つ輪の作図から始める図形の指導Teaching Method of Compass Construction, Starting  from Drawing Three Venn Circles柿原 聖治Kakihara Seiji愛知東邦大学教育学部要　旨　三つ輪を描かせ、それをひな型として、直線や円を追加させたりすることで目的の図形に近づけていく方法を採った。作図の原理は同じでも、対称図形になっているので、見通しが立てやすく、目的の図形に到達しやすくなった。　パズルのように、見つけ出したり作り出したりする楽しさを味わえる学習過程にした。1 ．はじめに　本研究の目的は、小・中学校の算数・数学において図形の指導ができる学生を育てることである。　小学校学習指導要領では、作図をする理由について「定規、コンパスなどを用いて、…略…、模様をかくなどの具体的な活動を通して，図形のもつ美しさに関心をもたせる」1 ）とある。中学校学習指導要領解説では、作図の教え方について「作図の方法を一方的に与えるのではなく，図形の対称性や図形を決定する要素に着目して作図の方法を見いだし｣ 2 ）とある。このことを指導するには、指導者自身が図形のもつ美しさに触れ、様々な作図方法を考える面白さを知っておくことが不可欠である。しかし、学生の実態としては、教科書通りの模範的な作図をしなければならないと思っており、手順に従うことを面倒に感じている者が多い。　そこで、パズルのように目的のものを見つけ出したり、手を加えて新しいものを作り出したりする楽しさを味わうことのできる学習過程を考えた。三つ輪をまず作図させてから、図形の中から目的の図形を見出させたり、直線や円を追加させたりすることで、目的の図形を作図させることにした。　三つ輪そのものを作図したりする研究はあるが、それをベースに種々の図形を自由に作図させて活動させる研究はなく、本研究の新規なところである。　本研究は主に教職課程の大学生を対象にして実践した。大学生くらいになるとどうしても固定観念にとらわれ、小学校レベルの視点や発想がしづらくなってしまう。小学校レベルの解法も考えることは、多様な視点で物事を考える訓練にもなると考え、教職課程以外の学生も受講する本学の講義「数理の世界」で実践した。662 ．三つ輪　三つ輪とは、図 1 のように、半径の等しい 3 つの円がそれぞれの円の中心を通っているものである。コンパスによる作図は小学校 3 年からあり、三つ輪はその教科書に載っている。「光の三原色」の図でもおなじみの図である。ボロミアン環の類である。　ちなみに、図 1 の中央には丸味を帯びた三角形ができる。これはルーローの三角形で、定幅曲線の一つである 3 ）。3 ．正三角形　正三角形の作図は小学校 3 年にある。「半径が等しい長さの 2 つの円を使って、円の中心を通る三角形をかきました｡｣ 4 ）として、図 2 のように、二つの輪（円）だけでできる正三角形を示している。　ちなみに、この交わった二つの輪はヴェシカ・パイシス（Vesica Piscis：魚の浮き袋）として知られる。外見的にはベン図の類である。　三つ輪を使う利点は、正三角形が様々に作図できることである（図 3 ）。大きな正三角形も作図できる。図 3 　正三角形の作図法（ 1 ）　小学校 3 年の教科書に図 4 が載っていて、「もようの中から、大きい三角形を 1 つ、小さい三角形を 4 つみつけましょう。また、それらが正三角形になるわけをかきましょう。」5 ）という問題がある。図 4 では直線が引いてあるので、大学生には簡単すぎ、考える余地が少ない。そこで、筆者はどこに直線を引けばよいかを学生に考えさせた。交点を通る直線をいろいろ延長すれば、多くの正三角形が見つかり、もっと大きな正三角形も描けることを見出させた（図 5 ）。図 1 　三つ輪とルーローの三角形図 2 　 2 つの輪の中の正三角形図 4 　教科書の問題67図 5 　正三角形の作図法（ 2 ）4 ．二等辺三角形　頂角30ﾟの二等辺三角形の面積を求める問題（図 6 左）は頻出で、筆者はこの問題を講義「数理の世界」の 1 回目に扱う。　高校数学の公式S＝ 1 / 2  bc sinAを使えば即座に64cm2と分かる。しかし、この問題はこの公式を知らなくても簡単な問題設定なので、小・中・高校レベルでそれぞれ異なった解法を見出せる問題である。時間をかけて取り組ませている。4.1　高校レベルの解法　高校レベルの知識を用いると、図 6 右の底辺から考える方法でも解ける。75ﾟの直角三角形を描く（図 7 ）。二重根号を外して斜辺の長さを求め、sin75ﾟとcos75ﾟを出す。あるいは、75ﾟは45ﾟ＋30ﾟなので、加法定理を使ってsin75ﾟとcos75ﾟを出す。その後も面倒な計算にはなるが、何とか正解にたどり着く。　大半の学生が、図 6 右の底辺と高さから面積を求めようとして行き詰まる。そこで、三角関数を用いれば、行き詰まることはないことを示した。この解法は推奨しないが、これも 1 つの解法であることを教えた。4.2　中学校レベルの解法　中学校レベルの知識では、図 6 のように起立した三角形で底辺・高さを考えると、解法は見つからない。底辺を変える必要がある。図形の回転はコンピュータでは瞬時にできるが、試験中にはできない。頭の中で回転させ、イメージさせればよいが、学生には実感が湧かない。そこで、問題用紙を回転させて考えさせている（図 8 ）。図 8 　二等辺三角形を倒して底辺を変える＝＝16 cm30ﾟ 高さ底辺12√3半分30ﾟ　一般に、解法が見つからない場合は、視点を変えて考えられるように、問題用紙を回転させるようにいつも指導し図 6 　二等辺三角形の面積を求める問題図 7 　75ﾟの直角三角形の辺の比＝＝16 cm30ﾟ＝＝16 cm30ﾟ75ﾟ 75ﾟ底辺高さ30°15°75°15° 60°１２２ √3√6 √２＋になる68ている。何もしないよりも解決の糸口を見つけられることが多い。4.3　小学校レベルの解法　学生は中学校レベルの知識で解きがちである。しかし、小学校教員を目指す学生は解ければよいというわけではなく、小学校レベルでの解法を学ぶ必要がある。一般の学生にとっては、素朴な考えでも解けることが分かり、頭の訓練になる。　図 8 の方法を一度理解させても、 3 か月ほど後に再度出題すると、正解者が少し増えるだけで、大半が解けない。この状況が毎年続いていた。そこで、図 9 のように、角の二等分線を引いて30ﾟを作る方法で、二等辺三角形を作図させることにした。作図することから、面積を求めるヒントにしたいと考えた。　この問題は青森県の教員採用試験（小学校､ 2016年度）でも出題されている。問題文は、「この二等辺三角形の面積を求める問題を、小学校 5 学年の発展的に考える問題として提示した。この面積の求め方を小学校 5 学年までの学習内容で説明できるよう図と式を書き、二等辺三角形ABCの面積を求めなさい。」である。　この場合は、相似比 1 ： 2 ：  3 を直接には使えない。面積の数値を出すだけでなく、説明用の図と解法を答える問題である。　二等辺三角形を作図させると、数人の学生が自発的に正三角形を描き加えていた（図10）。二等辺三角形が傾いているので、正三角形を加えやすくなっている。正三角形の辺の中点より、二等辺三角形の高さが判明する。以前は、三つ輪を使わず二等辺三角形に正三角形を描き加えさせていたが、三つ輪を使うと、学生が自発的に正三角形を描き加え、解法を見つけていた。5 ．正六角形　正多角形は小学校 5 年の学習内容で、特に正六角形の作図法が教科書に載っている。図11左 6 ）のように、必要な弧を描く方法を採っているが、弧ではなく円を描くと、図11中央になる。三つ輪に 4 つの円を追加したものと見ることができる。一回り大きい正六角形もできる（図11右）｡図11　正六角形の作図法（ 1 ）図 9   二等辺三角形の作図法図10　正三角形を追加する30 30ﾟ 30ﾟ９０度  回転させる69　円の半径をｒとすると、外側の正六角形の 1 辺はいくらになるかを考えさせた。図12左より  3 ｒであることが分かる。同様に、図 3 と図 5 の正三角形の 1 辺の長さをそれぞれ考えさせた。容易に 2ｒ､ 3 ｒ､ 4 ｒと分かるが、図 3 右の正三角形だけはすぐには分からない。図12右のように分解して（  3 ＋ 1 ）ｒと算出する必要がある。　三つ輪だけでも正六角形ができる。どこに直線を引けばよいかを学生に考えさせ、図13のように見つけさせた。図13　正六角形の作図法（ 2 ）　ちなみに、正五角形も三つ輪からスタートして作図できる 7 ）。ただし、コンパスの幅を 2 度変える必要がある。6 ．正方形　コンパスの幅を 1 回でも変えると、正方形は容易に作図できる。しかし、コンパスの幅を変えない方が、簡単で正確に描ける。ここでもコンパスの幅を変えないで作図する。これは「錆びついたコンパス （rusty compass）」と言われる。　方法 1：正方形の 2 本の対角線は直交する性質を使う。どこに直線を引けばよいかを学生に考えさせ、正方形を見出させた（図14）。図14　正方形の作図法（ 1 ）　方法 2：円を 1 つ追加しても正方形ができる（図15）。その正方形は方法 1 と同じ大きさで、半径がｒの場合、正方形の一辺は  2 ｒとなる。しかも、どれも傾いた正方形になる。図12　正六角形、正三角形の一辺の長さｒｒ3ｒ√ｒｒ ｒ/2ｒｒ/2√ 370図15　正方形の作図法（ 2 ）　方法 3：直角を探し、辺が等しくなるように弧を 2 つ追加する。円の半径と正方形の一辺が等しくなる。　　三つ輪から始めると、見通しが立てやすい。三つ輪を使わないと、これより複雑に見える。図16　正方形の作図法（ 3 ）7 ．垂線、平行線　垂線や平行線の作図も、コンパスの幅を変えると容易にできる。しかし、コンパスの幅を変えない場合、工夫を要する。これも三つ輪を描いてから考えることができる。　直線ℓ上の点Pを通る垂線を引く場合、点Pにコンパスの針を置き、三つ輪を描いてから、弧を追加すれば垂線が引ける（図17）。　直線ℓ上にない点Pを通り、ℓに垂直な直線を引く場合も、同様にすればよいが、変形した三つ輪になる（図18左）。さらに点Pを通り、ℓに平行な直線を引く場合は、弧を 1 つ又は 2 つ追加すれば引ける（図18右 3 つ）。図18　垂線、平行線の引き方Ｐ Ｐ Ｐ Ｐℓ ℓ ℓ ℓ図17　垂線の引き方Ｐ ℓ718 ．おわりに　三つ輪を描かせ、それをひな型として目的の図形に近づけていく方法を採った。弧を描けば三つ輪まで描く必要はないが、三つ輪をひな型として使うと、作図の原理は同じでも、対称図形になっているので、見通しが立てやすく、目的の図形に到達しやすくなった。　作図の問題ではなくても、問題文にある図形を作図させてから考えさせると、学生自らが解決の糸口を見出し、正解に到達する者がいて、三つ輪による作図は有効であることが分かった。　本論は将来の指導者を育てることを目的としたが、このような指導法は、中学校学習指導要領解説にある「平面図形の対称性に着目することで見通しをもって作図し，作図方法を具体的な場面で活用する｣ 2 ）の趣旨とも一致するものである。今回の方法は、三つ輪による作図を用いた小・中学生向けの指導方法の開発に生かすこともできると考える。【引用文献】1 ）文部科学省、『小学校学習指導要領（平成29年告示）』、東洋館出版社、p.75、2018．2 ）文部科学省、『中学校学習指導要領解説 数学編 平成29年告示』、日本文教出版大阪、p.75、2018．3 ）清水静海ほか、『わくわく 算数 4 上』、啓林館、p.98、2022．4 ）清水静海ほか、『わくわく 算数 3 下』、啓林館、 p.62、2022．5 ）清水静海ほか、『わくわく 算数 3 下』、啓林館、p.112、2022．6 ）清水静海ほか、『わくわく 算数 5 』、啓林館、p.193、2022．【参考文献】7 ）柿原聖治、「黄金比と正多角形の作図法」、『東邦学誌』、第50巻 第 2 号、p.47、2021．

Teaching Method of Compass Construction, Starting from Drawing Three Venn Circles

白井, 克尚

シライ, カツヒサ

鈴木, 順子

スズキ, ジュンコ

堀 建治

堀, 篤実

ホリ, アツミ

Practice of training nursery teachers and teachers with a view to connecting and collaborating with kindergartens and elementary schools : Through project-based learning aimed at forest environment education in the general seminar of the Faculty of Education

小島, 正憲

コジマ, マサノリ

東邦学誌第52巻第 1号2023年 7 月論　文1ラジオ体操第二の運動効果における継続的調査 ─大学生を対象として─Ongoing research on the Exercise Effectiveness of the Radio Exercise No. 2 ─for college students─小島 正憲Masanori Kojima愛知東邦大学人間健康学部要　旨　本研究は、大学生を対象としたラジオ体操第二体操直後の「心拍数からみた運動強度レベル」及び「主観的運動効果」について、継続的に調査することを目的とした。調査方法は、心拍数からみた運動強度レベルを測るために安静時の心拍数及びラジオ体操第二直後の心拍数を計測し、その計測値を基に運動強度レベルを見出した。加えて、主観的運動効果（選択理由を含む）のアンケート調査も行った。その結果、先行研究と同じくラジオ体操第二は心拍数を上昇させ「楽に感じる程度」の運動強度を持つことから、全身運動として有効であると示唆された。また、主観的運動効果のアンケートからは「運動効果あり」との肯定的な回答が多く認められ、その選択理由についても「正しい姿勢で体操を行うことで体つくりとしての効果がある」との記述が最も多くみられた。Ⅰ．緒言　昨今、コロナ禍によって身体活動量の低下が問題になっている。特段、学校体育における体育実技系の授業形態の変化は、生徒や学生の身体活動量に負の影響を与えていると考えられる。この状況を改善するためには身体活動量を増やすことが重要であり、改善方法として「ラジオ体操」が挙げられる。そのラジオ体操については、子どもや高齢者でも実施可能な内容で作られていることや女性の体に配慮した美しい動きで構成されているため、さほど運動強度が高くならないように設定され、およそ 3 分間で終われることから継続しやすく長年に渡って重宝されている体操である。　さて、ラジオ体操の良い点は冒頭で述べた通りであるが、その研究動向をみると主要対象者が熟年層（54歳～64歳）や高年齢層（65歳以上）であることが多く、特に若年層（15～34歳以下）に関する研究報告は少なく、深くまで言及されていない現状がある。そのため、若年層を対象とした「ラジオ体操の運動効果」を明らかにし、体操の実施効果を再確認して推進することは重要な意味を持つと考えられる。前回の研究（小島、2020）では、大学生におけるラジオ体操第一及び第二における各体操直後の「心拍数からみた運動強度」及び「主観的運動効果」について調査することで、若年層のラジオ体操の実施効果について検証することができた。その結果は、ラジオ体操は心拍数を上昇させ「きつくない程度」の運動強度があり、全身運動としてもある程度の有効性があると考えられた。しかしながら、こ2の研究は対象者数が顕著に少なく、巻末には本研究を継続的に行っていくことが必要であるとしている。　そこで本研究は、大学生を対象としたラジオ体操第二直後の「心拍数からみた運動強度レベル」及び「主観的運動効果」を継続的に調査することを目的とし、若年層のラジオ体操における実施効果を検証する。Ⅱ．方法　A大学における健康・スポーツ系実技授業の受講生63名（男：48名、女：15名）を対象とし、体つくり運動の授業内においてラジオ体操第二を実施した。加えて、本調査では授業の運営上「ラジオ体操第二」と前回の研究結果から、若年層はラジオ体操第一よりも第二の実施効果が高い傾向にあったことを踏まえて、今研究ではラジオ体操第二に限定して検証することとした。①　安静時心拍数の計測　計測方法はストップウォッチを用いて、橈骨動脈に指をあて15秒間の脈拍を図り、その数値を 4 倍することで、安静時 1 分間の心拍数とした（国立循環器病研究センター、2020）。②　ラジオ体操直後の心拍数の計測　ラジオ体操第二を実施し、体操直後の心拍数を計測した。③　アンケート調査　ラジオ体操における「主観的運動効果」についてのアンケート調査を行った。④　倫理的配慮　ヘルシンキ宣言を順守し、事前に実験の目的や方法などの説明を十分に行った。また、個人の意思で中止や中断が可能であることを説明し、任意参加の同意を得た。⑤　統計処理　安静時とラジオ体操第二の心拍数から対応のある「t検定」を行い、主観的運動効果の有無にはχ2検定を用いた（SPSS Statistics 23.0）。加えて、統計有意水準を危険率 5 ％未満（p＜0.05）とした。Ⅲ．結果　表 1 - 1 の結果、対象者は63名（男子：48名、女子：15名）、年齢は20.0歳±1.1（平均値±標準偏差とし、以下は省略する）、課外活動（スポーツ）の経験年数は8.9年±4.5であった。　表 1 - 2 の結果、安静時の心拍数は77.1拍/分±11.3、ラジオ体操第二直後の心拍数は103.8拍/分±17.2、であり、心拍数の詳細については図 1 に示す。ラジオ体操第二直後の運動強度レベルは4.0±0.8であった（表 2 から照合して算出、以下は省略する）。　表 3 の結果、安静時とラジオ体操第二直後の心拍数を比較したところ－26.7拍/分±11.7、有意な差（p：＜0.001）と高い効果量（ES：0.92）が認められた。　表 4 - 1 及び表 4 - 2 の結果、ラジオ体操第二直後における主観的運動効果の有無（①はい、②いいえ、③分からない）について、「①はい81.0％、②いいえ6.3％、③分からない12.7％、p値＜0.001」と有意な差が認められた。加えて、表 4 - 1 はラジオ体操第二直後の主観的運動効果に関する自由記述をまとめ、それらを「肯定的な理由、否定的な理由、分からない」の理由別に分けて抽出したものである。3表 1 - 1 　対象者数（性別）・年齢・課外活動年数調査年度 対象者（名） 年齢（歳） 課外活動の年数（年）2022 63 （男：48、女：15） 20.0±1.1 8.9±4.52020 18 （男：11、女： 7 ） 20.2±0.4 5.7±3.2※2020：前回の研究 （平均値）±SD（標準偏差）表 1 - 2 　安静時及びラジオ体操第二直後の心拍数と運動強度レベル調査年度 安静時の心拍数（拍/分）ラジオ体操第二直後心拍数（拍/分）ラジオ体操第二直後運動強度レベル2022 77.1±11.3 103.8±17.2 4.0±0.82020 65.2±9.8 99.8±18.6 3.8±1.0※2020：前回の研究 M（平均値）±SD（標準偏差）図 1 - 1 　2022年度ラジオ体操第二直後における心拍数の割合図 1 - 2 　2020年度ラジオ体操第二直後における心拍数の割合4表 2 　心拍数からみた運動強度レベル（RPE）運動強度レベル 自覚度 強度（%） 心拍数（拍/分）9 もうだめ 100.0 191-2008 非常にきつい 85.8-92.9 171-1907 かなりきつい 71.5-78.6 151-1706 きつい 57.2-64.3 131-1505 ややきつい 42.9-50 111-1304 楽に感じる 28.6-35.7 91-1103 かなり楽に感じる 14.3-21.4 71-902 非常に楽に感じる 7.1 61-701 安静時 0.0 0 -60（日本健康運動研究所）表 3 　安静時とラジオ体操第二直後における心拍数の比較調査年度 項目/統計値 M±SD t p ES2022安静時－ラジオ体操第二直後－26.7±11.7 －18.1 ＜0.001 0.922020 －34.6±15.2 －9.62 0.00 0.92※2020：前回の研究　M（平均値）±SD（標準偏差），t（t値），p（p値），ES（効果量）表 4 - 1 　ラジオ体操第二における主観的運動効果（受講者の意識調査）調査年度 項目 人数 はい いいえ 分からない df p2022主観的運動効果63人 81.0％ 6.3％ 12.7％ 2 ＜0.0012020 18人 83.3％ 11.1％ 5.6％ 2 0.000※2020：前回の研究 df（自由度），p（p値）表 4 - 2 　ラジオ体操第二における受講者の意識調査【複数回答】（質問：ラジオ体操第二には、何らかの運動効果があると思いますか？）受講者の自由記述 評価・普段使わない筋肉を使っている実感がある。 【 3 名】・全身運動をしているので身体全般に効果がある。 【 5 名】・動きやすくなる。 【 7 名】・ストレッチ効果がある。 【11名】・運動不足の解消になる。 【 2 名】・正しいフォームで行うと体つくりとして効果がある。 【32名】・ウォームアップとして効果的である。 【12名】・小学生や年配の方がやると運動効果がある。 【 4 名】 肯定的な意見・筋肉痛になるぐらいの運動強度がある。 【 1 名】・全身の筋力を高める効果がある。 【 2 名】・体重が減る。 【 1 名】・心拍数が上がる。 【 3 名】・ラジオ体操第一よりも第二の方が運動効果はある。 【 2 名】・身体をリフレッシュする効果がある。 【 1 名】・基礎代謝のアップにつながる。 【 1 名】・体操としては優れているが体つくりには強度が低い。 【 3 名】否定的な意見・普段運動している若者にはあまり効果がない。 【 2 名】・体操として優れているが体つくりには強度が低い。 【 2 名】・普段運動している若者にはあまり効果がない。 【 2 名】 分からない・トレーニングというよりストレッチの効果が高い。 【 1 名】5Ⅳ．考察　上記の結果を踏まえて、ラジオ体操第二直後の「心拍数からみた運動強度レベル」「主観的運動効果」について、前調査（小島、2020）と比較して考察する。1 ．ラジオ体操第二直後の心拍数からみた運動強度レベル　本研究の対象者は63名であり、運動経験年数は8.9年±4.5（平均値±標準偏差、以下は省略）であった。その対象者におけるラジオ体操第二直後の心拍数を計測し、表 2 の運動強度レベル表を用いて抽出した結果、ラジオ体操第二直後の心拍数の平均値は103.8拍/分（安静時の心拍数の平均値は77.1拍/分）であり、その運動強度レベルの平均値は4.0（楽に感じる程度）であった。加えて、安静時とラジオ体操第二直後の心拍数をt検定した結果、有意な差（p：＜0.001）と高い効果量（ES：0.92）が認められた。以上の結果から、安静時とラジオ体操第二直後の心拍数の平均値を比較すると26.7拍/分程度上がり、運動強度レベルにも上昇が認められた。また、前調査（小島、2020）とは対象者数と安静時の心拍数は異なるが、比較してその傾向を辿ると、ラジオ体操第二直後の心拍数における平均値の差は上がり（2020年度：34.6拍/分、2022年度：26.7拍/分）、運動強度レベルの平均値においても上昇する傾向が認められた（2020年度：3.8、2022年度：4.0）。この結果は、ラジオ体操第二の運動効果を確認できる情報となりえることだと考える。また、冒頭でも述べたようにラジオ体操は子どもや高齢者、女性の体に配慮した内容で構成されており、さほど運動強度が高くならないように設定されている。そのことから、子どもや高齢者ではない若年層のものがラジオ体操を実施したところであまり効果がないと思われる節がある。しかしながら、前調査及び今調査の結果からは若年層を対象者としても、心拍数と運動強度レベルを上昇させることが認められている。加えて、スポーツ競技の経験者（表 1 - 1 ）であっても心拍数と運動強度レベルを上昇させており、一般人とスポーツ競技者の体力基準値には差はありつつも、心拍数と運動強度レベルの上昇は認められた。このことは、若年層においてラジオ体操第二の運動効果があったことを示唆している。2 ．ラジオ体操第二直後の主観的な運動効果　ラジオ体操第二直後における主観的運動効果の有無の結果（表 4 - 1 、表 4 - 2 ）、有意な差（p：＜0.001）が認められ、ラジオ体操第二には運動効果があるとの肯定的な回答が多く認められた。加えて、その記述から肯定的な回答を多い順に示すと「正しいフォームで行うと体つくりとして効果がある（32名）」「ウォームアップとして効果的である（12名）」「ストレッチ効果がある（11名）」「動きやすくなる（ 7 名）」となり、 5 名以下は「全身運動をしているので身体全般に効果がある」「小学生や年配の方がやると運動効果がある」「普段使わない筋肉を使っている実感がある」「心拍数が上がる」「運動不足の解消になる」「筋肉痛になるぐらいの運動強度がある」「全身の筋力を高める効果がある」「体重が減る」「ラジオ体操第一よりも第二の方が運動効果はある」「身体をリフレッシュする効果がある」「基礎代謝のアップにつながる」などの回答があった。ちなみに、否定的な回答は全て 3 名以下であったが、「体操としては優れているが体つくりには強度が低い」「普段運動している若者にはあまり効果がない」などの回答があった。分からないの回答も全て 3 名以下であったが、「体操として優れているが体つくりには強度が低い」「普段運動している若者にはあまり効果がない」「トレーニングというよりストレッチの効果が高い」などの回答があった。　このことはあくまでも、対象者主観の回答であるがラジオ体操第二の実施効果を評価できる一つの判断材料となりえるものだと考える。加えて、最も多い回答は「体つくりとしての運動効果がある」ことからも、上記考察 1 と同じ6くラジオ体操第二における運動効果はあったものと示唆できる。しかし、ここで注意したいことは小島（2020）が述べているように、ラジオ体操をただ闇雲に行うのではなく、一つひとつの体操を意識して正確な姿勢を保持しながら行うことで、運動効果が高まることを忘れてはいけない（小島、2020）。Ⅴ．結言　本研究の結果から、ラジオ体操第二を実施することは心拍数を上げ、運動強度レベル（楽に感じる程度）も上昇させる全身運動になり、意識して正確に各体操を行うことでウォームアップやストレッチとしての運動効果も期待できるものと考える。特に、本研究の対象者は現役スポーツ競技者やスポーツ競技経験者が主であり、その対象者がラジオ体操第二直後の運動効果を実感しているということは、客観的に判断してもその運動効果は期待できるものだと考えられる。【引用・参考文献】1 ）檜皮貴子（2013）：大学生における「体つくり運動」の実施経験と意識調査：駿河台大学の学生を対象として，駿河台大学論叢第46号．2 ）神奈川県立保健福祉大学健康サポート研究会（2009）：ラジオ体操が身体機能に与える影響についての調査研究，調査報告書．3 ）神奈川県立保健福祉大学健康サポート研究会（2014）：ラジオ体操の実施効果に関する調査研究，調査報告書．4 ）川初清典，長瀬製司，加藤澤男（1990）：体操と健康づくり，オーム社．5 ）小島正憲（2018）：大学生におけるラジオ体操の調査報告─体つくり運動の視点から─，東邦学誌第47巻第 1 号，pp.173-181．6 ）小島正憲（2020）：ラジオ体操の実施効果における調査研究─大学生を対象として─，東邦学誌第49巻第 2 号，pp.13-20．7 ）国立循環器病研究センター（2020）：「運動の実践前に（ 3 ）脈拍の測り方をマスターする」，http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/general/pamph20.html#- 3 -21．8 ）宮辻和貴，大森美沙季（2017）：女子学生におけるラジオ体操のトレーニング効果について─運動群と非運動群の比較から─，神戸新和女子大学ジュニアスポーツ教育学科紀要（ 5 ），pp. 7 -25．9 ）中村格子（2013）：もっとスゴイ！大人のラジオ体操決定版，講談社．10）清水清（2003）：ラジオ体操についての考察─地域と学校で取り組むラジオ体操と授業における準備運動の実態調査─，山梨県総合教育センター．11）渡部鐐二，武藤三千代，山口由子，渡部月子，若山葉子（2007）：ラジオ体操の継続的実施が精神及び身体に及ぼす効果について，日本公衆衛生学会総会抄録集．12）湯浅景元（2007）：図解本当はすごい「ラジオ体操」健康法，中経出版．7

Ongoing research on the Exercise Effectiveness of the Radio Exercise No. 2  ─ for college students ─

木野村, 嘉則

キノムラ, ヨシノリ

A Survey of Students' Attitudes toward Sports Classes in the Health and Physical Education Teacher Training Program : A Course Aimed at Learning Teaching Methods for First-Year College Students

伊藤, 恵美子

イトウ, エミコ

Effects of the graduation reports : Analyses of motive of under graduates

渡辺, 弥生

ワタナベ, ヤヨイ

東邦学誌第52巻第 2号2023年12月研究ノート49養護概説の授業内容の検討 ─少子化問題を理解するために─Examination of the contents of the class on the outline of nursing care ─Understanding the problem of declining birthrate─渡辺 弥生Watanabe Yayoi愛知東邦大学人間健康学部要　旨　養護概説は小児保健と学校保健の 2 つの側面から授業展開する。学生は「子どもを育てる喜びと護る責任を考える」機会を持つ。子どもを取り巻く環境を学ぶことで「少子化問題」を考える機会となる。養護に関する関心の程度と、少子化問題が学生にどのように影響があったかを知るため最終講義終了後アンケートを行った。関心が高い項目は、子どものメンタルに関する項目で、関心が低い項目は「慢性疾患」に関わる項目等であった。少子化問題の関心は高いとは言えず、将来の子育て意欲は、45.2％であった。しかしこの学びが「将来の子育てに役立つか？」の問いには78.6％の学生が「そう思う」と答えていることから将来の子育てをイメージすることはできていると考える。授業を通して少子化問題をマイナスイメージではなくプラスイメージにできるとよい。授業展開は、関心が低い項目やイメージしづらい内容については動画の活用や意見交換等一方的な講義では不十分であることが認識できた。キーワード　学生　養護概説　少子化問題　学びのニーズⅠ．はじめに　日本の社会が取り組むべきこととして少子化問題がある。2022年の出生数は過去最少の約78万人であった。合計特殊出生率は、2022年は1.26となり、 7 年連続で前年を下回った。　人間健康学部では 3 年次に「養護概説」を開講している。養護とは「養い護ることで、生活させ、育て、危険な状態から護る事」である。教授内容は小児保健と学校保健の 2 つの側面から展開している。このことから学生は「子供を育てる喜びと護る責任について考える」機会を持つことができる。学生が将来の育児への関心を持つ機会となるような教授内容とするため、学生の養護への興味関心について調査し、少子化問題や子育てへの関心が少しでも高まるような授業内容とするため、「養護概説」授業終了後アンケート調査を行った。50Ⅱ．方法1 ．研究の目的　少子高齢社会の中で、学生が将来の育児への関心を持ち考える機会となるような授業内容とするため、学生のへの興味関心について授業終了後アンケート調査を行う。2 ．調査対象者 （年齢・性別・人数など）　2022年度養護概説受講学生77名（ 3 ． 4 年生）女子13名　男性64名である。アンケートを行った授業（15回目）の出席者は66名でそのうち42名がアンケートに参加した。＊アンケート参加者の性別は問うていない3 ．倫理的配慮　アンケートを行う際自由参加であること、成績評価にかかわらないことを説明し、提出の際は箱を設け自由な提出を依頼する。アンケートは無記名で行った。　取得したデータの取り扱い方法：アンケートが終了後用紙は、鍵のかかった場所に保管する。　データの入力、集計後のアンケート用紙はシュレッダーにかけ廃棄する。　入力したパソコン、USBは研究室から持ち出さない。鍵の付いた棚に保管する。データは個人が特定されないように分析することとした。　本学倫理委員会で承認を得た。承認番号　：愛東研第202203号〈利益相反〉　本調査に利益相反はない。アンケートの際は口頭で説明を行った。4 ．調査内容：自記式質問紙調査である。（ 1 ）授業を行った項目をピックアップし、関心の度合いをリッカート尺度 5 段階で回答してもらった。（ 5 ＝関心がある～ 1 ＝関心がない）（ 2 ）「将来子育てしたいと考えているか」は、その理由を記述してもらう。（ 3 ）「養護概説が将来の役に立ったか」は、その理由を記述してもらう。（ 4 ）授業の中でもっと知りたかったことは何か」を記述してもらう。Ⅲ．結果　アンケートは、66名に配布し42名から回答を得た。回収率63.6％である。（ 1 ）授業で行った項目の関心の程度　関心が60％以上（関心がある・関心が少しある）の項目は「子どもの心の問題」「子育てへの関心」「子育て支援・日本」「子どもの安全」「子どもの虐待」「子どもとの人間関係」「子どもの不登校の問題」であった。関心が50％台の項目（関心がある・関心が少しある）は、「少子化問題」「子どもの健康」「子どもの人権」「子どもの救急処置」等であった。　関心が50％以下（関心がある・関心が少しある）の項目は「養護の意味」「子どもの観察」子どもの慢性疾患の対応」「「子育て支援・海外」等であった。51（ 2 ）「将来子育てをしたいと考えていますか？」の問い　「将来子育てをしたいと考えていますか？」の問いには、「子育てをしてみたい」が45.2％の「今はわからないが子育てに関心がある」が、35.7％であった。「子育てをしたいとは考えていない」が23.8％であった。その理由については、「子育ては経験したい」「誰かのために行動したい「子どもはかわいい」「親に育ててもらったから育ててみたい」一方で「一人が気楽」「責任が伴う」「お金がかかる」などの記述があった。（ 3 ）「今回の養護概説の授業は将来の子育てに役立つと考えますか？」の問い　「今回の養護概説の授業は将来の子育てに役立つと考えますか？」の問いには「役に立つと思う」と答えた学生は、78.6％であった。「まあまあ役に立つと思う」と答えた学生は23.8％であった。52（ 4 ）「授業の中でもっと知りたかったことは何か？」　「具体的な子育ての方法」「子育てにかかる経済の話」「子供たちの心の成長」「不登校の問題」などが挙げられた。Ⅳ．考察　養護概説の授業において、関心が60％以上の項目は「子どもの心の問題」「子育てへの関心」「子育て支援・日本」「子どもの安全」「子どもの虐待」「子どもとの人間関係」「子どもの不登校の問題」であった。養護の重要な点は、子どもの安全な環境であり、子どもとの人間関係を良好にすることであることから今後も内容を充実する必要がある。「子どもの心の問題」「子どもの不登校の問題」は関連があることから関心が高くなっており、家庭と学校の両面からの予防、対策を伝える必要がある。　関心が50％台の項目は、「少子化問題」「子どもの健康」「子どもの人権」「子どもの救急処置」等であった。子どもの人権は重要な視点であるため、関心が高まるよう具体的な内容としていく必要がある。少子化問題は関心が低く、現時点で子育てには関心があってもその背景にある社会問題への関心は低いようである。しかし「子育て支援」への関心は高いことから話を聞こうという意識は見られると推察する。さらに現代社会の動きを注視し内容を充実していく必要があると考える。　若者世代の不安は「子育ての経済面」「子育てと仕事との両立」であることから現時点で子育て支援は加速していることから前向きに考えられるように具体的な情報提供を行う必要がある。養護概説で少子化問題を取り上げることは、子どものおかれている環境を学ぶ上で避けられないため、養護概説の学びで重要であることを理解してもらう必要がある。　関心が50％以下の項目は「養護の意味」「子どもの観察」「子どもの慢性疾患の対応」「「子育て支援・海外」等であった。海外の子育てに関心がないことはやむをえないとしても「観察、慢性疾患」は学校内でのアレルギー対応など関心を高めていく必要がある。　今回の調査では、「将来子育てをしたいと考えていますか？」の問いには、「子育てをしてみたい」が45.2％で「今はわからないが子育てに関心がある」が、35.7％であった。日本財団は2022年12月に、17歳から19歳までの1000人を対象に、働き方や子育てなどの価値観について調査を行い、「将来子どもを持ちたい」という問いの回答は59％であったとしている。養護概説を受講することで「子育ての大変さ」を考えてしまっている可能性はある。　「授業の中でもっと知りたかったことは何か？」では「具体的な子育ての方法」「子育てにかかる経済の話」「子供53たちの心の成長」「不登校の問題」などが挙げられた。日本財団の調査では、子育ての不安の理由として「金銭的負担」や「仕事との両立」「わからない」「考えたことがない」は合わせて31％としており、本調査の学生も「お金がかかる」を挙げている。「今はわからないが子育てに関心がある」が、35.7％であったことから「子育ての大変さ」を意識し、学ぶことで考える機会となることは予測できる。　厚生労働省の15歳から39歳を対象にした調査では「将来よりも今の生活を楽しみたい」という20代の 6 割が「あてはまる」に回答している。今の生活を楽しみたいと考えていることは当然のことであり、子育てについて考える機会と無理強いすることはできないが、考える機会となるよう一方的な講義形式ではなく、意見交換やレポート課題を課すようにしていきたい。　現在の少子化問題は「経済的負担の軽減策の充実」、ついで「地域の子育て支援サービスの充実」「子育てに対する支援体制の整備」「仕事と子育ての両立の取り組み」を優先している。この子育て支援の内容は、日々新しくなっていることから情報を更新する必要がある。　現代の若者は少子化に対する漠然とした不安を持つ。2021年度の授業前に簡単に回答を求めたところ対象者（ 3 ．4 年生）69名のうち「子供を将来育てたい」と回答したものが32名（46.4％）であった。「今はわからない」と回答した者は18名（26％）であった。「子供を育てたいとは思わない」と回答した者は14名（20.3％）であった。「将来子供とスポーツをしたい」と楽しそうに答える一方「自由な時間がない」「面倒である」「経済面が不安」と答える学生もいた。「大変である」「責任がある」という意見もあった。少子化に関する知識や、育児に関する知識がないまま漠然とした不安を持つ若者が多いのではないかと推察する。正しい知識・情報を得たうえで考える機会が必要ではないかと考える。養護概説ですべての課題が解決できるわけではないが学ぶことは考える機会となる。　「今回の養護概説の授業は将来の子育てに役立つと考えますか？」の問いには「役に立つと思う」と答えた学生は、78.6％であった。「まあまあ役に立つと思う」と答えた学生は23.8％であった。これらの回答から動画の活用や印象付ける子どもとの対応場面を見せていくことも必要である。　学生は中学などで、少子化対策の一つとして妊娠・出産・育児に関する教育についても保健体育などを中心に受けていると考える。家族の一員として家庭生活を大切にする心情を育むことや子育てや心の安らぎなどの家庭の機能を理解させるとともに、これからの生活を展望し、問題意識をもって主体的により良い生活を工夫できる能力と態度で、少子化問題を考えると同時に「子供を育てる喜びと護る責任」について考える機会を持つことで将来の家族のあり方を考える機会となる。現状では育児のマイナスイメージが強い中「子育ては自分育てであること」養護概説は、本来そのことを踏まえ現状を理解し考える機会となるとよいと考える。Ⅶ．結論1 ．関心が高い項目は「子どもの心の問題」「子育て支援・日本」「子どもの安全」など、であり、学生のニードに沿って具体的な子どもへの関わりを動画の活用など具体的な内容とする必要がある。2 ．関心が低い項目は、「養護の意味」「子どもの観察」「子どもの慢性疾患の対応」等であった。学校場面では重要な項目であるので授業に工夫が必要である。3 ．「今回の養護概説の授業は将来の子育てに役立つと考えますか？」の問いには「役に立つと思う」と答えた学生は、78.6％あったことから養護の学びや少子化問題を通じて将来のの目標を検討する機会とする必要がある。54引用文献・参考文献1 ）https://www 3 .nhk.or.jp/news/html/20230212/k10013978801000.html　2023　 9 月15日閲覧2 ）国民生活基礎調査https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa17// 2023　 9 月25日閲覧3 ）https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/syousika/040908/dl/0016.pdf2023　 9 月25日閲覧4 ）　西山千恵子，学校教育における「少子化対策」の導入とその問題─新旧「高校保健・副教材」の検討を中心に，立教大学ジェンダーフォーラム年報第19号，101，20175 ）炭原加代，西堀幸子，新増有加，母性看護学の現状と課題，大阪青山大学看護学ジャーナル創刊号vol 1 ，65-71　20176 ）渡辺弥生　日本の少子化と看護の役割─母性看護の取り組みを考える─地域創造研究叢書No35少子高齢社会のヒューマンサービス唯学書房p100～113　20227 ）岡田加奈子　河田史宝　養護教諭のための現代の教育ニーズに対応した養護学概論─理論と実践　東山書房　201755資料養護概説終了後アンケート 担当　渡辺弥生　このアンケートは養護概説を行う際の講義内容を検討するために実施します。自由参加で一切成績評価にかかわりません。ご協力いただけますとありがたいです。参加協力はアンケートの実施をもってご了承いただいたこととします。アンケートの実施に賛同しないことでの不利益は一切ありません。無記名でお願いします。帰りに記載内容がわからないように箱に入れてください。よろしくお願いします。1 ．下記の項目で関心の程度をお尋ねします。関心が高ければ 5 、低ければ 1 のところに〇をつけてください。5関心がある4関心が少しある3普通2あまり関心がない1全く関心がない少子化問題養護の意味子どもの成長過程子どもの健康子どもの人権子どもの安全子どもの虐待子どもとのコミュニケーション子どもとの人間関係子どもの不登校の問題子どもの観察子どもの生活習慣子どもの疾患治療子どもの救急処置子どもの慢性疾患対応子どもの心の問題子育てへの関心子育て支援　海外子育て支援　日本562 ．将来子育てをしたいと考えていますか？いずれかに〇を記入してください。（ 1 ）子育てをしてみたい。　　　　　　　　　（　　　　　　）（ 2 ）今はわからないが子育てに関心がある。　（　　　　　　）（ 3 ）子育てをしたいとは考えていない。　　　（　　　　　　）（ 4 ）その他　　　　　　　　　　　　　　　　（　　　　　　）上記の理由は何ですか？簡単にお答えください。3 ．今回の養護概説の授業は将来の子育てに役立つと考えますか。（ 1 ）子育てをする場合、役に立つと思う。　　　　　　（　　　　　　　　）（ 2 ）子育てをする場合、まあまあ役に立つと思う。　　（　　　　　　　　）（ 3 ）子育てをする場合の役には立たないと思う。　　　（　　　　　　　　）（ 4 ）その他　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　　　　　　　）3 ．養護や子育てについてもっと知りたかったことがあればキーワードなどで記述してください（簡単でいいです）ご協力ありがとうございます

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