Kunisue Hiroshi

Takata Kazuo

国末 浩

高田 和郎

高田, 和郎

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Kawasaki Medical School Institutional Repository / 川崎医科大学学術機関リポジトリ

_－0今も透明球形粒子によって散乱された光強度川崎医科大学物理学教室高田和郎。国末浩（昭和51年9月30日受理）ScaireringlntensityofLightbyaSphericalPartiC1eK盆露:uoTARATAandHiroshiKUNISUED幼α""29"Zq/.力妙sibs,Kなめasα彫MedIba/ISb加0ZI豆"fas"艦＃70Z-0Z,J"α〃（彫""edo〃､S"ﾒ.30,Z976)概 要47透明球形粒子による横方向の光散乱を明らかにする目的でMieの式を用いて三種の屈折率113,1.33,1.50について無次元粒径αが0.1から210.0にわたって0.1間隔での散乱光強度関数の数値計算を行った。またαについて平滑化した幾何光学による散乱光強度関数とMieの式によるそれとを比較することにより，幾何光学の式の近似度が屈折率や偏光方向によってどのように変 化す るか を図 示したO:、abstr塾唾Mieintensityfunctionsoflightscatteredlaterallybya.transparentsphericalparticlewasnumericallycomputedinthreecasesofrefractiveindiciesnwithrespecttothesurroundingmedium(n=1.13,1.33ahdl.50).Ineachcaseinn,thesizeparameterczwasvariedfrom0.1to210.0instepofO.1.InordertocomparetheaveragefunctionsofrayopticswiththeaverageexactMiefunctions,thesmoothintensltyfunctioncurvesofthesizeparameterareShowninseveralgraphicformswiththosederivedfromrayoptics.Theeffectsof",nandpolarizeddirectionareillustrated.§ 1 ．緒言比較的大きさのそろった微粒子が気体中に多数浮遊している場合,との粒子群の平均的な大α8 高田和郎・国末浩きさを測定するには，これを光で照射して回折環を生ぜしめ，この暗環の大きさから粒径を知る方法がある。しかし，こ,の方法では測定できる粒径の範囲が波長の数十倍程度と限定されて‘‘I.、．．，．’；おり，しかも，急速に粒径が変化する場合の計測には超高速カメラでの撮影が必要になり，そのための光源の強度，フィルムの感光度，あるいは回折像の光強度変化対策など，解決せねばならない困難さが大きい。これに対して’やはり，無接触計測の一つとして，これらの粒子群に光をあて，これらからの散乱光強度を光電計測することによって粒子の大きさを知ろうとする方法が考えられる。この方法を採用する場合には当然，散乱光強度と粒径との間の関係が明らかにされていなければならない｡､この場合の散乱光強度は粒の大きさだけに依存するのではなく，入射光強度，入射光の波長，散乱方向に対してはもちろん，粒子の数密度，粒子の形，粒子の向き，その他粒子を構成している物質の光学的性質によっも変化をうける。上記の条件として特に，粒子が透明であり,しかも一様で，等方的物質によって構成されていて,球形であり,数密度も一定で，しかも多重散乱の影響が無視できるという条件のもとでは理論的な解析が可能となる。すなわち,単一球形粒子による散乱電磁波強度に関するMieの理論を利用して数値計算を行なえば，原則的には散乱光強度と粒径との間の関係を明らかにすることができる。実際に，球形粒子による散乱模様を数量的に明らかにして実用に供する目的で，多くの研究者がこの理論式を用いて数値計算を行なっている1),2)'3)。しかし,PENNDORFが指摘しているように4)，この数値計算には粒径の増大に伴って計算量の激増をよぎなくされる。それゆえ，サイズパラメーターαが30より大きい場合といった比較的大きな粒子による散乱強度計算ははなはだ少ない5)。したがってαが30より大きい領域での散乱模様は明らかにされていない現状である。ここでαは粒子半径αと真空中での光の波長スを用いて2元α/スで定義されている無次元化された粒径である｡一方，虹の出来る散乱角などのよう海特殊な散乱角の場合を除けば，粒径が十分大きい場合には，いわゆる位相を考慮した幾何光学による光強度計算が精度よく成立することは明らかであるから6)，これを用いて散乱光強度と粒径との間の関係を求めることができる。しかし，αがどの程度の大きさになれば幾何光学による値の精度がよくなるのかはMieの式の数値結果と比較して判定しなければならない。著者らは上記の点を明らかにする目的と，それとは別に(Rayleigh散乱領域から幾何光学の適用が可能と思われる領域に致るまでの）広範囲な粒径にわたっての透明な単一球形粒子による散乱模様を明らかにする目的で，つぎの二種の散乱に関する理論式のフォートランによるプログラム化を行った。（1）無次元粒径α，散乱角βおよび粒子の周囲媒質に対する相対屈折率nがすべて可変な形でのMieの散乱強度関数のプログラム化（2）上と同じ状態での，位相を考慮した幾何光学による散乱光強度関数の式のプログラム化これらのプログラムの完成後，(1)のプ?ログラムについては6が90.の場合で，しかも，屈折一 」、◆0透明球形粒子によって散乱ざれた光強度 49率が1.13,1.33,1.50のそれぞれの場合の散乱強度関数をαが0．1から210.0までにわたつ，：《.”；ざ．『：て0．1間隔での数値計算を実行した。(2)のプログIラムについ蕪‘は同様に，りが90.の場合でしかも屈折率も同じ三種のそれぞれについて種々の内部通路を通ってβが90。に達した光の和の形として散乱強度関数をαのみの関係の形で求めた。（．；・本報告では，これらのプログラムの要点，実行結果，数値結果に対する処理，および検討結果について述べる。§2Mieの式の提示とプログラムの要点1 12■一↓↓↓↓入一↓↓↓↓図1．まず,Mieの散乱電磁波強度に関する理論式を以下に示すも!図1ID鞍､うに透明で，周囲に対する相対屈折率nの一様な物質によって構成された半径αの一個の球形粒子が存在し，この粒子が透明で’等方的で，かつ一様な媒質中に浮遊していて,周囲媒質での波長がスである平面電磁波で照射されている。この粒子のために入射光のくる方向から測ってβの角をなす方向へ散乱される電磁波強度Iはβ方向の単位立体角中に単位時間ごとに放射されるエネルギーとして定義され，Ⅲ-讓恋("』no‘)-謡{…州("｡n'')}(,)で表わされる。ここで,Ioは入射平面電磁波の強度であり，入射方向に垂直な単位面積，単位時間当りの入射エネルギーと定義されている。また，汀は円周率,jS,j1および'2は散乱強度関数と呼ばれる無次元量で,iSは，1と22の和である。そして’1と22は共に散乱波の偏光成分で，それぞれ観測面に対して散乱波の電気ベクトルが垂直な成分を’1，平行な成分を'2とし，次のように与えられている。２C O蒜玲(α"露蝿+"鋤〕】 (2）21＝”2＝1２COEwMT("*7両赤F1丁？"＝ユ(3）22＝＝１１ α,"(",n)､－1)"'÷ S"'(6)｡SI"(")-n｡SI服'(α)｡S"(β）Sﾙ’'(β)｡｡”(cz)･-n.‘",'(α)｡S"i(8)“）、l一 一一_一－高 田和郎。国末浩506"』(",n)=(-1)"+-%n｡SI"'(8)｡&Shz(")一IS脆'(α)･S;"(6) (5）、。S,,'(6).qdm(")-｡加'(α)｡S"(6)1s;"(z)=(-f)言伽÷(z) (6）Ｊｚく一⑪“１〃ｆＪｌ－の“１㈲G"(9)=(-1)'" (7）84S》』(z)－8ZS"'(z)= (8）の一能くＪｑ８一一ＪｇくグＺｑ (9）1‘鋼(z)-s"(z)+#｡c;,(")('=γ可）中 (10)6j",(9)j",'(9)= (1）aZ(12）α＝2汀α/スー(13）'=n" Dqd｜血ｊ〃く蝿一一〃７Ｊ汀 (14）（15）で卿＝冗加"－（1－"2）汀,"′淵ｐ“２”２．一一ノ、汀 (16）(17）"=COS6ここにZ"+(2)'L"-÷(g)は正および負の半奇数のBessel関数であり,Bw(")は蜘次の一一・ゴL，q透明球形粒子によって散乱された光強度 5ZLegendre多項式である。以上がMieの理論式で,Maxwellの波動界条件のもとで解いて得たものである。つぎにこの式をプログラム化す記する。まず式中，BesselやLegendre関数値の計算プログラムには化式を用いた。ただ,6=90．固定の場合のプログラムでは(17)式の力中の一部分を方程式を与えられた境るに際しての要点を列通例の方法に従って漸が零となり，(2)，(3)式2"z+1一7r加二＝加(沈十1）2沈十1"@("z+1)一で〃8＝＝ で、とおくと１１一一一一一玲一恥加一ユー(－1)2("3-1)!(2"1+1) "z=om●●●●●■－2"(型;ﾕ)!(弩ﾕ)！0 ●●●●●｡ 7〃＝g〃g〃wz=0m●●●■●●0、一(－1）2瓶！（2"2＋1）●●●■●｡ ？”＝g〃g〃2“(fL)!(SL)!と簡単にあらわせることがわかったので，演算の高速化の目的でこれを用いた。第二の問題点としては'1，ノ2の計算が(2)，(3)式のように無限級数で表わされているので，数値計算に当っては第何項で加算を打ち切るかが問題となる。この級数の収敏にはPENNDROFの与えたαによる収數の式Mmax=1.2"+7があるが4),実際にαを30間隔で増加してα=210.0までの収敵テストを行ってみるとnがいずれの場合にも1.07α＋5頃付近から急速に収數が早くなるので1.2α十7を用れば十分であることがわかった。第三の要点は16桁精度の演算を行ったことである。計算は始め7桁で行ったが，その場合には無視出来ない程度の計算誤差が生ずることが判明したため，すべて2倍精度演算で実行した。最後にBesselやLegendre関数のプログラムの正否は結果を数表とつき合わせることによって行い，最終プログラムの正否判定にはこの計算結果の一部が他の二，三の報告者の値と一致しているかどうかで行った。52高田和郎・国末浩§3．位相を考慮した幾何光学を用いる散乱光強度関数幾何光学で特定方向の散乱光となる光束の強度を求める場合には，この方向の光束は粒子の外面で反射した光だけでなく，粒子内に入り込み，内壁で数回以上反射したのち出てきた光力ざ多数存在すると考える。そして，この場合の散乱光強度はこれら入射角,の異なる光束を強度と位相を考慮して加え合わせたものとして求める。この場合，強度では反射や屈折に関するFresnelの反射係数rpを用い，また散乱光線の発散の程度を表わす無次元量Dpを光線追跡によって求めたものを用いており，位相では光路長差に基づく位相差6p,反射の際の位相変化，焦線を通ることによる位相変化を考慮している。この理論式の導出の詳細については他に譲る7)が式は次のようにあらわされる。{"""恥'…｝I'=-髻芸 (18）⑨』⑨】‐αze"1/D#g"(6"+'")p＝0&(n,8,")'，＝ (19）一一22CO"Ze2pl/D力，沙＝0g"(6p+62,)'2'=|Sb(n,8,") (20）＝包り証ｐ力、ノ、ノ紗・秘一一〆、／、、ノ、ノ２２ｐｐｌ２γγ一カーｐｌイ上２甜上γ／１γ／に～Ｉ、ｊ一一一一カカー２９６⑦＝0）(21）砂≧1）⑦＝0）(2）⑦≧1）Ｊ〃・Ｐ力画でで〃〃●勾萌舵一●含む〃直８Ｓｎｎ一十一》。〃で．”３(23）γﾕクーー(24）γ2少＝s〃でゆ°COSで力(25）一一雨両-丁(”/”）、′＝一「透明球形粒子によって散乱された光強度LGL6,=2"(s"でp-"s"rp')"=27r@z/ス6=2rp-2bcos－ﾕ(÷COSゞ,）(26）(27）(28）53ここでα,ス,",n,6,1oはMieの式の場合と同じものであり,I','1',/2′はMieの式のI,/',/2に対応する量でI′は散乱光強度,/!ｴ′とj2′は観測面に垂直な方向，および平行な方向に偏光した散乱光強度関数である。またで,で'は粒子への入射角の余角，および屈折角の余角を意味し，ｼは粒子内の内部直線光路の数である。この式の（19）と（20)式は｜ゑ｡…;｡…呵呵｡蝿I…+jl'=’二…崎…〃c｡s(…J=jl｡｡j2'=と変形できる。この式は6ヵや6‘がαの一次式なので，αの増加に伴って,j1，などは極大から極小へと急激にほぼ周期的に変化しながら漸増する。そこで,j1′などをαについて平均化したものを万などと書くとこの場合には右辺の｛｝中の第2項は零としてよいので汀-(員"’)"。CO（酢珍,｡D,)[M｡一j2′＝p＝0の形となる。この式でβ=90｡,n=1.13,1.33,1.50について係数を計算し，平均化散乱強度関数式として，，＝20までにわたってノュ7.=0.003019(z2(n=1.13)"=0.00003711cz2(n=1,13)"=0.01344"2(n=1.33)"=0.0006954"2(n=1.33)一高田和郎・国末浩54－ji'=0.05616d2(n=1.50)－'2'=0.01003"2(n=1.50)を得た。4４３１“局地４３．５鞄，０|’五Ⅲ剛州Ⅱ一計3一一○可乾10 0a Z 2Logu図2の(b)n=1.13Log"図2の(a) 図2の(c)n=1.13４３２１Ｏ召、○】４３“に画。屯４３１０↑局地]lfliL10－－~2一一'Logm里LogM図2の(d)n=1.33b 図2の(e)n=1.33 図2の(f)n=1.334４３２１Ｏ慰一目４３１０』ａ地｜柵3Mie 9－．§2画y”絶s１１1Ⅱ’ 『 0こ‘Lo｡Ⅸ Logd50･Logd図2の(i)n=1.50図2の(h)n=1図2の(9)n=1.50一I透 明球 形位 子によって散乱された光強度55§4.Mieの式の数値計算結果，その処理，検討§2．で述べたMieの式のプログラムを用いて,6=90｡,n=1.13,1.33,1.50の三種についてαが0．1から210.0まで0．1間隔で強度関数の数値を計算した。これらの計算結果9.鰹》の一部を表1に示す。 イ表1’Real(i')Imag(i')Real(i2)Imag(i2)Z1 Z2 ZO×“｜×".|×叩｜×102 ×1081×1031×108209.8７６－訓●０ －02 0.6 -0.1－－0．10.5080270.4837530.238311 0.746338209.9 0.4 0.242900|篶-0.2210.0 -0.21-0 0．3 －0－1 0.342812 0.231640横軸をαとしてこれらの結果である',faj2を描くとj1や/2がαの増大につれて極大や極小を多数伴う大きな変動を示しつつ平均的には漸増しているグラフを得た。これらのうち大きな変動を把握するために隣接するαの17個に対する'1や”の平均値と，それらの和joを求めその値を対数グラフに描いたものが図2の(a)から(i)の中の曲線である。これらの中には前述の幾何光学による平均化散乱光強度関数が直線で記入されている。これらのグラフから900方向の散乱強度として正確なMieの式を用いる代わりに幾何光学の式を用いる場合の近似度は屈折率が大きいほどよく，観測面に垂直に偏光した光の方がよいことが量的にも明らかにされている。’§5．結 言（1）単一の透明球形粒子による光の散乱強度関数を数値計算するためのプログラムをMieの理論によるものと幾何光学を用いるものについて作成した。（2）また具体的にはMieの式で散乱角が90｡,屈折率が1.13,1.33,1.50の三種について，無次元粒径αが0.1から210.0にわたって散乱光強度関数j1j2の計算を実行することにより,Rayleigh散乱領域から幾何光学領域への移行領域での散乱強度と粒径との関係を明らかにした。（3）つぎに位相を考慮した幾何光学の式による数値結果と,Mie･の式によるそれを，共に粒径に関して滑らかになるように平均化し，その両者を比較することにより，屈折率については大きいほど，また，偏光については観測面に垂直な光の方が平行なものよりも，小さな粒径で両者の一致が起こることを数量的に図示した。弓O B56 高田和郎・国末浩文 献1)A.N.Lown;"TablesofScatteringFuctionsfOrSphericalParticles.''Natl.Bur.Standards.(US)Appl.Math.Series.4,(1948)●■2)W.Helleretal.;"TheoreticallnvestigationontheLightScatteringofcolloidalSpheres.’～VI"J・Chem.Phys.VOl.30,No.3,p783.(1959)3)H.Wakeshima,K.Takata;"ANewTableofMielntensityFunctionsofLightScatteredSide-wardbyaWaterDroplets."Rev.KobeUniv.MercantileMarinePartn,10,81(1963)4)R、B.Penndorf;"NewTablesofMieScatteringFunctonsforSphericalParticles."GeophysicalResearchPapersNo.455)R.O.Gumprecht,C｡M.Sliepcevich."ScatteringofLightbyLargeSpherioalparticles.''J.Phys・Chem.Jan.,(1958)6)VanDeHulst;"LightScatteringbySmallParticles.'',(1957)7）高田和郎；“ベンゼンの球型液滴による90.方向散乱光強度関数の近似式”福井大学工学部研究報告，第13巻，第2号,P.343,(1965)ひ′"5一

Scattering Intensity of Light by a Spherical Particle

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透明球形粒子によって散乱された光強度

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