九州工業大学博士学位論文（要旨）学位記番号：工博甲第506号 学位授与年月日：令和2年9月25

Salces  Adrian Cabueñas

Kyutacar : Kyushu Institute of Technology Academic Repository

Nanosatellite Store-and-Forward CommunicationSystems for Remote Data CollectionApplications著者 Salces  Adrian Cabuenas発行年 2020-09-25その他のタイトル 遠隔地からのデータ収集のための超小型衛星ストア＆フォワード通信システム学位授与番号 17104甲工第506号URL http://hdl.handle.net/10228/00007920氏     名  SALCES Adrian Cabueñas（フィリピン） 学位の種類    博 士（工学） 学位記番号    工博甲第５０６号 学位授与の日付  令和２年 ９月２５日 学位授与の条件  学位規則第４条第１項該当 学位論文題目   Nanosatellite Store-and-Forward Communication Systems  for Remote Data Collection Applications （遠隔地からのデータ収集のための超小型衛星ストア＆フォワ ード通信システム） 論文審査委員   主 査  教 授  趙   孟 佑 〃    赤 星 保 浩 准教授  豊 田 和 弘 教 授  池 永 全 志  学 位 論 文 内 容 の 要 旨 本論文は９章からなっている。本論文の第１章では、研究背景、研究の現状、本論文がなしうる貢献、研究方法の概略について述べた上で、本研究の目的が、(1)1U キューブサットに搭載可能な S&F ミッションペイロードの開発と軌道上結果の解析並びに不具合原因の究明と(2) IoT/M2M ターミナルと超小型衛星との間の通信に対する E-SSA(Enhanced Spread Spectrum Aloha)プロトコルの適合性の評価(3)超小型衛星コンステレーションの設計パラメータと S&F ミッションの通信性能の関係の導出であることを述べている。 第２章では、過去に超小型衛星を用いてなされた遠隔地からのデータ収集のためのS&F ミッションについてレビューを行なっている述べている。また、主として商用目的で提唱されている IoT/M2M のための S&F ミッションについてもレビューを行なっている。 第３章では、衛星ベースの IoT/M2M通信に関して、通信システムのアーキテクチャ、物理層、ランダムアクセスの方法、通信プロトコル等の技術的な内容について文献のレビューを行なっている。超小型衛星による IoT/M2M ミッションを行うためには、ハードウェアの複雑さ、通信処理能力、通信エネルギー等に様々な制約があり、そのためには、単純で、周波数スペクトラムとエネルギーの両方で効率のよいランダムアクセスのプロトコルが重要であると述べている。その上で、地上ターミナルから衛星へのデータ通信に Enhanced Spread Spectrum Aloha (E-SSA) プロトコルを推奨している。 第４章では、BIRDS-2 衛星に搭載された S&F ミッションペイロードの設計、開発、試験統合過程について述べている。 第５章では、BIRDS-2 が打ち上げられたあとの軌道上での結果と不具合原因究明作業について述べている。BIRDS-2 では、VHF 周波数を使う APRS-DP(Automatic Packet Reporting System - DigiPeater)ペイロードを使って S＆F ミッションが行われた。ビーコンダウンリンクには成功したものの、アップリンクには成功しなかた。その原因としては、電源基板からのノイズが原因であることを突き止め、改善策を姉妹機のBIRDS-2S や BIRDS-4 に施し、その効果を実験にて確かめた結果について述べている。 第６章は E-SSA ベースの超小型衛星 IoT/M2M 通信モデルについてのシミュレーションの詳細について述べている。通信方法を評価する指標として、パケット損失率(PLR)、スループット(THR) とエネルギー効率(EE)を定義し、E-SSA により、低地球軌道を周回する衛星がどれくらいのデータを一度に受信可能かを調べることを目的としている。 第７章では、シミュレーションの結果を述べ、考察を行なっている。現実的な場合を想定して、E-SSA プロトコルを使ってどの程度の通信性能が得られるかについて明らかにしている。 第８章では、超小型衛星コンステレーションの規模とシステム全体の通信容量について、シミュレーションを行なった結果について述べている。 第９章では、本論文の結論について述べている。キューブサットを使って S&F ミッションを行う際、地上からの信号受信には細心の注意が必要で、特にノイズに対する対策と、それらを地上で徹底的に検証することが大事であると述べている。また、IoT/M2M ミッションを行う上で、E-SSA プロトコルが優れた方法であると結論づけている。さらに、超小型衛星コンステレーションの規模に応じて、最適な衛星高度と地上からの通信電力の組み合わせがあるとしている。今後の課題としては、E-SSA プロトコルの地上並び軌道上での実証が特に必要であるとしている。  学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 上記の論文に対して調査を行い、本研究が超小型衛星を利用した S&F の高度化に貢献することが認められた。論文調査会・公聴会においてなされた様々な質問（地上センサの数が及ぼす影響、パケットデータにエラーが見つかった時の対応、理想的なケースと現実的なケースの違い、モノポールアンテナとダイポールアンテナの違い等々）についても的確に答えていた。さらに本論文作成の過程で証明した研究能力と論文の記述から、本人が博士号を授与されるのに相応しい素養を身に付けていると判断した。  以上により、論文調査及び最終試験の結果に基づき、審査委員会において慎重に審査した結果、本論文が、博士（工学）の学位に十分値するものであると判断した。 

遠隔地からのデータ収集のための超小型衛星ストア＆フォワード通信システム

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