京都大学0048新制・課程博士博士(医学)甲第22732号医博第4650号新制||医||1046(附属図書館)京都大学大学院医学研究科医学専攻(主査)教授 髙橋 良輔, 教授 中山 健夫, 教授 川上 浩司学位規則第4条第1項該当Doctor of Medical ScienceKyoto UniversityDFA

Kameda, Masahiro

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Frailty markers comprise blood metabolitesinvolved  in antioxidation, cognition, andmobility( Abstract_要旨 )Kameda, MasahiroKameda, Masahiro. Frailty markers comprise blood metabolites involved  in antioxidation,cognition, and mobility. 京都大学, 2020, 博士(医学)2020-09-23https://doi.org/10.14989/doctor.k22732© 2020 the Author(s). Published by PNAS. This open access article is distributed underCreative Commons Attribution-NonCommercial-NoDerivatives License 4.0 (CC BY-NC-ND).DOI https://doi.org/10.1073/pnas.1920795117京都大学 博士（ 医学） 氏 名 亀田 雅博 論文題目 Frailty markers comprise blood metabolites involved in antioxidation, cognition, and mobility （フレイルのマーカーは抗酸化力、認知能、運動能と関連した血液メタボライトを含む） （論文内容の要旨）                                   全世界的な高齢化により、寝たきりの手前の状態であるフレイルと呼ばれる症例が増加している。フレイルとは「高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害，要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態」である。フレイルでは筋力低下のような身体的問題だけでなく、認知機能障害などの精神・心理的問題，独居などの社会的問題を含む概念である。当研究ではフレイルの病態に関与する代謝基盤の解明のため、血液による網羅的メタボローム解析を行った。   メタボロミクスは液体クロマトグラフィー質量分析法 (LC-MS)などにより低分子であるメタボライトを検出し、解析する科学的手法である。これまでにメタボライトの定量的ピーク同定解析技術が確立され、酵母とヒトのメタボロームの相同性や、血液の細胞分画について研究がなされてきた。特に血液網羅的メタボローム解析により、抗酸化、酸化還元、尿素回路に関連する14個の老化マーカーが同定されたことは、ヒト老化における多彩で複雑な生命現象の代謝基盤解明に有効と思われた(Chaleckis et al., PNAS 2016)。   これらの技術を、フレイル代謝解析に適応した。対象は19例の高齢者（平均年齢84.2 ± 6.9歳）で、フレイル9例、非フレイル10例であった。フレイル診断にはエドモントンフレイルスケール (EFS)、認知能、運動能はそれぞれ、日本語版モントリオール認知アセスメント（MoCA-J）、Timed Up & Go Test (TUG)により評価された。全血を用いた、LC-MSによる非標的かつ網羅的メタボローム解析が行われた。フレイル、認知能、運動能に関して、メタボロームを統計学的手法 (Pearson による相関、T 検定、主成分分析 (PCA))にて評価した。  全 131 個のうち、フレイルマーカーとして、15 個のメタボライトが同定された。さらに認知機能では6つ、運動機能では12のメタボライトにて有意差を認めた。重複を勘案すると、合計 22 のメタボライトにて有意差を認めた。これら 22 個のフレイル関連マーカーでは、抗酸化 (7個)、アミノ酸 (5個)、窒素や筋肉の代謝関連 (4個)、その他 (2個)が減少し、逆に増加するメタボライト (4 個)もあった。これらのメタボライトから PCAを行った結果、フレイル群、認知能か運動能のどちらかの悪化群、健康群への分離が可能であった。   考察として第一に、抗酸化物質低下 (アセチルカルノシン、エルゴシオネイン、Ｓメチルエルゴシオネイン、トリメチルヒスチジン、オフタルミン酸、αケト酪酸、尿酸)による酸化ストレス増加がフレイル患者のストレス脆弱性の鍵である可能性が示唆された。第二に、認知機能と関連するメタボライトの多くは、フレイルマーカーと重複していた。これらは、神経保護作用のある物質 (カルノシンやエルゴシオネイン)を含んでいる。既報と異なり、認知機能評価を含むフレイル評価 (EFS)を行ったことが、これら新規発見に繋がったと思われる。次に、4つの筋肉や窒素代謝関連メタボライトは運動能の低下と関連 していた。筋力に関連する分岐鎖アミノ酸（イソロイシン、ロイシン）も低下しており興味深い。増加しているメタボライト (クレアチンやウリジン2リン酸グルクロン酸)は代償的作用を果たしているのかもしれない。最後に、以前報告された老化マーカーと比較すると、フレイルで減少する5つのメタボライトが重複しており、個体老化とフレイルの相関が考えらえた。これらの発見はフレイル病態の理解の一助となり、メタボライトによる介入治療へ発展しうる可能性がある。  （論文審査の結果の要旨） 全世界的な高齢化により、寝たきりの手前の状態であるフレイルと呼ばれる症例が増加している。本研究ではフレイルの病態に関する代謝基盤の解明のため、全血による網羅的メタボローム解析が行われた。 対象は高齢者医療ユニット外来に通院する高齢者19例（平均年齢84.2 ± 6.9歳）で、フレイル診断にはエドモントンフレイルスケール（EFS）、認知能、運動能はそれぞれ、日本語版モントリオール認知アセスメント、Timed Up & Go Testにより評価された。LC-MSにより検出された27012のうちピークが定量できた131メタボライトから、フレイルでは 15個、認知能関連では 6個（フレイルと 5個重複）、運動能関連では 12個のメタボライト（フレイルと 6個重複）、合計 22のメタボライトが同定された。内訳は、抗酸化 (7個)、アミノ酸 (5個)、窒素や筋肉の代謝関連 (4個)、その他 (2個)が減少し、逆に増加するメタボライト (4個)もあった。 フレイルでは抗酸化メタボライトが低下していた。認知能関連メタボライトの多くは、フレイルマーカーと重複し、神経保護作用のある物質 (エルゴシオネイン等)を含んでいた。既報告の老化マーカーと比較すると、5つのフレイルマーカーが重複しており、個体老化とフレイルの相関が考えらえた。 以上の研究はフレイルの病態の解明に貢献し、高齢者医療や老化研究にも寄与するところが多い。    したがって、本論文は博士（医学）の学位論文として価値あるものと認める。   なお、本学位授与申請者は、令和  2  年  7  月 10 日実施の論文内容とそれに関連した試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日：      年   月   日 以降 

フレイルのマーカーは抗酸化力、認知能、運動能と関連した血液メタボライトを含む

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