京都大学0048新制・課程博士博士(農学)甲第22782号農博第2425号新制||農||1081(附属図書館)学位論文||R2||N5302(農学部図書室)京都大学大学院農学研究科地域環境科学専攻(主査)教授 中村 公人, 教授 星野 敏, 教授 藤原 正幸学位規則第4条第1項該当Doctor of Agricultural ScienceKyoto UniversityDFA

Mohammad, Abdul KADER

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RIGHT:URL:CITATION:AUTHOR(S):ISSUE DATE:TITLE:Effectiveness of various types of mulching onsoil moisture and temperature regimesunder rainfed soybean cultivation(Abstract_要旨 )Mohammad, Abdul KADERMohammad, Abdul KADER. Effectiveness of various types of mulching on soil moisture and temperature regimes underrainfed soybean cultivation. 京都大学, 2020, 博士(農学)2020-09-23https://doi.org/10.14989/doctor.k22782 - 1 -（ 続紙 １ ）                             京都大学 博士（  農 学  ） 氏名 Mohammad Abdul KADER 論文題目 Effectiveness of various types of mulching on soil moisture and temperature regimes under rainfed soybean cultivation （マルチングがダイズ天水栽培における土壌水分・温度環境に及ぼす効果） （論文内容の要旨）   畑地農業において行われるマルチングが土壌環境，とくに土壌水分量と土壌温度に与える影響を評価し，より適切なマルチを設置できるようにすることは，現在あるいは将来予想されている降水量や気温の変動幅が大きくなる状況下において，作物収量や品質を確保するために重要な課題となる．  マルチのタイプは，ビニールを代表とする無機質マルチや作物残渣を代表とする有機質マルチなど，材質，色，形などが様々であるが，マルチの違いが土壌環境と作物生育に及ぼす影響について，十分に解明されていない現状にある．  本論文は，天水でのダイズ栽培を対象とし，比較的容易に入手できるものとして，稲藁，新聞紙，ビニールマルチ，またビニールについては，植付けのための穴のみのものと，さらに付加的な穴を設けたもの，色の異なる３種のビニールを用いて圃場実験を行い，これらのマルチが土壌水分・温度環境および作物生育と収量に及ぼす影響を評価したものである．さらに，稲藁マルチを設置した場合の土壌水分・温度の計算手法について検討した．本論文は，以下の８章から構成されている．   第１章では，天水農業において限られた水を有効利用することの重要性とそのためのマルチの可能性について述べ，作物生育に適した土壌水分・温度環境を創出するためのマルチの工夫に関する研究の必要性を論じた．また，本論文の目的と構成を示した．   第２章では，マルチに関する既往研究を整理している．マルチの材質，地表面への設置方法，適用作物の種類をまとめ，土壌水分，土壌温度，土壌微生物，土壌化学性，収量，雑草，病害虫，微気象に及ぼすマルチの影響に関する知見を整理した．また，マルチの安定性・分解特性，経済性にも触れている．さらに，土壌水分・温度環境を再現するためのモデル研究の現状を述べた．   第３章では，２年間にわたって実施したダイズ栽培実験の方法，および気象条件の概要，対象圃場の土壌の物理特性を整理した．実験は岐阜大学内の圃場において，２０１５，２０１６年５～８月に実施された．   第４章では，有機質マルチである稲藁マルチと新聞紙マルチの効果を裸地と比較した．稲藁マルチ，新聞紙マルチでは，裸地に比べて，土壌水分消費量が少なく，土壌水分量が高く保たれ，単位土壌水分消費量に対する収量で表される水利用効率が高いこと，また，両マルチによって根群域内の土壌温度が低下することを示した．結果として，ダイズ収量が向上することを示した．有機質マルチとして，稲藁だけではなく，新聞紙も有効であることを明らかにした．   第５章では，一般に用いられる植付け用の穴のみがあるビニールマルチおよび降雨の有効化を意図した付加的な穴を設けた新しいビニールマルチの効果を，銀色のビニールを用いて，裸地との比較により検討した．その結果，降雨の有効化率が，一般ビ - 2 -ニールに比べて付加的穴あきビニールで上昇することを示した．また，裸地と比較して両ビニールでは，根群域下層からの土壌水分消費割合が増加することを明らかにした．ダイズの生長と収量は付加的穴あきビニールマルチ，一般ビニールマルチ，裸地の順に高く，付加的穴あきビニールマルチの利用を推奨できることを示した．   第６章では，ビニールマルチの色の違い（黒，銀，透明）が及ぼす土壌水分・温度環境と生育・収量への影響を検討した．いずれの色のビニールも土壌水分消費量を裸地に比べて同程度に低下させることを確認した．また，ビニールマルチは生長初期の土壌温度を上昇させ，その効果が黒色マルチで高いことを示した．ダイズの場合，土壌水分状態が同じであれば，熱の蓄積量が多いほど収量が増加することを示し，黒色ビニールマルチがその点で最も有効であることを明らかにした．   第７章では，稲藁マルチの土壌水分・温度環境への影響を再現するための水と熱の同時移動解析を行った．計算には温度勾配による水蒸気移動を組み込み，稲藁の水分保持特性と透水性を逆解析によって推定することにより，観測された土壌水分量と温度が再現されることを示した．計算結果から，稲藁が土壌への浸透量を増加させ，土壌からの蒸発量を抑制し，土壌水分量を増加させること，また，稲藁の存在による熱貯留により土壌温度が低下することを示した．   第８章では，本研究で得られた成果を整理し，今後の課題について言及した．様々な材質，形，色のマルチを用いることにより，作物収量を増加させることが可能であり，作物に応じた選択が重要で，本論文ではダイズに関する有用な知見を提供できたことを強調している．                   注)論文内容の要旨と論文審査の結果の要旨は１頁を３８字×３６行で作成し，合わせ て，３,０００字を標準とすること． 論文内容の要旨を英語で記入する場合は，４００～１,１００wordsで作成し 審査結果の要旨は日本語５００～２,０００字程度で作成すること．   - 3 -（続紙 ２ ）                            （論文審査の結果の要旨）   畑地農業における地表面へのマルチの設置は，土壌水分・温度環境を制御することによる収量の増加を期待できる有用な技術であるが，マルチの種類は多種多様であるため，どのようなマルチがどの作物に有効となるのかに関する知見の蓄積が重要である．本論文では，天水条件下のダイズ栽培を対象として，稲藁，新聞紙，ビニールマルチの土壌水分・温度環境と作物生育・収量への影響を解明したものである．ビニールについては，降雨の浸入と蒸発が生じる穴の多寡と色の違いも検討している．さらに，稲藁マルチを設置した場合の土壌水分・温度環境のモデル化を行った．本論文において評価に値する点は以下のとおりである．  １．有機質マルチとして稲藁と新聞紙を検討した結果，両マルチは土壌水分消費量を減少させ，土壌水分量を高く保持し，土壌温度を低下させ，結果としてダイズの生育に正の効果をもたらし，収量が増加することを示した．有機質マルチとして，稲藁と新聞紙の有効性を明らかにした．  ２．無機質マルチとしてよく用いられるビニールマルチが土壌水分消費量の低下と水利用効率および収量の増加に効果的であることを示した．また，植付け用の穴に加えて付加的な穴を設けた新しいタイプのビニールマルチの効果を検討した結果，降雨の有効化率が上昇し，ダイズの収量が大きく増加することを示した．  ３．ビニールマルチの色の違いを黒，銀，透明の３種類で比較した結果，ダイズの収量は同様の土壌水分状態では土壌温度が高いほど増加することを示し，黒色ビニールマルチが最も収量増加に効果的であることを明らかにした．  ４．稲藁マルチ層を計算対象領域に含めた土壌水分・熱移動解析を行い，高い再現性を有することを示した．これによって，稲藁が及ぼす土壌水分・温度環境への影響を定量的に評価することが可能となった．   以上のように，本論文は，ダイズ栽培における収量の増加に効果的なマルチの特徴について，土壌水分・温度環境への影響の観点から実験的に検討しており，マルチを選択する際の有用な知見を提供するものである．これらの成果は，水環境工学，灌漑排水学，土壌物理学の発展に寄与するところが大きい．  よって，本論文は博士（農学）の学位論文として価値あるものと認める．  なお，令和２年８月１３日，論文並びにそれに関連した分野にわたり試問した結果，博士（農学）の学位を授与される学力が十分あるものと認めた．   注）論文内容の要旨，審査の結果の要旨及び学位論文は，本学学術情報リポジトリに掲載し，公表とする． ただし，特許申請，雑誌掲載等の関係により，要旨を学位授与後即日公表することに支障がある場合は，以下に公表可能とする日付を記入すること．  要旨公開可能日：   年   月   日以降（学位授与日から３ヶ月以内） 

マルチングがダイズ天水栽培における土壌水分・温度環境に及ぼす効果

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/259050/1/ynogk02425.pdf

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