膵頭十二指腸切除術後の肝内外門脈閉塞に伴う 消化管出血に対して上腸間膜静脈-下大静脈シャント手術を 施行した一例

Abstract

 症例は,80歳男性.17年前に下部胆管癌に対して膵頭十二指腸切除術を施行した.後治療として胆 管断端に対する放射線治療を追加し,無再発で経過していた.2年前に肝内外門脈閉塞症を発症し, その後難治性の消化管出血が出現するようになった.上下部消化管内視鏡検査で出血源を特定できず, 造影CTで挙上空腸に静脈瘤形成を認めたため同部位からの静脈性出血と診断した.繰り返す輸血を必要としたため,根治的治療として上腸間膜静脈-下大静脈シャント手術を施行した.術後は速やか に消化管出血が改善し輸血は不要となった.合併症として高アンモニア血症を認めたが,保存治療にて改善した.難治性の肝内外門脈閉塞症に対する上腸間膜静脈-下大静脈シャント手術は有効な治療 の一つと考えられた

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